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S邸リノベーション。23「解体②浴室の柱の腐り・筋交いの欠損!」

ゆうです^^

S邸リノベーション工事は解体が進んでいます。

そして、やはりありました。

耐力壁の不備・柱の腐りが!

S邸の施工は角田の齋藤建築設計さん。

前職でも新築で一緒に仕事させて頂いた方。
改修工事をされるとも多く、リノベーション工事には適任ということでS様にご紹介させて頂きました。

なにより棟梁(会社の代表)が現場で作業されるのが素晴らしい。
地元に根付いた仕事をされていてとても頼りになる方です。

豊かな暮らしのつくり方。13-2ー『良い工務店の見極め方②「地元・リフォーム」。』ー

リノベーションでは柱・梁や下地材はそのまま使用するので丁寧で慎重な解体が必要。
(とても手間がかかる)

実は僕には「ある不安」がありました。

それは、出窓周りの漏水→腐り。

以前、ある家の出窓からの漏水で、壁内がカビまみれになった様子を見ていたからです。

【秘訣】壁内にカビ発生。「中古住宅購入時の注意点」

S邸にも出窓が複数ついていた。
(出窓は20年前あたりに流行った)

出窓周り(=建物外周部)の柱が腐ると構造的な問題に直結する可能性が高い。

(耐震性など)

恐る恐る解体した出窓を見てみると、、、

おぉ!きれい!

多少のシミはあったが、腐りはなかった。
ホッとひと安心。
(他の出窓も同様に問題はなかった)

気を取り直して解体中の浴室へ。

S邸は在来工法の浴室でした。
(ユニットバスでなく、タイルを張って造った浴室)

こうして見ると現代アートのよう。
(廃退系・ボルタンスキー系)

そして、あってしまいました。

柱の腐りが。

浴室ドアで防水層が切れる部分。
水がかりも多く一番リスクのある部分。

柱の根元は腐って完全になくなっていた。
柱の下の土台も腐朽していた。

上部までスカスカに。
シロアリとは違う腐りによる症状。

少し脅かすような書き方をしてしまいましたが、この腐りは想定内でした。

建物の購入前にインスペクション(住宅診断)で確認していたからです。

S邸リノベーション。11「インスペクション実行『室内②床』。」

また、築数十年の家では腐った柱があることは多々あります。
(齋藤建築さんも馴れた様子だった。)

大切なのは、
新たな耐震補強計画を立て、新しい柱に適切に交換すること。

そのためには、インスペクションやリノベーションが必要になってきます。

そして、構造的な問題はもうひとつ、、、

赤丸部分をよく見てみると、、、

筋交いに穴が!
(地震に耐える部材)

これでは、地震時に耐力が発揮できず折れてしまいます。

多くの建物が倒壊した熊本地震でも、倒壊の多くの理由は
耐力壁の施工不良
でした。
(筋交いの欠損、金物がない、施工ミスなど)

設計図に耐力壁を書いていても施工ミスがあれば、耐力壁は計算通りの力を発揮しません。

筋交いのこの手の穴はよくあるんです。

この穴はエアコンを後付けしたときに出来た穴です。

エアコンの後付けは、
構造的にも、防水的にも、断熱気密的にもリスクが高い工事になります。

後付けの必要がないように、エアコンの設置も新築時にしっかり計画しておきたいものです。
(そのためには断熱や空調計画を綿密に検討しておく必要がある)

このように、中古住宅(もしかしたら新築でも)にはリスクがたくさんあります。

S邸では新たな耐震補強計画を基に問題のある部分を改修していきます。

中古住宅でも新築でも良い家を建てるのに重要なのは
「設計」「工事監理」の両方です。

-「超高断熱の小さな家」escnel design-
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熊本地震から2年。『耐震性』を今一度考える。

ゆうです。

4月14日。あの熊本地震(前震)から丸2年が経ちました。

災害の恐怖を思い出し、家に必要な耐震性について今一度考えたいと思います。

震源地の益城町。(毎日新聞HPより)

Share News Japanさんより)

南阿蘇村の土砂崩れ。(毎日新聞HPより)

倒壊した阿蘇神社。(KyodoNewsさんより)

概要は以前に書いた記事の通りです。

これから新築を考えられている方はぜひ読んでみてください。

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

僕は、新潟の柏崎で生まれ育ち、中越地震中越沖地震の2度の大地震を経験しました。

中越沖地震で、僕の実家は半壊、相方の実家は全壊になり仮設生活を余儀なくされました。

仮設で生活環境が変わり、相方の祖母はとても衰弱されたと聞いています。

その後の耐震補強や補修には多額のお金がかかりました。

通常、新築を考える時は「なにも起きていない平常時」が当然一番多いです。

最新のキッチンや内外装や間取りを考えていると、どうしても家の耐震性はおざなりになりがち。

「プロが考えてくれるだろうからそこはお任せで(いいよね?)」

という人は多いのではないでしょうか。

建て主側にもですが、プロ側にも問題があります。

果たして、耐震性についてしっかりと説明をしている会社がどれだけあるでしょうか。

現実的には「耐震等級1」という「建築基準法最低限レベル」の家を提案している会社が大半です。

耐震等級1とは、簡単に言えば

・構造計算していない。
 (簡易な検定のみ)

・震度7の地震は想定していない。
 (倒壊するかもしれない)
 (建築基準法の最低基準は「震度6強程度の地震に対して倒壊しないこと。」)

というレベルです。

(「簡易な検定」は役所のチェックもないので、最悪の場合耐震性をなにも考えていないというケースもあり得る。)

言い切るならば、プロ側の意識の問題です。

しかし、そう言っていても現実は変わりません。

建築業界は旧態依然としたところがあります。

現実的には、

建てる方が自分で勉強するしかありません。

以前に書いた記事はそういった目的で書きました。

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

「勉強が面倒だ。」という方には一言だけ。

家に求める耐震性は耐震等級3にしましょう。
(構造計算書を受け取ること。)

今朝の読売新聞より。

熊本地震で衝撃だったのは

「震度7」が立て続けに2回起きたことです。
(観測史上初)

そして、震度6弱以上の地震は合計7回起きました。(観測史上初)

僕は熊本地震までは「新築を作るのであれば「耐震等級2」が最低条件だろう。」

と考えていました。

しかし、熊本地震が来て「最低条件は耐震等級3」に考えは改まりました。

(積雪など他の条件によりケースバイケース)

耐震等級1、ましてや構造計算されていない家は、

今後、直下型地震が起き、震度7が複数回来た時に果たして倒壊しないのでしょうか。

倒壊せずとも損傷はすると思います。

損傷するとは「補修費用がかかる」ということです。

最後に過激なことを言わせてもらいます。

熊本地震を見たあとでも「耐震等級1で十分」「構造計算は不要」という設計者・営業マンは安全な家(人生)を提供するという意識に欠けていると思います。

熊本地震が起きて本気でお客さんのことを考えている人は勉強して考えたはずです。

これから家を建てられる方は、建ててくれる人がどういう人なのか見極めてみてください。

家族の命と財産を守るのは貴方の判断にかかっています。

…………….

耐震性の高い住宅を建てることは社会貢献にもなり得る。

「減災」という考え方。

災害時に自分の家が無事であれば、損傷した他の家の救助を優先することが出来る。

「社会全体で災害に耐える。」という姿勢もとても大切なこと。

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【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「雪庇・カーポート」

ゆうです。

「積雪から構造を考える」シリーズの③です。

 →2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①
 →2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

雪庇(せっぴ)やカーポートなどについてまとめてみます。

大きく屋根からはみ出した雪庇(2/8三条市)。とても危険だった。

翌朝には落下していた。
通行者(人・車)がいたときに落ちていれば被害が出ただろう。

当該屋根(下側。後日撮影)
(2階の屋根には雪止めアングルがついている。)

ここまで雪庇が大きく危険になったのには原因があります。

雪止めアングルが設置されていなかったため雪庇が軒先に貯まった。
 (屋根に積もった雪が軒先へずりずりと押し出すように雪が動いた。)

屋根の勾配がゆるく、定期的な落雪が起きず雪庇が巨大化した。
 (勾配があれば軒先の雪は定期的に落ちた。)

屋根が古くサビもあったため、雪の落雪が起きづらかった。
 (すべりが悪く、ほどよい摩擦があり雪が屋根上にとどまった。)

通常、住宅の屋根には「雪止めアングル」を設置しますが、その際にも注意が必要です。

例えば、

ゆるい屋根勾配で、

軒の出が長く(軒先きから雪留めアングルまでが長い)

大雪の年

だった場合、大きな雪庇が出来る可能性があります。

雪庇が大きくなると、

・落下する際に雨どいを巻き込んで落ち、雨どいを壊す。

落下した先に、車や人や1階の屋根、隣地のフェンスなどがあった場合、被害が出る。

こういったことを避けるため、

雪止めアングルの位置

軒の出の長さ

などは「家を建てる立地」や「隣地との間隔」等を加味して慎重に検討する必要があります。

…………….

続いて「カーポート」について。

先日、S邸の現地調査に訪れた。

師匠からは「その土地の一番厳しい季節、外部条件を考慮して設計しろ。」と教わった。
「写真や想像では必ず想定不足が起きる。」
「厳しい時期に自分が現地へ行き、体感することが設計者として必須事項だ。」
→師匠のブログ「超高断熱の五日町の家 塗装中・・・。」

そして(想定していたことではあったのですが)カーポートで「あること」が起きていました。

想定以上の積雪により屋根の梁がゆがんでいた。

ここまでゆがむと雪を撤去してももう戻らない。
(作業が危険なため、雪下ろしをすることも出来ない。)

新潟市では、S邸のように透明なポリカーボネート屋根のカーポートをよく見ます。

多量の積雪があることを想定していないためだと思われます。

このようなカーポートの耐積雪は0~20cmほどです。

リクシルの「ネスカR」耐積雪は20cm相当。

仮に10年に一度大雪があると考えたとしても、10年に一度壊れるようなカーポートは選びませんよね。

僕は下記のような折半屋根のカーポートを通常提案しています。

選定のポイントはあくまでデザインよりもまずは「機能(安全性)」。
そして、安全であることは被害の確率を下げ修繕コストの発生リスクも下げる。

みなさんは今回の大雪で「家」になにを感じられたでしょうか。

僕もですが、人間、春が来ると厳しかった冬のことは忘れてしまうものです。

だからこそ、厳しい冬にリアルタイムで考えることが大切になります。

そして、忘れてしまっても見返しておけるようにメモなどに残しておくと良いと思います。

おまけ…………….

現在の事務所(3階)からの風景。
曇りの日は遠くまで見通せないが、、、

晴れた日には雪化粧した『粟ヶ岳』が姿を現す。
空気が澄んでいる2、3月が一年で一番きれいに見える。
冬は大変なことも多いが、その分感動することもとても多い。

人間は「ギャップ」に心を動かされる。

この感動があるから雪国暮らしはやめられない。

【関連記事】…………….

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「雪庇・カーポート」

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【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

ゆうです。

ようやく新潟は大雪が収まりそうです。

このタイミングで今回の大雪から「設計積雪量」について再考察してみようと思います。

→前回の続きです。『2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①』

まず2018年の積雪が例年の平均に比べ、どれほど多かったかを見てみます。

※「垂直積雪量」・・・行政庁が定めている積雪量の指針
※「設計積雪量」・・・設計者が決める積雪量。これを元に構造計算される。

まずは「新潟市」

新潟市2018積雪量

新潟市の垂直積雪量は1.0m
(グラフの最大値を垂直積雪量に合わせている。)

過去20年の平均積雪量と比べると今年は数倍の積雪があったことがわかります。

2018年の最大積雪量は80cm。

垂直積雪量の80%まで積もったということです。

続いて「長岡市」

 長岡市2018積雪量

長岡市の垂直積雪量は2.5m

長岡市も過去20年の平均積雪量と比べると倍ほどの積雪がありました。

2018年の最大積雪量は約150cm。

垂直積雪量の約60%まで積もりました。

最後に「柏崎市」

 柏崎市2018積雪量

柏崎市の垂直積雪量は1.3m

柏崎市も過去20年の平均積雪量と比べると数倍の積雪がありました。

2018年の最大積雪量は約95cm。

垂直積雪量の約70%まで積もりました。

では、今年の豪雪は何年ぶりだったのでしょうか。

1990年から2018年までの積雪量を詳しく見てみます。

新潟市では2010年に積雪約80cmを観測しています。

今年は8年ぶりの大雪でした。

1990年から現在までで垂直積雪量(1.0m)を超える積雪はありません。

最大積雪量は約80cmで垂直積雪量の約80%です。

長岡市では2012年に積雪約160cmを観測しています。

今年は6年ぶりの大雪でした。

1990年から現在までで垂直積雪量(2.5m)を超える積雪はありません。

最大積雪量は約160cmで垂直積雪量の約64%です。

柏崎市では2012年に積雪約110cmを観測しています。
(僕はオーストラリアにいたため体験していない。)

今年は6年ぶりの大雪でした。

1990年から現在までで垂直積雪量(1.3m)を超える積雪はありません。

最大積雪量は約110cmで垂直積雪量の約85%です。

以上をまとめると、
・垂直積雪量を超える積雪は起きていない。(ここ28年)

・垂直積雪量の約80%の積雪が6年に一度ほど起きる。
 (近年は特に「雪の多い年と少ない年の差」が大きくなってきている。)
我が家の車庫の屋根の上に積もる雪は80cm以上。(柏崎市)
雪止めアングルなしのため定期的に落雪している(→雪止めアングルがあればもっと積もる。)
…………….
ここからはそれぞれの設計者の判断です。
「積雪量を何メートルで設計するのか。」
僕は、
(過度な)雪下ろし低減はせずに
垂直積雪量を設計積雪量とする。
ことが『素直で堅実な設計』だと考えます。
※「雪下ろし低減」・・・設計積雪量を1.0mまで減らして計算して良いという特例措置。
 (あくまでそれ以上の積雪が合った場合は雪下ろしすることが前提となる。)
ただし、長岡市のように垂直積雪量が多い地域で、近年の積雪量が垂直積雪量より著しく少ないなどの場合は、現状に即して設計積雪量を低減する判断はあり得る。
また「耐震等級3」の家を設計する場合、設計積雪量が多いと必要になる壁量が多くなり間取りの制約が大きくなるため、建て主様と協議の上、設計積雪量を低減して設計することもあり得る。
…………….
僕は「垂直積雪量を設計積雪量とする。」と書きましたが、新潟県内でそれをしている建築会社はほとんどいないと思います。
まず、多くの会社が「構造計算をしていません。」
これは「積雪は考慮していない。」という意味です。
こんなことが新潟県内でまかり通っていていいのでしょうか。
構造計算をしていない設計者は今年の大雪を見てどう思ったのでしょう。
建築業界は旧態依然としたところがあります。
自衛のため建て主側も勉強しなければなりません。
また、構造計算をしている会社でも、
「雪下ろし低減をしている(=積雪は1.0mで見ている)」会社が多いです。
(実際は雪下ろし出来ないプランにも関わらず)
これは大きな積雪量で構造計算すると、必要な壁が多くなり開放的なプランが作りにくいからです。
(ここ数年は開放的なプランが流行っている。)
垂直積雪量で設計することを「オーバースペックだ。」と考える設計者もいるでしょう。
これは一理あります。
設計者に根拠と思想があり設計積雪量を減らしているのであれば良いと思います。
積雪は確率の問題であり、間取りやコストとのバランスも重要だからです。
(多量の積雪が屋根に載っている時間は数日でしかないこと。また、構造計算をしていない家であっても雪の重みで倒壊することは滅多にないということもある。)
しかし、万が一は必ず起こります。
東日本大震災が起きたように。
震災の日は3月上旬でしたが、あれが1月などの積雪が多い時期であればその被害はもっと大きくなっていたでしょう。
近年の異常気象が加速し、今までにない量の雪が降ることもありえます。
「そのときに地震がきたら?」
傾いた家にいられず寒い避難所で過ごさなければならなかったり、最悪の場合家が倒壊することもありえます。
僕は新潟で二度の震災を経験しました。僕の実家は半壊、妻の実家は全壊しました。
東日本大震災のボランティアで石巻の町に数週間キャンプして瓦礫の撤去などをしながら変わり果てた街を見ました。
僕は実体験から、家に大切なものの優先順位を理解しているつもりです。
もちろん最終的な決定は建て主様がすべきです。
上に書いたとおり、災害は確率の問題であり、間取りやコストのバランスも大切だからです。
しかし、設計者はこれらを説明する義務があると思っています。
「耐震等級」「設計積雪量」に対して十分な説明をしている会社はどれだけあるでしょうか。
はっきり言ってとても少ないと思います。
「良い家を建てるためにはどうすればよいのか。」
最終的には、
建て主が自ら勉強し、良い設計者を自分でみつけるしかありません。
僕はそれを応援しています。
長くなってしまいましたが、これから家を建てられる方の参考になれば幸いです。
雪に埋まる我が家。
とても大変な冬だったが、設計者として大切なことを再確認させてくれた。

【関連記事】…………….

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「雪庇・カーポート」

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【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①

ゆうです。

ここ数日、日本海側は数年に一度の寒気に見舞われ、柏崎市では24時間降雪量が全国1位の69cmを観測しました。

柏崎市の積雪は90cm以上と平年の3倍を超えました。
そして、明日も朝までに多いところで60cmの降雪が予想されています。

2/6 19:00時点での積雪の深さ。
多くの地域で平年の2~3倍の積雪となっている。

家を建てる際に行う構造計算には「設計積雪量」を入力する欄がある。

例えば設計積雪量1.5mなら、屋根の上に1.5mの雪が積もっても構造的に問題がないよう計算されるということ。

(構造計算をしていない家はそもそも積雪量の検討はされていない。→△)

市町村ごとに過去の測定から導き出された「垂直積雪量」というものを出しており、それを目安に設計者が「設計積雪量」を決める。

柏崎市であれば、垂直積雪量は1.3m(平野部)。
長岡市であれば、垂直積雪量は2.5m(中心部)。

ただし、雪下ろしを行う慣習のある地方は、
雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
(建築基準法施行令86条第6項)

このため、豪雪地を除く新潟県内の住宅はそのほとんどが設計積雪量1mで構造計算されていると思われる。

しかし、現実は雪下ろしを想定していない家がほとんど。(屋根に上がるすべ無し)

新潟県垂直積雪量運用基準には、
雪下ろしによる低減は「速やかに雪下ろしが可能な形状の建築物に限り適用するものとする。」と書かれている。(※基準であり、義務ではない。)

近年は積雪が少ない年が続いたこともあり、雪への関心は薄くなっていたように思う。

そもそも設計士から「設計積雪量は○mでよいでしょうか。」という話をされていない方がほとんどだと思われる。

安易に積雪量の低減をすると数年~数十年に一度の異常時に大変なことになる可能性がある。

今一度、設計積雪量の設定の重要性を啓蒙していきたい。

「あなたの家の設計積雪量は何メートルですか?」






「あなたの家はどれほど雪が積もっても大丈夫ですか?」


「必ず垂直積雪量で設計すべき」というわけではない。
垂直積雪量は過去の積雪量から算出されたもののため、現実に即していない場合もある。(→オーバースペックになってしまう。)

設計積雪量を上げるということは、それに耐えるための柱・梁や壁の量を増やす必要があるということ。
 →間取りの制約が増えるということ。

雪への耐性と間取りの優先順位のバランスを考え、建て主の要望を踏まえて設計積雪量を決めることが重要になる。

【関連記事】…………….

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「雪庇・カーポート」

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構造計算のポイント「太陽光パネルの重さ。」

ゆうです。

住宅の構造計算について。

構造計算とは、簡単に言うと、

『家にかかる重さにその家が耐えられるかどうかを計算し確かめる。』

ということになります。

(画像は構造計算ホームズ君より)

「家にかかる重さ」は大きく分けると2種類ありまして

『鉛直荷重』と『水平荷重』です。

漢字が多いイヤになりますよね(^^;)

言い直すと、

『鉛直荷重』・・・重力によりタテにかかる重さ↓

『水平荷重』・・・地震や風などヨコからくる重さ←→

ということです。

重力により縦にかかる重さとはどんな種類のものがあるでしょうか。

少し想像してみてください。

、、、

答えは、

「固定荷重」・・・家そのものの自分の重さ(自重)

「積載荷重」・・・家具や人など、家以外に家にかかってくるものの重さ

「積雪荷重」・・・雪による重さ

です。

構造計算は、これらの重さをすべて拾い出し、

その重さがかかったときに家が耐えられるかを計算するものになります。

―――――

ではここで質問です。

「あなたの家は太陽光パネルを屋根に乗せても家は壊れませんか?」

いかがでしょう。

この質問に答えられない場合、将来太陽光パネルを乗せようと思ったときに困ってしまいますよね。

そうならないためになにが必要かというと、

『太陽光パネルの重さも追加した上で構造計算をしておく。』

=太陽光パネルが将来、屋根の上に乗っても大丈夫なように最初から計算しておく。

太陽光パネルの重さは約15kg/㎡ほど。

これを屋根の重さに追加しておくということ。
(→設置金物等の重さも考慮し20kg/㎡で計算しておくと○)

5kW(太陽光パネル約25枚)なら20kg/㎡×25枚=500kgほどかかる計算になりますね。

「太陽光パネルの重さは考慮していなかったので『想定外』です。」

とあとになって言われないように、新築時から注意してみてください。

本当は、こんなことを建て主が気にかけなくても、

「当然、太陽光パネルの重さまで含めて計算しています。」

という設計士にあたりたいものですよね。

(しかし、構造計算すらしていない住宅会社が多いのが実情です。)

―――――

新潟は雪国なので同じような話で、

『雪の重さ』

についても真面目に計算している設計士に家を建ててもらいたいですよね。

「何十年に一度の大雪が降り、家の床がたわんだ。」

なんてなったら大変。

細かいですが、

「構造計算はとても重要ですよ」という話でした。

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豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー


ゆうです^^


前回、

「僕が考える良い家の条件。2017」


と銘打ち、良い家の条件をあげました。

いくつか説明を省いていたので補足しようと思います。

今回は、耐震性を示す指標である

耐震等級

について書きます。

ーーーー

前回のブログで、


良い家の条件は、

耐震等級3を満たす!


と書きました。



簡単に説明します。
(正確に知りたいという方は検索して調べてみてください。)



【初級編】

耐震等級は耐震性能(地震への強さ)を表しており、

等級の数が大きいほうが、耐震性が高いことを表しています。


等級は、現在、等級1、等級2、等級3が定められています。




『耐震等級は、耐震性を示す指標。』

『大きいほうが耐震性が高い。』



『等級3が最高ランク。』

以上!

【中級編】

当然、


「等級1と2と3はどれくらい強さが違うの?」


という疑問が浮かびますよね。



サクサクいきます♪





「等級1」は、
建築基準法で定められている基準(=必要最低基準)です。




震度5強程度の地震に対して、損傷しないこと


また、


震度6強程度の地震に対して倒壊しないこと


を基準にしています。


(「損傷」とは、構造材に対してであり、仕上げ材などの損傷は許容しています。)




構造計算をしていない家はすべてこの等級1です。






「等級2」は、
等級1で想定した地震の1.25倍の地震力に耐えられることを基準にしています。

病院や学校に最低限求められる耐震レベルです。


「等級3」は、
等級1で想定した地震の1.5倍の地震力に耐えられることを基準にしています。



消防署や警察署など防災時に拠点となる施設に求められる耐震レベルです。

※補足として、
耐震等級は、震度とは直接むすびついていません。
あくまで、建築基準法で想定する地震力の何倍まで耐えられるかが基準になっています。











でも、1.25倍とか、病院レベルとか言われても、


それが必要なのかどうか、地震を受けたときの被害レベルはどのくらいなのか


いまいちピンときませんよね。




ただ、今ある基準の話をする場合、ここまでが限界なんです。





でも、これじゃあ建て主側としては判断ができない、、、、、





そこで!

ズバッと端的に!

【超訳編】



※超訳編を書く前に前置きさせてください。

「地震は、まだまだ未知の部分が多く、誰も地震に対して断定的に説明することはできない」ということ。


(地震は規模、周期、地盤の弱さなど条件が細かくそれぞれ違うため)




「震度6強だから、家へのダメージ量は○○だ。」




と簡単にいうことはできないということです。



同じ耐震性だったとしても、
同じ震度6を受けても損傷の軽い家もあれば、
倒壊してしまう家もあるんです。




なので、

必要な耐震等級について明言することは非常に難しいんです。


(住宅のプロでも上手に正確に上手に説明できる人は少ないと思います。)

そのため、なんとなくの説明で深くは話をしないケースが多いと思います。

しかし!
それではこれから家を建てるひとのためになりません。



これから書く文章は正確に言えば、正確ではありません。




わかりやすさを優先し、超訳として書きますのでご理解ください。








それでは、、










「等級1」は、


震度6強程度の地震に対して倒壊しないこと。


言い換えれば、

震度7の地震は想定していません。
倒壊するかもしれませんということ。



熊本地震では、震度7が連続して2回起き、多くの家が倒壊しました。



建築基準法は震度7、ましてや震度7が複数回くることは想定していないんです。


そのレベルが耐震等級1です。構造計算も基本的にしません。





「等級2」は、
・震度7の地震で倒壊しないかもしれません。
(※震度7が複数回きたらどうなるかわかりません。)


・震度7がきたら、家が損傷する可能性があります。
=修復費用がかかります。

耐震等級2は、基本的に構造計算をします。

まず、構造計算をする等級2と、構造計算をしない等級1の間には、

安全性に対して、天と地ほどの差があると思ってもらっていいです。

(等級1は構造計算ではなく、簡易な検定を少しする程度です。)

計算によって裏づけされた耐震性(安全)がない家は、
僕だったらほしくありません。

ーーー

ここからは僕の設計思想の話。

今まで、僕は、「耐震等級は2あればまず良し」と考えていました。

しかし、熊本地震で、震度7が複数回くるかもしれないという
新たな現実を目の当たりにしました。

また、地震に家が耐えたとしても、家が損傷していれば、(見えない構造的な部分)
次にくる地震にはまったく耐えられずすぐに倒壊してしまうかもしれません。

一度でも家が地震を受けてしまうと、
家の耐震性は「ゼロ」になってしまうこともあり得るということです。

耐震性がどれほど残っているのか、
その調査をするのにお金がかかり補修をするのであればさらにお金がかかります。

(地震保険は、家が傾くなど目に見えた大きな損傷がなければ出ません。)

家は一度、地震に耐えればいいのか。

その後の安全性や資産価値はなくなってしまうのか。

調査・補修にまた数百万のお金を払わなければならないのか、、、

先へ進めます。

「等級3」は、
震度7の地震で損傷しないかもしれません。
(※震度7が複数回きたらどうなるかわかりません。)

あくまでこれは、可能性としての話しかできませんが、

等級3があれば、震度7の地震を受けても損傷する可能性を低くすることができます。


「損傷しない」=「耐震補修費用がかからない」ということです。




もちろん、地盤や地震の規模などによりますが、
等級2よりは損傷する可能性を減らせるということです。




僕は、自分がこれから新築を建てるのであれば最低限このレベルは必要だと思っています。

実際に、熊本地震で震度7を受けた家でも、耐震等級3の家は損傷がなかったという調査結果もあります。
(もちろん等級2でも損傷がなかった家もたくさんあると思います。)



※補足
震度は7が規定の最高でそれ以上の規定はありません。
そのため、震度7の地震の強さには上限がなく、
震度6強を少し超えたものも震度7ですし、震度6強の10倍の地震も震度7なんです。
なので、震度7の地震をひとくくりに話すをすることはできないんです。

ーーーー










求める耐震性能を、


「安全(倒壊するかしないか)」


レベルで考えるか。




「損傷(補修を必要とするかしないか)」


レベルで考えるかで


大きく設計方針がかわります。




これから、新築を建てるのであれば、


安全性は最低限当たり前に満たすべきで、


損傷について考えるべきだと考えています。




要するに、




震度7が来て家が損傷したら、
多額の補修費用がかかる!
(地震前の耐震レベルに戻したければ)

これから新築するのであれば、できる限りその可能性は低くしておきたいですよね。
という話でした。




※メーカーによって違うと思いますが、
 等級2から等級3への変更する際に、実際にかかる変更差額は微々たる物です。
 あるとすれば、間取りの制約が増える。(=設計の手間が増える)くらいです。
 (僕は追加費用をもらうレベルの手間とは考えていません。)






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地震に対する考え方は自由です。



「この土地に地震はおきないだろう!おきたらそのときはそのときだ。」




と割り切り、構造計算もせず、耐震等級1の家を建てるという選択肢もありでしょう。


違法ではありませんので、それは建て主の考え方次第です。






しかし、


実際に2度の大きな地震を体験し、実家も大きな被害を受けた僕としては、


耐震性は最低でも等級2、基本的には等級3をおすすめします。





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耐震性については、今まで起きてきた地震の話とともに、

追ってより詳しくお話したいと考えております。




長々と堅い話を最後までお読みいただきありがとうございました。

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【追記。耐震性についてより詳細な記事をまとめました!必読です!】

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。