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S邸リノベーション。31「中間気密測定!」

ゆうです^^

S邸リノベーションの現場報告です。(10月末頃)

いよいよ中間気密測定です!

気密測定の前に内部の報告を^^

床材が張られ始めました!

今回の床はパインの無垢材
やっぱり無垢材は素敵ですね^^

エスネルデザインではヒノキやパインなどの「針葉樹系」の無垢床板をお勧めしています。
針葉樹は柔らかく傷つきやすいですが、その分裸足のときの足触り暖かさがとても良いです^^
(柔らかい≒空気層多い≒熱伝導率低い≒暖かい)

また、経年変化に耐えられる魅力も無垢材ならでは。
(新建材の突板フローリングとは異なります。)

【秘訣】突板フローリングの経年変化。

そして、窓枠にも床板を使うというアイデアを^^!
「無垢材」「インテリアの統一性」があり「コストも抑える」ことを考えた結果、考えついたアイデアです^^
(大工さんからお墨付きも♪)

大工さんが一から作る階段も作業が進んでいる。

階段上にはなにやら床のような場所が^^
なにかと言うと、、、

階段上の「こもれるロフト」
見学会でぜひ見て頂きたいポイントのひとつ^^

外部の報告も。

21年経ったラワン無垢板の破風はまだまだ健全だったため再利用。
落ちかけていた塗装を剥がし(左)、新たに浸透系の防腐塗装を施した(右)。

劣化していた雨どいも新しいものに交換^^

…………….

さて、いよいよ気密測定についてです^^!

築21年の低気密の家は気密リノベーションでどれほど性能が上がったのでしょうか!?

きれいに張られた2階天井の気密シート
断熱材の施工もバッチリです^^
(壁の気密は外張り耐力壁と外張り断熱材で確保)

天井の気密シート施工は柱一本一本に気密テープ処理をしていくためとても手間がかかる。
これをどれだけ丁寧に行えるかが気密のポイント。
施工を設計士(僕)が監理し、施工不良や漏れを防いでいく。

「配線」「筋交い」などシートを貫通するものは様々。
漏れのないようダブルチェックが重要になる。

ピン!ときれいに張られた気密シート。
「雲見室」の視線の抜け間も良い^^!

いよいよ気密測定開始!
機械で室内の空気を外に捨てていき、圧力差・風量などから隙間相当面積を算出する。
(測定中は建物は閉めきる)

内部の圧力が下がるため、天井のシートがパンパンに下がってくる!

この膨らみを見るだけでも気密が取れていることが分かる。
(低気密であれば隙間から空気が入ってくるためこうはならない)

測定中に手を当て隙間風がないかを調べ、その都度気密処理をしていく。
(M大工さんありがとうございます!)

さて!測定の結果はというと、、、

C=1.2でした!

中古住宅の気密リノベーションであること。
 (根太などの貫通材が多いこと等)

石膏ボードを張る前であること。
 (ボードを張れば押さえ効果で気密は上がる)

などから現時点でC=1.2であれば十分です^^

大工さんとS様と共にホッと肩をなでおろしました。

(コストをかければさらに気密性を高めることは可能だが、中古リノベーションは費用対効果が重要であるため、それぞれのリノベーション計画によって目指す気密性は異なる。)

中古住宅リノベーションで気密測定を行うことはとても稀です。
(新築でも測定されないことのほうが多い)

しかし、測定をしなければ曖昧になってしまいます。

エスネルデザインでは気密測定をすることをお勧めしています。
(特に1棟まるごとのフルリノベーションの場合は)

ひとつの山場を終えたS邸。
これで「耐震」「断熱」「気密」改修工事が完了した。
これから「外壁」や「内部造作」に進んでいく。

…………….

以上、中間気密測定の様子でした^^

現在の現場は完成間近の駆け込み!

S様邸は
12月9日()完成前見学会を開催します^^!
一日限定

詳しくはこちらをご参照あれ!↓

S邸リノベーション。29「完成前見学会告知!」

現在、数組様からご来場のご連絡を頂きましたがまだまだ空きはありますよー^^!

ご連絡お待ちしています♪

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
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S邸リノベーション。30「大工さんの技!床下地の調整。」

ゆうです^^

S邸リノベーションの現場報告です。(10月中頃)

改めて大工さんの技に感動しました!

S邸は元々床に傾きがありました!

インスペクションの結果「完成当時からの傾き」であることが分かっていました。
(当時の施工者のミス)

S邸リノベーション。12「インスペクション実行『室内③床下』。」

現場では床の傾きを直すため、下地をひとつひとつ調整し直すというとても手間のかかる作業を行っております(>_<)

床の下地材(根太)。

水平を見ながら下地の高さを合わせていく。

水平になるように合わせては調整しを繰り返していく。

とても細かく大変な作業。
リノベーションは大工さんの腕と気持ちが命だと改めて実感。
(M大工さんありがとうございます!)

完成時には見えない部分に職人の魂が込められています。

下地を全て調整したのち、床合板が張られる。

「雲見室」が形になってきました^^
吹き抜けから1階に光を導きます。

大開口のFIX窓。
1枚ガラス(ペア)で出来る大きさとしては最大級!

雲見室からの眺めだけでも一見の価値ありです^^

1階天井下地も出来てきました^^

1階にも大開口のFIX窓×2ヵ所!
水平に広がる視界が気持ち良い^^

外周りは防水シートが施工完了。

防水層を貫通するスリーブも入念に防水処理。
丁寧できれいな施工です^^

通気胴縁下には防虫アミを設置。
虫だけでなくコウモリなどの侵入も防ぐ。

S様と電気屋さんと大工さんと設計(僕)で立会いコンセント打合せも実施^^
S様、平日の夜にありがとうございました!

…………….

10月中頃の現場の様子でした^^
(ブログの更新が遅い、)

現在の現場は完成間近の駆け込み!

S様邸は
12月9日()完成前見学会を開催します^^!
一日限定

詳しくはこちらをご参照あれ!↓

S邸リノベーション。29「完成前見学会告知!」

現在、数組様からご来場のご連絡を頂きましたがまだまだ空きはありますよー^^!

ご連絡お待ちしています♪

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S邸リノベーション。29「完成前見学会告知!」

ゆうです^^

S邸リノベーションですが、
12月9日()完成見学会を開くことが決まりました^^!

エスネルデザインの完成見学会!一日限定です!

家の詳細はまた追ってさせて頂きます^^
が、非常に特殊な見学会のため事前アナウンスを!

「完成見学会」と最初に書きましたが、訂正します!

完成前見学会です(^^;)

現在猛ラッシュで工事進行中のS邸。

・12/9時点で工事が完了していない部分があります。
(大工工事・内装工事・外まわりは完成予定)

・通電が間に合わない可能性があります。
(電気が使えない→暖房も出来ない(T_T))

【追記!】
通電が間に合いました!!
暖房してお待ちしております^^
(大工さんありがとうございます!)

※今回「完成→引渡し」がすぐのため完成見学会は行わない予定でした。

しかし、S様のご厚意で「完成前」ではありますが、見学会を開かせて頂くこととなりました!

(S様、本当にありがとうございます。)

そのため暖房や電気が使えないなど不備があることをお許し下さいm(__)m

内装工事も進行中!

また、特殊な見学会のため、前日までに事前連絡を頂ければ幸いです。

メールまたはインスタからメッセージください^^
 会場の場所を追ってお知らせ致します。
(新潟市「新潟中央IC」から車で5分の場所です。)

・オープン時間は9:30~16:30の予定です。
(駐車場の混雑を調整するため、およその到着時間をお教え頂ければと思います。)
 
メールアドレス:yuichi.mu1110@gmail.com
インスタ:https://www.instagram.com/yuichi.escnel_design/

「エスネルデザインゆうに会ってみたい、話を聞いてみたい。」という方、大歓迎です^^

「雲見室」の居心地をぜひ感じに来てみてください♪

「雲見室」完成パース。
幅2.5m、高さ1.7m巨大FIX窓は圧巻!

…………….

S邸の詳細は追って書いていきます!
興味がある方は今までの記事↓をご覧頂ければ嬉しいです^^

設計事務所の仕事『3Dパース作成・空間検討』‐case.S邸‐

設計事務所の仕事『プランの作成・収納検討』‐case.S邸‐

設計事務所の仕事『模型作成・日当たり検討』‐case.S邸‐

エスネル -豊かな暮らしを送る秘密-

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S邸リノベーション。28「防水処理・床気密・外張り断熱!」

ゆうです^^

S邸の工事報告です。(10月上旬)

外周りの防水処理や床の気密処理がまとまってきました。

そして、外張り断熱材が張られました!

前回、床に断熱材が吹き付けられたところをお伝えしました^^

S邸リノベーション。27「床断熱材施工!UB設置。」

今回はその上の気密処理です。

断熱材の上に気密シートを貼っていく。
(通常、リノベーションで気密シートまですることはほぼ無い。)

エスネルデザインでは新築と同等(またはそれ以上)の性能を出す『断熱気密リノベーション』をお勧めしています。

「リフォームだから」と曖昧にするのではなく、
断熱性はUA値を計算して、気密性はC値を実測して、明確な数値で性能を示します。

(S邸の断熱性は一般的な新築よりも数段性能の高いUA=0.35!

気密シートを貫通する配管周りは気密テープで塞ぎ気密を取る。

とても大変なのが柱周りや壁付近。
ハッキリ言うと、リノベーションで気密を取るのは新築よりも数倍手間が掛かり難しい。

逆に言うとリノベーションには大工さんの腕や経験が必要ということ。

そしてなにより誠実さ・真面目さが必要。

気密処理は単純作業の繰り返し(テープ処理)。

「このくらいでいいか、、」

と思ったら数値は出ません。

今回、齋藤建築さんにはとてもきれいに気密処理をして頂きました。

中間気密検査が楽しみです^^(ドキドキ)

…………….

さて、外周りでは耐力壁「モイス」が張り上がりました^^

サッシも設置された。
白いテープは、、、?

両面テープになっていて防水シートとサッシを密着する。
では、木材(奥行6cm)はなんのため、、、?

ヒントはこちら^^↑

外張り断熱材を張るための段差調整材でした^^
断熱材は最高断熱性能を誇るフェノールフォーム(厚6cm!)

図面の赤い部分が外張り断熱材になる。
内側の断熱材と合わせると断熱材の厚みは16cm以上!
これが新築よりも高断熱性能になる理由です^^

断熱材の断面を見るとこう。
「外張り断熱」と言っても材の種類や厚みによって性能は様々ですが「フェノールフォーム・厚6cm」は最高レベルの断熱仕様。

その上から防水シートを張っていく。
エスネルデザインでは信頼性の高いタイベック(デュポン社)を指定している。

【秘訣】「タイル外壁ってどうなの?」35年後の張替えを想像する。

サッシ周りも両面テープでしっかりと防水処理がなされた。

…………….

玄関ドアも設置されました^^

厚さ約7cm超高断熱木製ドア(スウェーデン製)です。
(熱貫流率 0.85w / ㎡・K)
風合いと性能の両立ですね^^(値段は高い)

…………….

S邸では計画のメインである「断熱」「気密」工事に入りました。

リノベーションならではの難しさもあり、その都度大工さんと打合せしながら工事を進めています。

断熱・気密は最終的には現場の精度が命です。

工事監理者と施工者が一体となり精度を守っていきます。

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S邸リノベーション。27「床断熱材施工!UB設置。」

ゆうです^^

S邸の工事報告です。(9月下旬頃)

いよいよ床に断熱材が吹き付けられました!

超高断熱リノベーション工事本格始動です^^

前回の記事で床下地床断熱計画について報告していました^^

S邸リノベーション。25「床断熱・新規金物・防水シートと防蟻剤」

既存下地の上に新規下地を設け、断熱材の厚みを確保した。

前回から現場は進み、、、

既存下地下端に吹き付け断熱材を受けるシートが張り巡らされ、、、

ウレタンフォーム(断熱材)を吹き付け! 
吹き付け断熱材の利点は、狭い隙間にも密実に施工できること。
既存構造材などで隙間が出来やすいリノベーションには適している。

柱の根元など段差が多く施工が難しい部分にも、、、

密実に断熱施工!

給排水管などの周囲も隙間なくバッチリです^^!
とてもきれいな施工でした。(ありがとうございました!)

床の断面を見ると、こう!

床断熱材の厚みは180mm(通常の約2倍!)。
S邸のUA値は一般的な新築住宅よりも数段高いUA=0.35

今後、この上に気密シートを張り気密化していきます^^!
(吹き付け断熱で気密を取るわけではありません)

…………….

さてさて、浴室周りも断熱気密施工が進んでいます。

断熱材に欠損がないか。気密に欠損がないかを確認していく。
(この上にユニットバスが設置される。)

断熱材や気密テープを用いて壁・床の気密層と風呂の気密層を連続させる(重要!)

ユニットバスの施工が始まりました!

ユニットバスは金属の脚で土間に固定される。
その際に出来た断熱材の欠損は、、、

吹き付けスプレーで補修!ぬかりなし!

壁と床の取り合いをシーリング。

設備屋さん遅くまでありがとうございました。

断熱気密は設計(計画)はもちろん大切ですが、現場(施工)が要!

「絵に描いたモチ」とならないよう、設計者が現場を「工事監理」する。

当たり前のことを当たり前にやる家づくり。

・施工前の意思疎通、勘違い等がないかの確認。

・施工後の仕上がりの確認、小さな見落としがないか。

設計者も施工者も神経を張りながら、現場は一歩一歩着実に進んでいきます。

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S邸リノベーション。26「耐力壁のクギ工事監理!」

ゆうです^^

S邸の工事報告です。(9月上旬頃)

構造の要となる「耐力壁」の施工監理です!

設計事務所の工事監理業務の中でも非常に重要なポイントです。

今回、S邸では耐力壁に「モイス」を使用しています。

モイスは高倍率の耐力を持ち、防火性能も高い耐力壁です。

(外壁の種類に寄らない防火認定を取っているため板外壁と相性が良い)

ちなみに、サトウ工務店さんでは耐力壁「モイス」だけでなく「内装用モイス」も使われています^^

ケンチク探訪♪ 07『井土巻のコートハウス(サトウ工務店さん)』

既存タイベックを剥がしながら順番にモイスを張っていく。
(モイスはとても重いため施工は大変!大工さん、本当にお疲れ様です!)

エスネルデザインの業務はモイスの施工の監理。

具体的には「クギの種類」「クギのピッチ(間隔)」「施工精度」を一本一本確認していく。
(クギの数は合計数百本以上!)

「壁倍率(強さ)」によって「使用クギ」や「取り付けピッチ」はそれぞれ異なる。
構造計算で指定した壁倍率の仕様になっているかを現場で目視で確認していく。

間違いがなく施工されているかのダブルチェックが出来るのが「施工」と「設計+監理」が分離された建築方式のメリット。

施工の最終確認を設計者が行うことが出来ます。

「壁倍率2.7」→クギ種類:N50、クギピッチ:200mm(中通り)の確認。

「壁倍率3.8」→クギ種類:CN50、クギピッチ:75mm(外周)の確認。

また、クギのモイスへのめり込み具合も監理していく。
(上の写真は必要以上のめり込みがなく適切な施工。)

「モイスへのクギのめり込みは1mm未満」ととてもシビア。
大工さんは一本一本神経を使いながら留めつけていく。

なぜめり込みがいけないのか?



それは「クギとモイスが接している部分の長さ」で地震力に耐える力が決まるから。
(めり込みが大きければ接している長さが短くなり、地震に耐える力が弱くなってしまう)

このあたりを知らない施工者・設計者は少なくなく、また、監理も疎かにされがち。

「設計者も現場監督もクギの施工の監理をせず、全ては大工さん任せ」となっている現場も少なくない。

そして、大工さんの中には「強めに打ち込んでおけば良いだろう」と多少めり込ませて打つ人も、、、

「たかがクギ一本」と思われがちだが、その数が多ければ設計どおりの耐震性が発揮できないリスクが高まっていく。

耐力壁のクギの施工監理はとても重要です。

「縁からの離れ長さ」も確認する。(12mm以上→OK)
これが短いと割れにつながり、地震時に所定の耐力が発揮出来くなる可能性が。

モイスが貼られた外周部(内部より)。
新旧の柱と下地材の共演が素敵^^

建物内部では「構造用合板」を耐力壁に使用している部分もある。
(「壁倍率4倍」→クギ:CN65、ピッチ:200mm以下(中通り))

筋交い部分の金物も監理していく。

筋交いは「無垢材」。
金物だけでなく、材に大きな「節」等の問題がないかも一本一本監理していく。

サッシも搬入されました。

南面の大開口にはFIXガラスがはまり、眺望と採光を確保する。

ダイニングテーブルに光を導く東面の壁にも大開口FIXガラスが。
(すでに設置済み。とても良い感じです^^)

設計事務所の工事監理業務の中でも「耐力壁のクギの監理」は非常に重要なポイントになります。

壁に隠れて完成後には見えなくなってしまう部分。

丁寧に施工することはもちろんのこと、その監理(ダブルチェック)が大切です。

【追記】…………….

業界紙である「日経ホームビルダー」さんの2018.11月号にも耐力壁へのクギに関する記事が書かれていました。

家を工事するのは機械ではなく「人間」 。
ミスもある。(知識不足もあるかもしれない)

最終的には設計者(監理者)のチェックにより、必要に応じて是正措置を講ずることが求められる。

詳しくは「日経ホームビルダー」さんを。
読みやすくて参考になります。

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S邸リノベーション。25「床断熱・新規金物・防水シートと防蟻剤」

ゆうです^^

S邸の工事報告です。(8月末~9月頭)

金物を追加し、床断熱のための床下地工事が進んでいます。

外壁を全て剥がしたことで、既存の防水シートの(ずさんな)施工の様子が浮き彫りになりました。

全ての外壁が解体され、外周りは既存の防水紙のままとなりました。

よくよく見てみると、、、

角の柱が露出している→×
防水紙が張りきれていない。

柱が腐らなかったのは、外壁で防水が取れていたから。
もし外壁から雨漏りがあれば、その裏の防水紙の隙間から雨水が浸入し、柱は腐っていたかもしれない。

そしてこれ。

角の防水紙に隙間があるだけでなく、防水紙に茶色い染みが、、、

これ、柱に塗った「防蟻剤」が染み出たもの。
防蟻剤が溶け出すことで防水紙の防水性を低下させるリスクは数年前から問題になっている。

日本透湿防水シート協会HPより。

この件から、化学薬品はそれ自体では問題がなくとも、なにか他の条件と合わさることで想定外の事態を引き起こす可能性があることを学ばされました。

エスネルデザインでは、なるべく化学薬品は使わない家づくりを勧めています。
(新築住宅では高基礎とすることで防蟻剤は使用しない設計をしている)

シート自体の劣化はないようだった。
(また、水をかけてみたがある程度撥水性は保たれていた。)

…………….

そして現場の自慢がここ、仮設トイレ。

「仮設トイレのきれいさ」と「仕事の丁寧さ」は高確率で比例します。

素晴らしい!
匂いもないし、ペーパーも洗浄液もバッチリです^^

経験上、
「仮設トイレのきれいさ」は「棟梁のリーダーシップ、仕事へのプライド」とも比例していると感じています。

…………….

さてさて、内部も作業が進んでいます。

玄関土間。
これからタイルの上に断熱材を敷き、断熱気密を強化する。

やり直された床下地

給排水管も新規に入れ替え。
+既存大引きの上に新規の大引きを載せる。なぜか?

それは、、

【床付近詳細図(断面)】
既存大引きの上に新規大引きを載せるのは「床断熱材の厚みを確保するため」。
(ベージュ塗りつぶし部)

床断熱材の厚みは180mm(通常の約2倍)。
下地間に密実に入れるため現場吹きつけ断熱材とした。
(その上に気密シートを張る。これぞ『断熱リノベーション』!

※S邸のUA値は一般的な新築住宅よりも数段高いUA=0.35

オレンジ部の深さ分、断熱材が入る。

…………….

浴槽も解体された。
以前紹介した腐朽した土台は交換し、柱も取り除かれた。

S邸リノベーション。23「解体②浴室の柱の腐り・筋交いの欠損!」

新規柱の取り付けを待つ柱設置金物。

設置後は右側の柱のようになる。
引抜にも耐えられる金物で柱の設置も簡単。
(ホゾなどの加工が不要)

既存柱にも計算により必要な耐力の引き抜き金物を設置する。
(右は金物設置後)

金物設置は何十ヵ所にもなるため「計算」にも「監理」にも設計事務所の必要性を強く感じた。
(特にリノベーションには)

必要な部分に金物がなかった部分にも新規金物を取り付ける。

…………….

齋藤建築さん、細かい仕事をいつもありがとうございます。

リノベーションには

「設計」「断熱計算」「構造計算」など建築士の設計力。

「細かい調整作業」や「リノベーション経験」などの工務店の施工力。

「金物など詳細な仕様を漏れがないか点検」する監理力。

など、それぞれ専門性と手間が必要な工事であると毎回痛感させられます。

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【関連記事】…………….

S邸リノベーション。24「解体③床下地のやり直しと金物調査」
「良い現場の条件『仮設トイレ』。」
設計事務所の仕事『模型作成・日当たり検討』‐case.S邸‐

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S邸リノベーション。24「解体③床下地のやり直しと金物調査」

ゆうです。

S邸の解体報告その③です。

床下地のやり直しと金物の検査→是正について。

中古住宅は確認点&修正点がたくさんです!

外壁を剥がし終えたS邸。
(22年経過の既存防水紙はおおよそ問題は無いようだった)

さて、S邸は床が傾いているという問題が発覚していました。

S邸リノベーション。11「インスペクション実行『室内②床』。」

インスペクションの結果、最低部と最高部の差は5cm以上あることが分かりました。

考えられる原因として

①地震によって基礎の上の構造が傾いた。


②地盤沈下によって基礎ごと建物が傾いた。


③完成時から傾いている。(施工不良)

がありましたが床下を調査し「床下地の取り付けに間違いがあった」
(→③完成時から傾いている(施工不良))
であることが分かりました。

S邸リノベーション。12「インスペクション実行『室内③床下』。」

③であれば「床下地を直せば直る」話になります。

(原因が①や②の場合、床の傾きだけでなく、基礎や構造体へのダメージが考えられるため大問題→中古購入はお勧めできない。ということになっていた可能性あり)

床を剥いだ1階の様子。
この取り付け高さにズレがあったため床が傾いていた。
【ビフォー】

これが、、、

【アフター】
床下地(大引き)の高さを水平に直し、束(大引きを支える部材)を木製から調整の効く金属製に交換した。
(とても細かい作業。齋藤建築さんありがとうございます。)

2階の床下地(根太)。

2階も同様に床下地の高さ違いがあり、検討した結果これも”全て”設置し直すことに。
リノベーションは本当に手間のかかる作業が多い。

「中古+リノベーションであれば安くなる」と安易に考えるのは危険です。
正しく施工し直すと手間は新築の何倍もかかります。

多くの会社がリノベーションに手を出さないのは、
新築に比べて設計も施工も多大な手間がかかるから。

しかし、良い状態(=屋根や構造の傷みが少ない)の中古住宅であればリノベーションは、限りある資源を有効に利用することにつながります。

そして、新築同等(またはそれ以上)の性能まで高めた上で新築より安く済ませられる可能性があります。

S邸はそういう計画です。
(建物の劣化が少なかった+間取りの大きな変更が少なかったため実現できた。)

S邸リノベーション。21「工事スタート!超高断熱のS邸の性能。」

撤去されたグラスウール(断熱材)
通気層も防湿層もなかったが、カビは見当たらなかった。

その他…………….

浴室周りの土台。
水漏れにより一部が腐朽していた→新規土台に交換。

金物の調査。
正しく施工されていないものがほとんどだった。
金物の入れ替え・設置し直しなど、一箇所一箇所確認し現場に依頼する。

筋交い(地震に耐える部材)は金物施工されていなかった。
(ゼロから構造補強をし直す計画のため期待はしていなかったが)

金物施工が義務化されたのは2000年。
(この建物は1996年築)
今までの地震から、筋交いは金物施工しないと地震時に効果を十分に発揮できないことが分かっている。

基礎と土台をつなぐアンカーボルト。
既存の座金が小さいものだったので、地震時に土台がめり込みにより耐えられるよう大きなものに交換する計画とした。

また、ナットが緩んでいる箇所も見られた。
(→これから新築を建てるなら緩みづらいナット+座金を選定したいもの)

座金交換後。

構造柱となっていた床柱(2階の梁を支えていた)。
一般的には床柱は化粧柱(構造柱でない柱)であることが多いため撤去する予定だった。
しかし、撤去できない構造柱であることが分かり計画を変更することに。
(柱は新規柱に入れ替える)

リノベーションは、解体(構造材を確認)してから間取りが確定する。
そのため、解体後に「間取りを検討し直し→変更」する必要が出ることもあり気が抜けない。

リノベーションも新築も考え方(構造・断熱など)は同じですが、やり方は全く違うことを身を持って学んでいます。

解体してみないと工期やコストがはっきり分からないこともあり、新築以上に非常に難しい工事であることを痛感しています。

(S様には何度もご検討頂きお手数をお掛けしております、)

しかし、大変なことも多いですが、その分やりがいを感じます。

構造補強案が定まりひとつの山場を超えましたが、まだまだ工事は続きます。

これからも気を引き締めて監理していきます。

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S邸リノベーション。23「解体②浴室の柱の腐り・筋交いの欠損!」

ゆうです^^

S邸リノベーション工事は解体が進んでいます。

そして、やはりありました。

耐力壁の不備・柱の腐りが!

S邸の施工は角田の齋藤建築設計さん。

前職でも新築で一緒に仕事させて頂いた方。
改修工事をされるとも多く、リノベーション工事には適任ということでS様にご紹介させて頂きました。

なにより棟梁(会社の代表)が現場で作業されるのが素晴らしい。
地元に根付いた仕事をされていてとても頼りになる方です。

豊かな暮らしのつくり方。13-2ー『良い工務店の見極め方②「地元・リフォーム」。』ー

リノベーションでは柱・梁や下地材はそのまま使用するので丁寧で慎重な解体が必要。
(とても手間がかかる)

実は僕には「ある不安」がありました。

それは、出窓周りの漏水→腐り。

以前、ある家の出窓からの漏水で、壁内がカビまみれになった様子を見ていたからです。

【秘訣】壁内にカビ発生。「中古住宅購入時の注意点」

S邸にも出窓が複数ついていた。
(出窓は20年前あたりに流行った)

出窓周り(=建物外周部)の柱が腐ると構造的な問題に直結する可能性が高い。

(耐震性など)

恐る恐る解体した出窓を見てみると、、、

おぉ!きれい!

多少のシミはあったが、腐りはなかった。
ホッとひと安心。
(他の出窓も同様に問題はなかった)

気を取り直して解体中の浴室へ。

S邸は在来工法の浴室でした。
(ユニットバスでなく、タイルを張って造った浴室)

こうして見ると現代アートのよう。
(廃退系・ボルタンスキー系)

そして、あってしまいました。

柱の腐りが。

浴室ドアで防水層が切れる部分。
水がかりも多く一番リスクのある部分。

柱の根元は腐って完全になくなっていた。
柱の下の土台も腐朽していた。

上部までスカスカに。
シロアリとは違う腐りによる症状。

少し脅かすような書き方をしてしまいましたが、この腐りは想定内でした。

建物の購入前にインスペクション(住宅診断)で確認していたからです。

S邸リノベーション。11「インスペクション実行『室内②床』。」

また、築数十年の家では腐った柱があることは多々あります。
(齋藤建築さんも馴れた様子だった。)

大切なのは、
新たな耐震補強計画を立て、新しい柱に適切に交換すること。

そのためには、インスペクションやリノベーションが必要になってきます。

そして、構造的な問題はもうひとつ、、、

赤丸部分をよく見てみると、、、

筋交いに穴が!
(地震に耐える部材)

これでは、地震時に耐力が発揮できず折れてしまいます。

多くの建物が倒壊した熊本地震でも、倒壊の多くの理由は
耐力壁の施工不良
でした。
(筋交いの欠損、金物がない、施工ミスなど)

設計図に耐力壁を書いていても施工ミスがあれば、耐力壁は計算通りの力を発揮しません。

筋交いのこの手の穴はよくあるんです。

この穴はエアコンを後付けしたときに出来た穴です。

エアコンの後付けは、
構造的にも、防水的にも、断熱気密的にもリスクが高い工事になります。

後付けの必要がないように、エアコンの設置も新築時にしっかり計画しておきたいものです。
(そのためには断熱や空調計画を綿密に検討しておく必要がある)

このように、中古住宅(もしかしたら新築でも)にはリスクがたくさんあります。

S邸では新たな耐震補強計画を基に問題のある部分を改修していきます。

中古住宅でも新築でも良い家を建てるのに重要なのは
「設計」「工事監理」の両方です。

-「超高断熱の小さな家」escnel design-
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S邸リノベーション。22「解体!防水紙・GW・ビニールクロスの経年変化。」

ゆうです^^

現在S邸リノベーション工事が進んでいます。

夏前の話ですが、解体の様子を一部ご紹介。

22年経った防水紙やシーリング、グラスウール、ビニールクロスはどんな変化をしているのでしょうか。

エスネルデザインでは新築だけでなく中古住宅のリノベーションも勧めています。
それは『それぞれの家族に適した豊かな暮らしがある』から。
新築しか選択肢がないわけではありません。
「その家にいつまで住むのか」
「老後に移住する可能性」
「未来の住宅の価値はどうなるのか」
「希望するエリアにちょうど良い土地がない」
「今ある建物を有効に利用したいという想い」
など、新築より中古を選ぶ理由はたくさんあります。
S様には中古リノベーションと縁がありました。
網川原のエスネルのK様は新築を計画中です。

僕は現在、二世帯暮らしをしています。

「みんな違ってみんな良い。」

僕は『その方に合った豊かな暮らし』から具体的な住の形を提案したいと考えています。

外部の調査はしていたが、足場が掛かりより近くで確認が出来るようになった。

S邸リノベーション。08「インスペクション実行『外周り①』。」

雨があたり塗装が剥げた幕板。

外壁(窯業系サイディング)も傷みが激しい。
窯業系サイディングは10年おきなどに全面塗装が必要。
塗装しないと雨水がサイディング内に入り込みより傷みが増していく。
→イニシャルコストが低くてもメンテナンスコストがかかるため、エスネルデザインではお勧めしていない。

【秘訣】「おすすめ外壁は板張り。」35年間のメンテ・費用を考える。

切れたシーリング。

22年経った雨樋(樹脂製)は使用に問題はないが、色褪せは進んでいる。
(現在のものはより色褪せづらくなっていると思われるが)

解体が進む内部へ。

タイベック(防水紙)の劣化を調べるため、一部切り取ってもらった。

パッと見たところ、割けもなく健全そうに見える。
雨漏りの様子もない。

折ったり裂こうとしたり負荷をかけたが切れることはなかった。

師匠のブログによると、24~26年前にタイベックには「熱劣化安定剤」が加えられたそう。
そのお陰か22年経ったものでも劣化はほぼしていないように感じられた。

(それ以前のタイベックは熱による割けなどの劣化が起きることがある。

また、タイベック(デュポン社)以外の防水紙には「熱劣化安定剤」がどれほど付加されているかは不明。)

詳しくは師匠のブログを↓
外壁の防風透湿防水シートの寿命・・・20年!!

住宅は、最終的には防水紙で防水性が守られている。

エスネルデザインでは、防水紙だけでなく『付加断熱材』を構造材の外に施工する。
(非浸透性のボード系断熱材)
これは断熱性の向上だけではなく、防水性の向上も目的としているためです。

家の寿命は「雨漏りによる構造材の腐り」で決まることが多い。
防水は何重もの安全を考え、堅実に設計していきたい。
(軒の出ゼロや厳しいサッシ納まりなどはしない)

【秘訣】「タイル外壁ってどうなの?」35年後の張替えを想像する。

壁内に充填されていたグラスウール(断熱材)。
壁の外に通気層もなく、室内側に防湿層もなかったが「壁内結露→カビ発生」はしていなかった。
(一部黒い部分はカビではない)

22年経ったビニールクロス。
窓の周辺は一部はがれている部分もあった。

折ってみたが、弾性は(ある程度)保たれていた。

ビニールクロスの色の変化が分かる一枚。
(照明撤去後)

タバコを吸われていたであろう部屋の天井の色変化。
(シーリングライト撤去後)

その他…………….

2階天井撤去後。

 屋根下地の荒板に雨漏りの様子はなくひと安心。
(インスペクションで確認していたが)

S邸リノベーション。13「インスペクション実行『室内④小屋裏』。」

おまけ…………….

綺麗に整頓された撤去物たち。
こういう仕事をされる大工さんに家を建ててもらいたい。

僕は、新築だけでなくリノベーションにも精通した設計士でありたい。

それは、建材の経年変化への想像力を持っていたいから。

「この材は20年以上持つのか」

「メンテナンス費用があとからかかるのではないか」

「この納まりで防水性はどのくらいの年月問題ないのか」

「美観上はどうか。長く愛着のわく家となるか」

危ういと思えば、それを踏まえて安全性の高い設計を考え直す。

「危うい」と感じるためには、実際に20~30年と時間の経った建材に触れる必要がある。

「リノベーションの設計」は「新築の設計」へつながっていきます。

※僕が築35年以上の我が家に住み続けているのは
「築年数が経った建物に実際に住んで感じる」という理由もある。

…………….

S邸リノベーション工事、まだまだ続きます。
次回もお楽しみに^^

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