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【秘訣】太陽光発電のメリットと「雨漏り・積雪リスク」。

ゆうです^^

先日、新築を考えている友人から

「ZEH(ゼロエネルギーハウス)ってどうなの?」

という質問を受けました。

画像はYKK APさんHPより。

「ZEH(ゼロエネルギーハウス)」とは簡単に言えば、

・断熱性を高めたりエコ設備を選んだりして、使うエネルギーを減らそう。


・太陽光発電パネルを載せて、エネルギーを自宅で作ろう。

その結果、
「通常使用していたエネルギー以上のエネルギーを削減・創エネできればゼロエネルギー住宅の認定をしますよ。」というもの。

端的に言えば「太陽光パネルを載せること。」がZEHの条件です。

僕は友人に、

「ZEHは積極的には勧めていないね。」

と答えました。

なぜかは追ってお伝えします。

…………………………..

なぜハウスメーカーはZEHを推しているのか。

いくつか理由があります。

・住宅を売る理由付けをするため。
 (新製品が出れば注目を集めますよね。CMもしやすい。)

補助金が出るため。
 (2018年度は70万円ほどの補助金が出る予定です。)

国が推しているため。
 (大手メーカーは国からZEHを推進するよう言われている。)

ではなぜ国は推しているのでしょうか。

・日本のエネルギー自給率向上のため
 (日本のエネルギー自給率はたったの6%ほど)

そして、ゆくゆくは、

・日本の輸出できる技術である「蓄電池」を世界に売りたいため。
 (日本の蓄電池技術は世界的なシェアがある。電気自動車の普及で需要も拡大している。)

①太陽光発電ブームを作る。

②売電価格を下げる(→自宅で消費するほうがメリットが出る。)

③発電した電気を売らずに「蓄電」し、夜間利用にまわしたほうが経済的になる。

④蓄電池が売れる

⑤蓄電池の製造コストが下がり、日本の蓄電池の国際的な競争力が高まる。

⑥輸出し、外貨を稼ぐ。

というスキームです。

…………………………..

それでは、太陽光発電のメリット・デメリットとは?

【メリット】

・発電時に廃棄物が発生せず、環境負荷が低い。

・屋根に設置できるので設置におけるハードルが低い。

・停電時に非常用の電源として使うことが出来る。

・発電した電力を自宅で使ったり売電したりできるため、投資としての価値がある。

【デメリット】

・発電量が天候によって大きく左右される。

・夜間は発電できない。

・株などの他の投資と比べて流動性がない。故障リスクがある。

※発電した電力の売電価格は年々下がっています。
また、パネルの設置費用も年々下がっています。
投資としての価値があるかは個人で検討してみてください。

…………………………..

前置きが長くなりました。

僕がなぜ「ZEHを積極的には勧めない。」と言ったのか。

正確に言えば、

「太陽光発電は積極的に勧めない。」

という意味です。

それは、エネルギー自給の観点からでも、投資的な不安からでもありません。

雨漏りリスクが怖いからです。

そして、

積雪・落雪リスクが怖いからです。

屋根に太陽光パネルを設置する場合、

屋根にビスで穴を開けて留めつけます。

もちろん雨が入らないよう防水処理はするのですが、何年持つかは不明。
(シーリングという防水性のあるボンドのようなもの)

(※屋根に穴を開けずに設置する工法もある。)

さらに、新潟には積雪リスクがあります。

パネルの上の積雪は、最悪パネルを壊します。
(一般的な太陽光パネルは耐雪1m)

パネルの上に雪の重みが乗ると、パネルを留めているビスの負担が大きくなるため、想定以上に雨漏りリスクが大きくなるかもしれません。

(もちろん雪が乗っていれば発電はしません。)

そして、落雪リスクがあります。

通常、新潟では落雪しないように軒先に雪止めアングルを設置します。

しかし、雪止めアングルの量が少ないと雪の重さに耐えられず、パネル上に乗った雪が一気に落ちることがあり得ます。

(今年の大雪でそういった事態が発生したという話を聞きました。雪が落ちた先の1階の屋根が壊れてしまったそうです。)

ある家の屋根。雪止めアングルは屋根先端に1列のみ。
積雪量と屋根勾配を考慮すると適正アングル量は3列ほどか。
大雪でアングルに大量の雪が貯まり、バルコニーなどに一気に落下しないことを願う。

逆に、必要量のアングルをつけようとすると、設置できるパネルの量が減ってしまいます。

パネルに雪が乗りっぱなしになるため、雨漏りリスクやパネル破壊リスクも上がります。

また、雪止めアングルを設置せずに「落雪」させるパターンもあります。

その場合、雪が落ちる側に広い庭が必要になりますが、そのような敷地は多くはありません。

また、近年増加している太陽光パネルのリスクに、

「火災」「風害」があります。

日経ホームビルダー2018.1月号より。
詳しくは上記サイトより購入して頂きたい。

「火災」は、

・パネルが瓦の影になり発電が阻害され電気抵抗が増え、発火。

・雑な施工により漏電し発火。

・雪の重みでパネルと雪止め金物が接触しショートし発火。

「風害」は、

・基準風速以下だったがパネルが飛んだ。

・屋根の谷の部分で部分的に風圧が強まりパネルが飛んだ。

基準適合外のパネルを使用していた。

想定風速以上の風が短期的に吹いたためパネルが飛んだ。

2017にはJIS基準の風圧荷重の見直しがあり風圧加重は従来想定していた約2倍に引き上げられました。

これって相当やばい話。

それまでのパネルの耐風圧性能は必要量の1/2しかないと言っているようなもの。
(それだけ風が局所的に強まる可能性があるということ。)

火災も風害も最悪の場合人命に関わる話だ。

確率にもよるが、安全性によりも経済性を優先することは出来ない。

太陽光パネルが一気に普及したのは、売電価格が2倍になった2010年から。

もうすぐ10年が経つ。

屋根のシーリングが劣化し始めるのは5~10年ごろからと言われている。

2020年あたりから太陽光パネルの雨漏り問題は大きく顕在化するかもしれない。

そうなったら発電の売電で儲けるどころではない。

雨漏りは原因位置の特定が難しく対処に大きな費用がかかる。

雨漏り発生の発見も遅れがちで、最悪の場合、気づかないうちに柱が腐りシロアリを呼び寄せることも。

僕が「ZEH(屋根に載せる太陽光発電)を積極的に勧めてはいない。」と言った理由はここにある。

最終的には、建て主がそのリスクを理解し、メリットとリスクを計りにかけた上で太陽光発電を採用するかしないかを決めれば良い。

設計者はその判断の手伝いをする。

起こり得る可能性をできるだけ正確に分かりやすく伝えることが設計者には求められる。

最悪の自体が起きる可能性があることを想定しておくことが後悔のない家づくりをする秘訣だろう。

※もちろん限りあるエネルギーを大切に使うこと、再生可能エネルギーを積極的に利用することは大切。
しかしそれを家の屋根でやる必要があるのか、エネルギー削減効果は大きいのか、リスクと比べてその価値はあるのか、など慎重に、論点を整理して考え決めることが重要。

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住宅に使われるガラスの種類。「日射熱取得率とは。」

ゆうです^^

皆さんは住宅の窓ガラスにはいろいろな種類があることを知っていますでしょうか。

今回はガラスの種類の中でも「熱貫流率」と「日射熱取得率」について。

・「熱貫流率」とは、熱の逃げ具合の良し悪し。

 熱貫流率が小さいと、熱の逃げが少なく断熱性が高い。

・「日射熱取得率」は字のまま。日射熱を取得できる率。

 日射熱取得率が大きいと、太陽の熱を多く得ることができる。
 (特に冬場に有効。)

上の画像には、

CVDガラスは、

「日射熱の取得に優れ、冬を重視する寒冷地におすすめです。」

と書かれています。

意味としては、「太陽熱を少しでも暖房に活かせますよ」ということ。

これだけ見たら「新潟は寒冷地だしCVDガラスにしよう♪」と思われる人もいるかもしれません。

しかし、ここ要注意です!!

CVDガラスのような日射熱取得率の高いガラスを選ぶ際にはいくつか条件があります。



①冬場の日射が見込めること

 ・南側に日射を遮るものはないかどうか。(隣家など)
 
 ・冬場の日射量は十分にある地域かどうか。

 →主に太平洋側ですね。新潟では冬場の日射は見込めません、、
  

②夏場の日射を防ぐすべがあること

 ・日射熱を取得しやすい場合、夏場に取得する熱も増えます。
  それを遮る対策はあるか。
  (庇やすだれや外部ブラインドなど)

 →対策がなければ、冷房費が余計にかかってきてしまいます。

③熱貫流率の低下とのバランスはどうか

ここはけっこうポイントです。
(十分理解していない設計者もいるかもしれません。)

画像を見ても分かるとおり、日射熱取得率の高いCVDガラスは他のガラスに比べて、断熱性(熱貫流率)が悪いです。
(およそ2割ほど性能ダウン)

なので、

冬場の日射を得るためにCVDガラスにしたけれど、

「取得した日射熱より逃げる熱のほうが多くなっちゃった」

なんてことになれば差し引きマイナスですよね。

新潟のように冬場の日射に恵まれていない地域では往々にそうなりがちです。

このあたりは計算してみないとハッキリとした判断はできません。

寒冷地とひとことで言っても、

「日射が多い寒冷地」

「日射が少ない寒冷地」があり、

それによって選ばれるガラスも違ってくる、ということですね。

(そして、新潟は「日射が少ない寒冷地」、、)

たかがガラス1枚でも年間の冷暖房費の差が数千円、

家一棟で年間数万円、

30年住んだら何十万円!?

なるべくランニングコストは抑えたいですよね。

設計の工夫でそれは可能です。

冷暖房した熱をできるだけ無駄にしないよう
知識を持って適切な設計提案をしていきたいですね。

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設備を選ぶ上で大切にしていること。

ゆうです。

住宅を設計する場合、多くの設備を選定します。

僕は使用する設備を選定する上で心がけていることがあります。

愛車の双太郎と毎日走る通勤路。

住宅の設備には、すぐに思いつく

キッチンや洗面台やお風呂のほかにも、

換気扇や照明や冷暖房機器、給配水管、などなど。

自動車ほどではありませんがそれでも多くの機器があります。

それを選ぶ際に、どういったところを決め手として選ぶのか。

効率なのか。

見た目なのか。

イニシャルコストなのか。

ランニングコストなのか。

維持管理手間なのか。

様々な検討軸があります。

例えば、換気扇。

現在の設備には「熱交換型換気扇」という排気する空気の熱を給する空気に移すことができる換気扇があります。

冬場、室内24度、室外4度のときに、

普通の換気扇なら換気扇から4度の空気が入ってきますが、

熱交換型換気扇だと捨てる熱を回収して例えば18度にして室内に入れることができる、といった換気扇です。

これだけ聞くと、とても良い設備に思えますよね。

現在の事務所でも熱交換型換気扇を選んでいます。

しかし、もちろんメリットだけではありません。

・イニシャルコストが普通の換気扇より高い。

・ランニングコストが普通の換気扇より高い。

・フィルターの清掃、交換が年数回必要。

・ダクトタイプの場合、数年経ったときのダクトの汚れは未知。

・壊れたときの交換費用も高くかかる場合がある。

、、、、

などなど。

なにが言いたいかというと、

熱交換型換気扇=善

でも

熱交換型換気扇=悪

でもなく、

様々な検討軸があるということ。

(そして、往々にして複雑なシステムは交換時にコストがかかるということ)

―――――

こんなことを書いたのには理由があります。

最近、愛車の双太郎の調子が悪くなってきて、

アイドリングストップ後に自動でエンジンがかからないことが増えてきました。

おそらく直すには、大きな費用がかかります。

愛着がある分せつないですし、費用負担はとてもストレスです。

そのときに改めて気づかされました。

「設備はシンプルが一番なんだ。」

「新品時や使用時だけでなく、壊れた後の取替え等もとても重要だ。」

電気で動くものはいずれ壊れます。

換気扇や冷暖房機などは、

・維持管理がしやすいこと

・大きな費用がかからずに交換できること

が一番大事だと改めて感じました。

(エスネルのE・・・Easyの部分です。)

僕の師匠は「無難な設計」と呼んでいました。

(先日のエアコン買い替えもなるべく付加機能が少ないものを選びました。)

太陽光パネルなども同じです。

住宅の屋根に乗せる場合、パネルを設置した穴から雨漏りを起こすことがあります。

特に雪の重さがかかる雪国では。

太陽光パネルが大きく一般的に普及し始めて、そろそろ10年。

シーリング(≒防水ボンド)が切れ出す頃です。

全てとは言いませんが、不具合が出てくる家もあるかもしれません。

(屋根に穴を開けない工法もあります)

太陽光でも「設備はシンプルに。交換がしやすいものを。」

と言えるのかもしれません。

逆に、断熱性や耐震性など、地震でもない限り壊れづらいものにはお金や手間をかけて良いと思っています。

『高断熱・高耐震』

『設備はシンプルに。交換しやすいものを。』

日々の経験から学び、長い目で見て住まわれる方のためになる住宅を提案していきたいと改めて思いました。