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【実験】耐力壁の壊れ方を体感!「タツミさんで構造実験。」壊れ方と勘所。

ゆうです^^

先日、スペシャルな実験に参加してきました。

それは、耐力壁を壊しきるというもの!

地震から家を守る耐力壁はどのようにして壊れていくのか?

なにを意識して設計を行うべきなのか?

カタログ上の数値と実際の強さの差は?

ウッドハブさん、タツミさん、住学の連携により、最高の体験を得ることができました^^

今回は、住学の真価を強く感じました!

耐力壁の実験を行うには数十万円もの費用がかかるそう、

住学構造部主宰のウッドハブさんと、材木プレカット+金物メーカーであるタツミさんのつながりによりそれが実現しました^^

個人では出来ないことが出来るのは集団の力ですね。

皆さま、大変ありがとうございました!

株式会社タツミ | 株式会社タツミは地震に強い「木の家」をつくる 接合金具のパイオニアです。
WOOD HUB

【構造】住学構造部スタート!01「本物の学校で授業!」。

住学メンバーがタツミさん本社に集合♪
今回は貴重な体験のため参加率も高め!

まずは住学構造部部長のウッドハブ實成さんによる実験内容の説明。

タツミさんの社員の方々も大勢ご協力頂きました!

ありがとうございました!

さて、実験は

耐力壁(「筋交い」と呼ばれるつっかえ棒のようなもの)に、横から力(地震力)を加えたときに耐力壁がどのように変化するのかを知る

というもの。

注目ポイントは、


・加えた力を抜くと元に戻るか
 →元に戻れば耐力壁の損傷はないということ。
 (次回の地震時にも力を発揮する)

・実際にどれほど強いのか
 →構造計算で使われる数値との差。安全率の程度を知る。

・最後の壊れ方はどのようになるのか
 →どこがどう壊れるのか。木造の勘所を知る。

こういった点は参考書を見ているだけではイメージしづらいもの。

実際に目の前で実験を見られるのは本当に貴重でした!

いざ!試験場へ!

おぉー!すごい!

感動です^^

実物大の筋交い(斜め材)。
実際の住宅でもこのように設置される。

土台の両サイドに柱が立ち、間に筋交いが斜めに入る。
筋交いは専用の「筋交い金物」で柱に固定される。

筋交い金物には多くの種類があり、それぞれの金物によって挙動が異なることにも注意。

梁(横材)の脇についている加力機により徐々に力を与えていく。
(押したり引いたり)

今回の筋交い金物は「柱付け型」。
(他には「柱+土台両付け型」がある)

実験前の筋交いは、柱と土台にピッタリとくっついている。

柱は引き寄せ金物で強固に固定される。
(35kN相当品)

筋交いの中央部は「間柱(細い下地用の柱)」にクギ2本で固定される。

…………….

準備が整い、実験スタート!

まずは向かって右側に梁を引っ張っていく。
筋交いには、伸びる(引張)方向に力がかかる。

要所で實成部長の解説が入り、とても分かりやすかったです^^

引っ張られて筋交いが浮いてきた!
(裏側から撮影)

知識としては知っていましたが、目の前で見るとインパクトが大きい!
地震時はこういう動きをしているですね。

まさに、百聞は一見にしかず!

よく見ると金物がずれてきているのが分かる。
(木材についた線との差より)

「上下のズレ長さ(変位)」「与えた力」を測定していく。

まずは、構造計算で想定しているズレ長さまで梁を押していきます。

変形角で言うと1/120rad。
(今回の試験体の高さが2.73mなので、1/120rad時の上下のズレ長さは約2.3cm)

その時に、筋交い(45×90)は「約270kgで押しても大丈夫」というルールの下、構造計算が行われている。
(筋交い引張時)

実際はどうだったのでしょうか?

実験では、約350kgで押しても大丈夫でした^^
(1/120rad時に約350kg)

つまり、ルールよりも実際は、350/270=約1.3倍強かった。

余力がそれだけあるということが分かりました^^

(圧縮時も同様だった)
(ルールでは440kgのところ、600kgまでいけた。→600/440=約1.3倍)

また、押した力を抜いてみると、およそ元通りの位置まで戻りました。

「耐力壁に損傷がない」ということ。

「耐力壁が繰り返し使える」ということ。

構造計算で使用する耐力壁の強度内であれば、耐力壁はほぼ損傷せず、繰り返し使えるということが分かりました^^

専門的に言うと「弾性」範囲内であるということ。

(弾性=「力を加えると変形するが、力を取り除くと変形も無くなる(元の状態に戻る)」という性質)

熊本地震のような繰り返し起こる地震に耐えることを想定する場合、この「弾性範囲内」での耐震性を上げる(=耐力壁を増やす=耐震等級を上げる)ことがひとつのポイントになります。

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

構造計算で扱っている強さよりも実際の強さは余力があることが分かりました^^

そして、その範囲内であれば、元に戻る(繰り返し使える)ことが分かりました。

ではでは、お待ちかねの最後はどう壊れるのか?

少年心がうずきます♪

筋交いに圧縮がかかった時の様子。
(梁を奥に押している)

圧縮は引張よりも1.6倍以上の耐力がある。

ただし、適切に筋交いを押さえないと「座屈」を起こしてしまう。
(写真赤丸のように、面外にたわんでしまう)

座屈により「筋交いが間柱から離れてしまっている」様子が分かる。

(当該部のクギの留め方もポイントになる)

筋交い引張側に梁を押していく。

徐々に筋交いが土台と離れていきます。

そして、ついに、、!

バキ!!

筋交いが割裂しました!

よく見ると、筋交いに打たれたビスを基点にして割れている様子が伺える。

金物もここまでズレていた。

筋交い破壊時(引張)にかかった力は約800kg。

構造計算で使う耐力(引張)270kgの約3倍でした。

横力により土台に柱がめり込んだ様子(破壊時)。

構造計算ではめり込みに対する検定も行われる。

破壊の瞬間の動画です。

破壊と同時に歓声?が沸き起こりました^^

破壊時の金物の様子。

興味深いのは「金物・ビスの変形・損傷は少ない」こと。

金物が先に壊れないよう、金物の強度は木の耐力より強くなっている。
(剛性が高い。その良し悪しは下記に記載)

木の材質の良し悪しで耐力が決まるということ。

壊れた筋交いをよく見ると、ビスが打たれたところから割裂しているのが分かった。

筋交い(木)は引っ張られ回転するがビスは回転しないため 、ビスにより、木を中心から外側へ裂くような力が発生したように見受けられた。

ビス穴が広がっている(木部にめり込んでいる)様子も見て取れた。

ここで頭に浮かんだのが筋交い材の「節のありなし」。

今回使用された筋交いは綺麗な節無しのものだったが、実際に建築現場で使われる筋交いは節があるものも多い。
(無節材は高価なため)

また、節も「問題がない節」と「問題がある節」がある。

ざっくり言えば、この割裂した線上(+ビス付近)に節があるものは危うい。
(耐力が著しく低下するリスクがある)

エスネルデザインでは、筋交いをあまり採用していない(耐力壁は面材がほとんど)が、よく使用していた前職時は、筋交いの節の工事監理は慎重に行っていた。

(家中の全ての筋交いの節の具合を監理するのはとても大変。)
(節の監理は一般的にはほぼ行われないと思われる)

筋交いを採用する場合は、金物選定や施工の確認と共に「節の監理」が非常に大切なポイントになる。

今回の実験を経て、工事監理の重要性を再認識しました。

設計事務所の仕事『第三者による工事監理「工事監理報告書」作成。』

【網川原のエスネル‐11】配筋工事監理!「第三者監理の重要性」

筋交いの実験は金物を換えてもう一度行われました。

「ブレスターZ600」という異型の筋交い金物。
先ほどの金物と異なる「柱+土台両取り付け型」。

木造筋交い用接合金物なら【ブレスターZ 600】 | 岡部株式会社

高い初期剛性と高い「粘り・靭性」が大きな特徴。
(画像はメーカーHPより)

同様に実験開始。

先ほどの金物では筋交いが割裂した力を与えても、割裂は起こらず、まだまだ余裕があった。
(かなりの力を与えても筋交いの破壊まで至らなかった)

ポイントは、「金物が変形」し、筋交いへの負担を肩代わりしている点。

金物の粘りにより、筋交いのビス部に力が集中することを避け、力を木と金物に分散することで、筋交いの割裂を防止している。

興味があればブレスターの動画が面白いです^^

…………….

今回の実験で、

・筋交いの強さ、余力、弾性。




・筋交いの壊れ方




・金物の選定、筋交い材(節の監理)の重要性

などとても勉強させて頂きました。

そして、最も重要なことは

「設計者が何が肝心なのかを知っていること」

なのだと再認識できました。

ただ単に、節を嫌ったり、弱い金物を嫌ったり、筋交いそのものを嫌うのではなく、

「こういった破壊をするから、このあたりのこの節は危険だろう。→交換」




「このあたりの節で、サイズもこの程度であれば問題ないだろう。」




「剛性だけでなく、靭性も考慮したいからこの金物を選ぼう。」




「そもそも地震時の損傷(変位)が少ないように耐震等級を上げておこう。」

など、「理由(目的)」を持って設計することが大切ですね。

自分の中に「根拠」を持つために、実験を目の前でみることは非常に有効でした。

タツミさん、ウッドハブさん、皆さま本当にありがとうございました。

今後の設計に活かさせて頂きます。

今度とも何卒宜しくお願い致します!

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。

趣味:家族旅行・カフェ巡り・夕日ドライブ・息子と娘と遊ぶこと♪

メッセージはメールインスタからどうぞ^^

【関連記事】…………….

【構造】住学構造部スタート!01「本物の学校で授業!」。

設計事務所の仕事『第三者による工事監理「工事監理報告書」作成。』

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

ネイティブディメンションズの鈴木さんもこの日の実験についてブログを書かれています^^

住まいの学校の放課後部活動 – native dimensions blog

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【構造】住学構造部02「構造計算のメリットと必要性。」

ゆうです^^

先日、住学構造部第三回が開催されました。

今回も面白かった!

構造計算のメリットとは。

・構造計算をしない簡易な検定とどう異なるのか。

建物の形状によってどのような注意が必要になるのか。

授業の一部をご紹介いたします♪

構造部の授業内容はプロ向けですが、エスネルブログでは建て主様向けにアレンジしてお伝えします。

(紹介は一部です。プロの方は構造部入部オススメです^^)

「構造」

というと

「ちょっと難しそう?面倒そう?」


「そこはプロに任せたい、」

と思われるかもしれません。

ハッキリ言うと、構造は難しくて面倒です笑

(簡単に言うと「数学と物理のお勉強+材料工学」)

重要なのは、構造は難しく面倒なので

プロでも正しく理解している人は少ない

というところ。

建て主様側としては、良い家を建てるには

依頼先の設計者が構造を理解して間取りを作っているかどうか

を把握してから家づくりを進めることが重要になります。

そのためには、建て主様も

・少し構造の知識を持っておくと良い。

または、

・知識を持ったプロかどうか調べられると良い。
 (設計士に直接聞く、ブログを読むなど)

相手の設計士が構造に詳しいかどうかを見抜く質問としては例えば

「もし自邸を建てるなら耐震等級はどのくらいにしますか?」

とか。

この質問の回答でポイントなのは、等級のランクではなくその等級を選んだ根拠です。

・どの程度の地震がどの程度の頻度で発生することを想定するか

・間取りとの兼ね合い

・積雪地であれば、冬以外の時期の余力

・積雪時だからこその冬期の地震に対する余力

・コストバランス、貯金(保険)とのバランス

・その家に何年住むのか

・今までの地震の被害の知識

、、、

耐震性を決める要因はたくさんあります。

要因によって求められる耐震性はそれぞれ。

ただし、そこに根拠があるかどうかがとても重要です。

専門的な知識が全くなくても大丈夫です。

相手の回答を聞いて

「この人なら信頼できそうだ。」

と感じられれば十分かと思います^^

(耐震性に限らず、設計士の人間性・思想はその他の部分の設計にも影響を与えます)

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」②

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。
設計事務所の仕事『ラフプラン検討。』間取りと構造。

…………….

いつもどおり前置きが長くなってしまいました(^^;)

それでは第三回構造部について!

校長の挨拶でスタート!

「多くの地震を経験した新潟は、構造に強い設計士が生まれるポテンシャルがある。」

その通りですね!
傷みがあるほど人は成長します。

『中越沖地震から10年』家を建てる上で最も大切なこと。

会場は、エスネルデザインが入っている「ものづくり学校」303教室の隣の301教室。

いつも車で長距離移動をしているので、数歩で行けるのがとても助かる^^

部長の實成さん作成の資料を一部ご紹介!

構造計算をしない場合、壁量計算という簡易な検定のみで検討が終わる。

弊害としては
 ・いろいろ検討が足りていないことが多い
 ・簡易な分、設計の自由度が狭まる
 ・安全率が高い分、材料コストがかかる場合も

「壁量計算クリア=耐震等級1相当(=建築基準法最低限レベル)」

ということになっているが、計算してみると差があることが分かる。

構造計算で耐震等級1を満たす場合、壁量計算の1.4~1.5倍の耐力壁が必要。

理由は、
壁量計算は、内壁など余力も耐力として計算に含めているが、
構造計算は、それらの余力は含めずに計算するため。

→同じ耐震等級1でも、壁量計算のものと構造計算のものでは耐力壁の量が異なる。
 (構造計算のほうが余力を多く残す設計)

「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(通称グレー本)」より。

まとめると、
「耐力壁が負担している割合は地震力の約半分。もう半分は内装壁が負担してる。」
(耐力壁…計算に入れる。内装壁…計算に入れない(ことが多い))

半分って、、、

最初に知ったときはその大きさに驚愕しました。

余力の確保が重要であることが分かる。

また、壁量計算(簡易検定)には雪の重さが加味されていない。

新潟ではありえませんよね。

地震力は重さが大きくなるほど大きくなります。

新潟では構造計算は必須です(断言)。

ホワイトボードを使いながら軽快に分かりやすく説明される實成さん。
理解の確認やより深い話を聞くことが出来てとてもありがたい!

グレー本より。
「建物の平面、立面は耐震的には単純なものが好ましい。」

凹凸のあるプランはそれぞれの部分ごとに複数回構造計算を行い、安全性を確かめる必要がある。
(それでも弱い部分は内装の損傷などは起きやすい)

エスネルデザインはコストを重要視する設計事務所です。

それはゆとりある豊かな暮らし(家計)のために。

我が家は中越沖地震で大きな被害(安全+経済的)を受けました。

イニシャルコストだけでなく、被災時の経済的被害抑止に関しても重要視しています。

そのため、基本的には凹凸の少ない総二階のプランをベースにご提案させて頂いています。

…………….

構造部第三回目もとても勉強になりました^^

實成さんを始め、ウッドハブさん大変ありがとうございました。

今回ご紹介したのは授業の半分以下で、特に建て主様に伝えたい部分のみ。

深く学びたいプロの方は構造部入部をオススメいたします。

(構造部の真髄は實成さんのトークにある!)

實成さんに直接質問もできるため、悩んでいる実務者にはとてもありがたいですよ^^

實成さん、構造部、次回も楽しみにしています♪

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


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【関連記事】…………….

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

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『中越沖地震から10年』家を建てる上で最も大切なこと。

設計事務所の仕事『ラフプラン検討。』間取りと構造。

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『中越沖地震から12年。』家を建てる上で最も大切なこと。

ゆうです。

7/16は中越沖地震が起きた日。

地震が発生した2007年から12年が経ちました。

「家を建てる上で最も大切なこと。」

今一度振り返ろうと思います。

6/19に新潟県村上市で震度6強を観測する地震が起きたことは記憶にも体感にも新しいところです。

中越沖地震も震度6強でした。

震度7の中越地震があってからたった3年後の出来事でした。

あの恐怖や被害を思い出すと背筋が正されます。

建築士になった今、
未来の被災を減らすのは建築士の責務だと痛感しています。

これまで地震について度々まとめてきました。

これから家を建てられる方は振り返る機会になれば幸いです。

【地震の被害について】…………….

『中越沖地震から10年』家を建てる上で最も大切なこと。

『中越沖地震から11年。』家を建てる上で最も大切なこと。

熊本地震から2年。『耐震性』を今一度考える。

【どのような家を建てれば被災リスクを減らせるのか〈設計編〉】…………….

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

【どのような家を建てれば被災リスクを減らせるのか〈施工編〉】…………….

S邸リノベーション。26「耐力壁のクギ工事監理!」

【網川原のエスネル‐23】耐力壁の工事監理!「耐震設計の基本・監理のポイント・モイスの防火性能。」

「施工品質の崩壊と独立した工事監理。」

…………….

地震の被害は、人命だけでなく、経済的負担精神的負担など多くの影響があります。

それを軽減できるかどうかは、新築時にどれだけ真剣に家を考えられたかにかかっています。

大げさではなく、家づくりは人生づくり。

家族の人生は、これから建てる家で決まると言っても過言ではないかもしれません。

エスネルデザインでは、耐震等級3の家を提案させて頂いております。

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村松 悠一 一級建築士
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【構造】住学構造部スタート!01「本物の学校で授業!」。

ゆうです^^

この春から住学に「構造部」が立ち上げられました!

部長はWOOD HUB(ウッドハブ)の實成さん。

エスネルデザインも入居している三条ものづくり学校での開催です^^

構造設計とはなんなのか。

勉強してきました♪

木造の構造設計は非常に奥が深いです。

それは、

構造の柱・壁を自由に配置できるから。

間取りと構造が連動している。

→間取りと構造を同時に検討しなければならない。

※反対にRC造・鉄骨造の構造はシンプル。
構造はグリッドに沿って配置された柱が担う。
=間取りと構造は分かれている。(間仕切壁は非構造部材)

設計事務所の仕事『ラフプラン検討。』間取りと構造。

また、木材は鉄などと異なり、

強度のバラツキ、乾燥による反り・縮み、吸湿による腐朽、強度の異方性、クリープ、、

など木材特有の性質があるため、それらを理解している必要がある。

※異方性…「繊維方向」「接線方向」「半径方向」で木の強度が異なる性質のこと
(=木は繊維方向にはつぶれづらいが、半径方向にはつぶれやすい)

構造部開催場所は本物の学校の教室!
(ものづくり学校は廃校をリノベーションした施設)

机も黒板も時計もみんな本物^^
十数年ぶりに教室で授業を受け、懐かしい気持ちがこみ上げる。

テキストは實成さん作成の冊子と「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(通称グレー本)」

部長の實成さん。
チョークで黒板に板書するのがとても良い感じ♪

新潟観光大使。63『廃校リノベーション!「三条ものづくり学校」。』

グレー本の中身はこんな感じ↑
複雑な計算式と難解な文章が延々と続く。

それらを

「ここに書いてあるのは要するにこういうことだよ。」

と實成さんが分かりやすく解説してくれた。

冊子の内容も非常に分かりやすい^^

「地震力ってなに?」


「重さを持ったものが振られたときの力(慣性力)のこと。」


「重ければ重いほど地震力は大きくなる。」


「F=m・a(力=質量×加速度)って学校で習ったでしょ?」

實成さんは難しい話を抜きに、直感的にイメージしやすいよう「感覚的」に翻訳して伝えてくれる。

「ギューン」

とか

「これこのままだとやばそうじゃない?」

とか

「ここ重さが載ってて辛そうでしょ?」

とか

「10kN(キロニュートン)ってどのくらいの重さか知ってる?→コンパクトカー1台分くらいですよ」

など直感できる言葉で話してくれてとても分かりやすかった^^

また、有名建築を例にして構造をどう成り立たせるかのお話も。
身近な題材は頭に入ってきやすい。

ルイス・カーンのエシェリック邸。旅中に訪れたのが懐かしい^^

2012.11。アメリカ、フィラデルフィア。

「水平構面」「鉛直構面」について。
3Dパースやアニメーションもありとても分かりやすかった。

なかでも面白かったのが構造のイメージ動画の紹介。
計算や論理的な話はまずはイメージを掴むと飲み込みが早い。

プッチンプリンの動画は

「地盤が弱いと地震時に揺れがどう増幅するのか。」

をイメージするのに最適♪

とても参考になりました^^

地震の揺れ幅(固有周期)の違いにより、揺れやすい建物・揺れづらい建物があることが分かる動画。

振り子の挙動の違いが面白い。

床(水平構面)が固いか固くないか(またはないか)により、揺れの大きさがどれだけ異なるかが分かる動画↓

※大きな吹抜けを構造計算なしで設けるのは非常に危ういことが分かる。

旧耐震基準の建物と耐震補強を施した建物の震動実験による損傷の違い↓
(実験の概要はコチラ

…………….

構造は難しく奥が深いですが、身近な先生と仲間と一緒に学んでいければ、楽しみながら理解を深めていくことができますね。

實成さん、貴重な機会をありがとうございました。

構造部第二回も楽しみにしています^^

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【関連記事】…………….

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

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今一度、耐震性の大切さを考える。「新潟で最大震度6強の地震発生」

ゆうです。

昨夜、新潟で最大震度6強の地震が発生しました。

我が家のある柏崎市西山は震度5弱

夜に身の危険を感じる強さの揺れを感じました。

家の耐震性の大切さを再確認したいと思います。

(写真は中越沖地震時のもの。)

我が家は、人も建物も大きな被害はありませんでした。

トイレの花瓶が倒れて割れた程度でしたが、花瓶が倒れるくらいの揺れはありました。

僕は、中越地震中越沖地震などで直接的または間接的な被災を体験しています。

非常に辛い体験でしたが、

住宅設計士として仕事をする今、それは「財産」となっています。

写真は中越沖地震時のもの。

今までも地震について書いてきました。

この機会に再読頂ければ

「家を建てる上で一番大切なものはなにか。」

を考える良い機会になるかもしれません。

なにかのお役に立てれば幸いです。

『中越沖地震から10年』家を建てる上で最も大切なこと。

熊本地震から2年。『耐震性』を今一度考える。

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

『中越沖地震から11年。』家を建てる上で最も大切なこと。

S邸リノベーション。04「地盤の液状化のリスク。」

S邸リノベーション。26「耐力壁のクギ工事監理!」

新潟を始め、震源地に近い場所にいられる方々。

熊本地震のように大きな余震(本震)があるかもしれませんので、お気をつけて安全にお過ごしください。

また、ご心配頂きご連絡を頂いた皆さま、大変ありがとうございました。

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【秘訣】エスネルデザインの基礎「高基礎」の3つの大きなメリット。

ゆうです^^

エスネルデザインの家は「高基礎」を採用しています。

理由は、耐久性・施工性・メンテナンス性・収納力・空調経路、、など
多くのメリットがあるからです。

住宅の基礎は地面から40cm程の高さのものが一般的です。

対して、エスネルの高基礎は地面から高さ約1m。

高基礎1mのT様邸
打ちっ放し仕上げが凛々しい。

…………….

さて、なぜ「高基礎」を採用しているのか。

理由はたくさんあります^^

【メリットその1】

「耐久性」の向上のため。

建築基準法(施行令第49条)には、

「構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講じなければならない。」

と定められています。

なぜかと言うと、
概ね地面から1m以内は、雨はねなどにより湿潤環境になりやすいため、
木材の腐朽リスク、シロアリを呼ぶリスクが高まるからです。

地面から1m以内で劣化が促進している板外壁。

地面付近の木材の腐朽。

詳しくはこちらを↓

【秘訣】板外壁の経年変化。「雨の跳ねを考慮する」

高基礎は湿潤になりやすい地面から物理的に距離をとるため、「腐朽リスク」「シロアリリスク」を低減させるのに効果的です。

高基礎は耐久性が高い(構造材劣化リスクが低い)ということ^^

また、法文にある「有効な防腐措置」とは具体的には「薬剤処理」「耐久性の高い樹種の使用」です。

一般的には「薬剤処理」されている家が多数です。

しかし、
薬剤処理は概ね5年程で効果が切れてしまうという欠点があります。
(強すぎる薬剤は人体にも影響を与えてしまうため)

効果が切れた後はまた塗りなおす必要があるわけですが、構造材は壁の中のため現実的に塗り直しは不可能です。

対して、
高基礎は地面から1m以内に構造材がないため、薬剤処理は不要。

半永久的に防腐防蟻効果が続くということになります^^

高基礎は雨はねの影響を受けづらい。
(板外壁の防腐にも効果的)

…………….

【メリットその2】

床下空間が広く「メンテナンス性」が良い!
 「収納」としても使用できる!

高基礎であれば配管の目視点検が建て主様でも容易に可能^^

排水管の多いユニットバス下も目視点検しやすい。

地震時に、配管がはずれて床下で漏水する事態が起きることがあります。

通常、それに気付けません。
(地震時は余裕もない)

気付いたときには床下が水浸しになり、最悪の場合カビまみれになってしまうケースもあります。

そういった事態を防ぐために、建て主様が容易に床下の点検が出来るよう床下空間を確保しておきたいものです。

また、高基礎で床下空間に高さがあれば床下を収納にすることが出来ます^^

高基礎による床下収納。
自転車、雪かき用具、客用布団、アウトドア用品、季節の飾り、スポーツ用具、子供の思い出ボックス、漫画・本、冬用タイヤ、、何でも収納できてとても便利^^

空気を循環させ湿気らせないから布団も仕舞える。
ベビー用品など場所を取る物も気軽に置くことが出来る。

床下収納は小さな家との相性が良いです^^

かさばるもの、非常時に使用するものは全部床下へ!

床上の空間は日常使いするものを適材適所で収納する。

超高断熱の価値の高い室内空間はメリハリを持って有効活用したいものです^^

…………….

【メリットその3】

床下エアコンの暖気がムラなく家全体に広がる! 

エスネルデザインでは「床下エアコン」という暖房システムを採用しています。

・1階全体の床を暖めることができ、
・床暖房よりマイルドで自然な暖かさがあり、
 (床が熱くなりすぎない)
・一般的な家庭用エアコンが使用でき、
 (買い替え、不具合対応が容易)
・洗濯室に設置すれば、洗濯物の乾きも良くなる

などメリットがとても多くお勧めの暖房システムです^^

しかし、暖気を床下空間に通すため、床下空間が狭い(基礎高が低い)と階全体に暖気がめぐりづらいのが問題点です。

それを解消するために高基礎が効果的^^
容積の大きい高基礎であれば、階全体にムラなく暖気をめぐらせることが出来ます。

また、「床下の掃除」がしやすい点も大きなポイント!

床下エアコンは、床下の空気を1階に吹き上げるため、床下が清潔であることが求められます。

(掃除が出来ずホコリや粉塵やカビ!?のある空間を経由した空気は吸いたくありませんね、子供のアレルギーリスクも心配、)

一般的な基礎高の場合、床下空間の掃除はなかなか出来ません、、

一般的な床下空間の高さ(例)。
ほふく前進でしか進むことは出来ない。
(写真はS邸リノベ前。※床断熱のため床下は外部。)

高さのある床下であれば掃除も容易。
室内と同じ感覚で掃除をすることが出来る^^

…………….

高基礎の大きなメリットを3つ上げてみました。

(他にも「豪雪時や水害時」にも効果を発揮する。)
「施工性の良さ」「隣家の窓と視線をずらす効果」についてはまた。)

「1m高基礎」は僕の前職であるオーブルデザインの所長が考えられた基礎方式。

在職時からそのメリットを強く実感していました。

耐久性が上がり、収納にもなり、床下エアコンとの相性も良い。

言うことなしですね^^

高基礎、万歳!!

※延床28坪程の家の場合、高基礎によるコストアップは40-50万円程。
 この金額で、耐久性向上や床下収納が設けられるなら非常にコストパフォーマンスは良い。

 小さな家は施工面積が抑えられるのでハイグレード仕様をコストを抑えて採用できる。
(家が大きくなるにつれ高基礎分のコストアップ割合は高まる。)

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。
メッセージはメールインスタからどうぞ^^

【関連記事】…………….

築35年超の家の断熱材の施工レベル。床下のメンテのしづらさ。

S邸リノベーション。12「インスペクション実行『室内③床下』。」

【お客様の家】築1年のI様邸に訪問②「整頓された暮らしと床下収納の実力。」

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【秘訣】家の重さと必要な地面の強さ。「家より人間のほうが重い!?」

ゆうです^^

「家ってどのくらい重いのか?」

疑問に思ったことはありませんでしょうか。

「家より人間のほうが重いんです。」

って言ったら信じます^^??

家を建てる敷地の地盤が悪い場合「地盤補強工事」が必要になります。

【秘訣】地盤補強の要不要の判定。「地盤調査結果を読み解く」

その際に、

「家の重さを支えるには地面はどのくらい強くなければならないんだろう?」

「そもそも家ってどのくらいの重さなの?」

と疑問に思われるかもしれません。

家の重さはどのくらいなのでしょうか(・・)?

…………….

結論から言うと、延床面積30坪ほどの家の重さは約80トンほど。
(自重+積載荷重+積雪荷重)

「重い!!」


「人間より全然重いじゃん!!」

と思われるかもしれません^^

ここから「家より人間のほうが重い。」のタネあかしをしていきます。
家の重さが80トンだとしても、80トンを片手で支えるわけではありません。
基礎の底盤全体で支えます。

基礎底盤面積1㎡あたりで家の重さを考えると

家の重さはおよそ1600kg/㎡ほど
(基礎底盤面積が50㎡の時、1600kg/㎡×50㎡=80トン)

対して人間は、
体重65kgとして、両足の面積が約0.05㎡とすると、
人間の重さはおよそ1300kg/㎡

片足で立った場合、2600kg/㎡
(面積が半分になるので重さは倍になる)

片足で立った場合、家よりも人間のほうが重くなりますね^^



「単位面積あたりで比較した場合、家よりも人間(片足)のほうが地面にかかる重さは大きい。

ということ。

なにが言いたいかというと、

①家が沈まずに建っているためには、家の重さを地面が支える必要がある。

②家の重さはおよそ1600kg/㎡ほど。

③1600kg/㎡の重さに地面が耐えられれば家は沈まない。

④人間が片足で立ったときの重さは約2600kg/㎡

→人間が片足で立って沈まない地面であれば、家も沈まない。

ということ^^

今回の記事は、
必要な地面の強さを直感的にイメージしやすいように書いてみました。

「家の重さって単位面積あたりで比較すると人間と同じくらいなんですよ。」

「家を建てるのに必要な地面の強さって意外とそのくらいなんですよ。」

(「軟弱地盤の土地であっても過度に不安になることはありませんよ。」)

という話でした。

※この記事は、地盤の強さを心配されていたS様に向けて書かせて頂きました。
(S様、ご不明点がありましたらまたご連絡頂ければと思います。)

※実際には、地面内に弱い地層があったり、地面の強度にバラツキがあったりする場合には地盤補強工事が必要になってきます。

※地盤補強工事を行う場合、地面の強さはおよそ2000~3000kg/㎡以上確保できるよう補強を行います。

…………….

実は、設計士であっても「家の重さ」を答えられる人は多くはありません、、

それは、構造計算をしていない場合が多いから。
(または構造計算していても外注していて自分では理解していないから)

建てる会社を検討している場合、機会があれば設計士さんに聞いてみてください。

「貴方が設計する家の重さはどのくらいですか?」

この質問に答えられるかどうかでその人が構造を知っているかどうかが分かります。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【余談】…………….

家の重さ80トン(30坪)には、下記の重さも含まれています。

・積載荷重:約130kg/㎡
(1㎡に65kgの大人が二人、家中にいるイメージ)

・積雪荷重:約210kg/㎡
 (積雪70cm=1m×0.7)

・基礎の重さ(立ち上がり+スラブ)
(基礎高=GL+400、ベタ基礎)

※高基礎(GL+1m)の時の家の重さは約86t。

これらを加味した重さが地面に乗ったときに不同沈下しないかを検討していきます。

【関連記事】…………….

【秘訣】地盤補強の要不要の判定。「地盤調査結果を読み解く」

【秘訣】液状化の判定について。「地盤補強の効果」

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【秘訣】液状化の判定について。「地盤補強の効果」

ゆうです。

前回、地盤補強についてまとめました。

今回は液状化について。

「自分の土地はどれほど液状化のリスクがあるのか。」


「対策はどのようにとれば良いのか。」

まとめていきます。

【液状化】とは…………….
地震の際に、地下水位の高い砂質地盤が振動により液体状になる現象。
地中の水と砂が地面に噴き出し、建物が地中に埋もれ傾き被害を及ぼす。
1964年に発生した新潟地震で液状化が発生し、地震時の現象として注目されるようになった。
…………….

さて、新潟のように海が近く砂質土が堆積して出来た土地は「液状化」のリスクを検討する必要があります。

2007年の柏崎での「中越沖地震」も多くの建物やインフラが液状化の被害にあいました。

液状化により地面が下がり段差が出来た柏崎のデパート(フォンジェ)。

…………….

さて、
「液状化の簡易判定①」広域情報から判定します。

新潟市の液状化のしやすさ(広域情報)は
「新潟県内の液状化しやすさマップ」で確認することが出来ます。

新潟県内の液状化しやすさマップ

このマップによると、新潟市中央区は下記の状態。

海抜の高いエリアの危険度は低いが、海抜ゼロメートル付近は危険度がとても高いとされている。

地盤調査会社からの判定結果。
液状化マップの他に「地形などからの概略判定」も行われる。

※標高(海抜高さ)はこちらのサイトで見ることが出来る。
地理院地図

また、新潟市役所のHPには「地盤高」が色分けされてまとめられたデータがある。

新潟市役所HP「地盤高図(標高図)」より。

…………….

続いて、
「液状化の簡易判定②」個別情報(地盤調査の結果)から判定します。

ある土地の地盤調査結果。
液状化の簡易判定では「地面から深さ-5.0mまでの地下水位よりも下部」の内容で判定される。
(地下水位:約-2.0m)
(地盤~-1.25m:砂質土。-1.5~-5.0:粘性土)

スウェーデン式サウンディング試験ではロッドの穴に水位測定器を入れ、地下水位を計測する。

また、穴内の土を採取(サンプリング)することで砂質土と粘性土の位置の測定精度を高める。
(一般的には土質は推測のみ)

液状化は、

・地盤が砂質土

・地下水位より下部

・強い地震が起きた時に発生確率が高まります。

また、木造住宅が液状化被害を受けやすいのは、 地面から-5mまでに液状化層がある場合とされています。
(「小規模建築物基礎設計指針」より)

これらを加味して判定すると、

個別判定を見ると、地下水位より下部は粘性土しかないため「液状化の影響は小」となる。
(表層の砂質土は地下水位より上部なので液状化しない)

総合判定として、

広域判定を見ると液状化の可能性が高い地域だが、個別判定を見ると液状化の影響は小さいと推測される。
(スウェーデン式サウンディング試験による簡易判定)

…………….

これらの結果を建て主様にご説明し、どのような地盤補強、液状化対策を施すか検討していきます。

また、柱状改良などの地盤補強は、液状化対策に効果を発揮すると考えられています。

「建築物のための改良地盤の設計及び品詞管理指針(日本建築センター)」より…………….

2003年の十勝沖地震では、地盤改良を行っていない周辺宅地は液状化したにも関わらず、地盤改良を行った住宅は被害を免れました。

また、2004年の中越地震では、深層混合処理(柱状改良)を採用した住宅では、沈下障害は生じなかったが、近隣における住宅では直接基礎であったため30cm以上の不同沈下が生じた事例も紹介されています。

地震時の液状化対策工法として、深層混合処理(柱状改良)がどの程度、効果があるのかを評価できる厳密な設計法はありませんが、直接基礎に比べて、建物被害を軽減することに効果があると言えそうです。

…………………………..

日経ホームビルダー2017.3月号より。
熊本地震での被害調査の様子。

「柱状改良をしていた住宅は、建物の損傷や傾斜は比較的少なかった。」
「結果論ではあるが、地盤補強が地震による不同沈下を軽減した可能性はある。」

 と書かれている。

記事の詳細は日経ホームビルダーのご購入をお勧めします。

※地震の規模や揺れ方、建物の形状や重さなど様々な要因が関係しあうため「柱状改良が液状化に対して確実に効果がある」と言い切ることは出来ない。

…………….

今回の土地の地盤補強・液状化対策をまとめると、

①建築学会の指針では地面から-5mまでの液状化層が木造住宅に影響を与えるとしているため、液状化の影響は少ないと考えられる。

②柱状改良は不同沈下対策として必要。
この柱状改良が液状化による地盤沈下にも効果を発揮するかもしれない。
(液状化対策としては、改良杭は支持層まで、または地面-5.0m以深まで到達させるとより良い)

③地震保険に加入することで、液状化による不同沈下復旧費用を対策しておくことは可能。
(地盤補強工事の保証は「天災による不同沈下は免責」のため、地震保険で対応する)
(どこまで対策されるかは建て主様のご判断による)

【余談】…………….

砕石パイルを使い、地盤補強と共に液状化対策が出来るという地盤補強工法がある。

地盤の専門家の方に効果のほどを伺ったところ、
「液状化対策として機能するかは不明。」との回答を頂いた。

また、液状化対策効果を出すにはオプション工事が必要のよう。
また、聞いた話では大手ハウスメーカーで採用している会社はないらしい。
(未確認あり)

【さらに余談】…………….

建築時に費用をかけ、より高度な液状化対策を行い(地面深くの支持層まで杭を設置するなど)地震時に液状化が起きても建物が傾かなかった場合、「地震保険がおりない」ということが起こるケースもある。
(熊本地震では傾きがない場合「支援金がもらえなかった」ケースもあったよう)

建物は傾かずとも、地盤が沈下すれば「排水管などの修理」「建物と下がった地盤の間に土を入れる工事」など費用はかかる。

地震時に、家は傾かないほうが良いのか、傾いたほうが良いのか。
それは何と言うことも出来ない。
…………….

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【関連記事】…………….

【秘訣】地盤補強の要不要の判定。「地盤調査結果を読み解く」

【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。
【秘訣】家の重さと必要な地面の強さ。「家より人間のほうが重い!?」

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【秘訣】地盤補強の要不要の判定。「地盤調査結果を読み解く」

ゆうです。

地盤補強という工事についてお話します。

家を建てる土地が軟弱である場合、建てた家が傾いてしまう恐れがあります。

そうならないよう建築前に地盤を調査し、軟弱地盤であれば必要な地盤補強を行います。

その際の「地盤補強の要不要の判定」はどのようにして行われているのでしょうか。

「地盤補強の要不要の判定」について説明する前に、
「地盤調査」をする必要があるのかどうかまとめます。

段階的な説明になりますが、

【建築基準法】では、
建築物の基礎について地盤の沈下または変形に対して構造耐力上安全なものとすることを求めています。

また、
【品質確保促進法(品確法)】で、
新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」することが求められました。

また、
【瑕疵担保履行法】で、
瑕疵担保責任を全うするため、建築業者に「保険加入による資力確保」が義務付けられました。

そして、その保険に入ためには、
「適切に地盤の安全性の判断がなされていることの確認」が必要となるため、地盤調査は実質義務化されています。

※地盤調査を行わなかった場合、基本的に瑕疵担保保険に加入出来ない。

法令に関してはこちらのサイトが分かりやすい。
住宅地盤に関する法令 | NPO 住宅地盤品質協会

…………….

具体的に「地盤補強の要不要」について「地盤調査結果」を読み解いていきます。

地盤調査会社によりまとめられた敷地の情報。
地盤補強の要不要は、調査数値だけでなく、敷地の前歴造成の経過年数近隣状況地下水位などを加味し、総合的に判断される。

地盤調査結果(例)
(下の列に行くに連れ、深さが増していく)
表から「地面~-1.25mまでは砂質土」「~-5.75mまでは粘性土」「-6.0以下は砂質土」であることが分かる。

調査結果からまず「自沈層があるかどうかの確認」を行います。

「自沈層」とは建物が沈みやすい軟弱な地層のこと。

具体的には、スウェーデン式サウンディング試験のロッドが

・基礎底面から深さ2mの間で1kN(≒100kg)以下の荷重で沈下する層。

もしくは

・深さ2mから深さ5mの間で0.5kN(≒50kg)以下の荷重で沈下する層。

(深くなるにつれ荷重が分散するため検定荷重は少なくなる)
それらの層があるかどうか見ていきます。

基礎底面~深さ2mで1kN以下で沈下する層がある。(赤丸)
また、深さ2m~深さ5mで0.5kN以下の荷重で沈下する層もある。(青丸)

「自沈層あり」のため、続いて「沈下の検討」を行います。

【粘性土】:圧密沈下量・傾斜角が許容範囲内かどうかの判定。


【砂質土】:即時沈下量・液状化の判定。

軟弱な粘性土の場合、家の重さに押されて、土の内部の水分が押し出され、地面が下がっていくことがあります。(圧密沈下)

その際、家の四隅でまちまちに沈下した場合、家が傾いてしまいます。

そうならないよう沈下量が許容範囲内か判定します。

砂質土の場合、即時沈下は住宅ではあまり問題になりませんが、「液状化」には注意が必要です。
(液状化については別にまとめます)

では、沈下の程度を見てみましょう。

地盤調査会社からの検定結果。
許容値に対して「長期許容応力度(地盤の強さ)」「圧密沈下量」「傾斜角」NGとなっている。

これらの結果を基に地盤補強の要不要の所見がまとめられる。

「不同沈下の発生が懸念されるため、地盤補強必要。

…………….

大まかにですが、地盤補強の要不要の判定はこのようにして行われます。

ここから先の「どのような種類の改良」「どの程度」行うかは、

・設計者が設定した必要な地盤の強さ
・現状の地盤の強さ
・改良体の支持力(先端支持力、摩擦力)
・コスト

などを加味して算出、選定されていきます。

…………….

家の構造計算に問題がなくとも、地盤に問題があれば元も子もありません。

必要な調査を行い、その調査内容を読み解ける設計者が必要な地盤補強を検討していきます。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【参考サイト】…………….
ジャパンホームシールドさんの「地盤サポートマップ」では、そのエリアのおよその地盤の強さの把握や、防災情報を確認することが出来ます。

【網川原のエスネル‐09】地盤補強「柱状改良工事」!

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【秘訣】構造計算された家を。「耐震等級3」を勧める理由。

ゆうです。

エスネルデザインの建てる家は「構造計算」を行います。

そして耐震性は「耐震等級3」をお勧めしています。

なぜ構造計算が必要なのか。

なぜ耐震等級1ではダメなのか。

まとめました。

結論から書きます。

なぜ「構造計算」を行うのか。

・カンや経験ではなく、計算により裏づけされた安全を提供するため。


・より耐震性の高い家を設計するため。


・合理的な構造とすることで不要にかかるコストを省くため。

…………….

なぜ「耐震等級3」を勧めるのか。

・震度7の地震が起きたときに、建物が損傷するリスクを出来る限り低くするため。


・損傷によって生じる修復コストを出来る限り少なくするため。


・耐震等級の向上はそこまで大きなコストはかからないため。

…………….

詳しく解説していきます。

まず、

「構造計算をするっていうけど、家ってみんな構造計算されているんじゃないの?」

と思われると思います。

率直に答えると、

全ての家が構造計算されているわけではありません。

むしろ、大半の家が構造計算されていません。

建築基準法には「構造計算」の義務はありません。

あるのは、簡単な「検定」の義務があるだけです。
(壁量の確認、四分割法の検定、N値計算のみ)

そして現在、一般的な住宅はその検定ですら役所への提出を省略して良いことになっています。
(「四号特例」※諸条件あり)

なので、構造計算されていない家は、建物の安全性が十分に満たされているか非常に不透明です。

また、簡易な検定には雪の重さが考慮されていません。

梁や柱の大きさも計算で求めるわけではなく「経験則」で決められているのが現状です。

まとめると、

「構造計算をしない簡易な検定では建物の耐震性や強度が不十分なことがある。」

そのため、エスネルデザインでは全棟、設計者である私が構造計算を行います。

構造計算を他の業者に依頼することもありません。
設計者である私が、間取りと構造を同時に検討します。
(→構造的に合理的な間取りが出来る
 →無理がない間取りは地震時に被害が生じにくい)

設計事務所の仕事『ラフプラン検討。』間取りと構造。

また、より耐震性の高い家を設計するためには構造計算が必要になります。

簡易な検定では最低基準の「耐震等級1」までしか検討できません。

「耐震等級3」の家を設計するためには構造計算が必要になります。

また、構造計算を行うことで不要にかかるコストを省くことが出来ます。

梁など最適な大きさを計算により算出することで、過剰に大きな材を使用することを避けることが出来ます。

これらが構造計算を行う理由です。

自分が家を建てるなら、安全性が計算により確かめられた家が欲しいものです。

(当たり前のことですが、当たり前に行われていないのが建築業界です。)

もし家を建てるならば「構造計算された家」を建ててください。

※一般的な住宅の構造計算は「許容応力度計算」と呼ばれています。
家づくりを検討中の方は担当者さんに「許容応力度計算はされますか?」と聞いてみるとよいと思います。

中越沖地震で被害を受けた建物(2007)。

…………….

続いて、なぜ「耐震等級3」を勧めるのか。

まず「耐震等級」ですが、等級1、2、3が定められていて、等級3が最高レベルです。

構造計算されず簡易な検定で建てられた家は「耐震等級1」です。

それぞれの等級の詳細はこちらをご参照ください。

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

建築基準法で定められた最低限の基準が耐震等級1です。

では、最低限の「耐震等級1」とは地震に対してどれほど耐えられるのでしょうか。

観測史上初めて震度7が2回起こった熊本地震の被害統計を基に話を進めていきます。

「くまもと型住宅生産者連合会 耐震等級3のススメ」より

国がまとめた熊本地震における建築物被害の統計がこちら。

資料はこちらより。(加筆あり)

熊本地震を受けた住宅(2000年以降の現在の耐震基準で建てられた住宅)のうち、

無被害は約55%

被害ありは約45%

でした。

被害ありのうち約7%は大破・倒壊・崩壊となっています。

ちょっとビックリしませんか?

建築基準法の規定(耐震等級1)で建てた家でも4割以上が被害を受ける。

そのうち約7%は住めないレベルの大きな被害を受ける。

この結果を見て「耐震等級1で足りる」と感じますでしょうか。

※細かく言うとグラフの242棟には耐震等級2や3の家も含まれているため、
それらを除き、耐震等級1の家のみでみれば、被害ありの割合はもっと高まる。

これには理由があり、

建築基準法の規定(耐震等級1)では、震度7は想定外なんです。
(耐震等級1は「震度6強程度の地震に対して倒壊しないこと」を想定している。)

地震は確率の問題であり、法律の基準はあくまで最低限だからです。

なので、熊本地震のように震度7の地震が2回も来た場合、耐震等級1では大破・倒壊・崩壊
する家が出てきています。

(築数十年の家でなく「新築の家」で倒壊・崩壊ですよ!)

※大破・倒壊・崩壊した建物は「正しい設計・施工がなされていなかった可能性」があるため一概には言い切れない。
(調査資料には「倒壊した7棟のうち3棟は施工に問題があり、1棟は敷地の崩壊が原因」とされている。)

そして、さらに恐ろしいのは

被害があった場合、次の地震に同じように耐えられるかは分かりません。

耐震要素が損傷している場合、次の地震では倒壊するかもしれません。

「家は1回しか地震に耐えられないの?」

と考えさせられると思います。

【まとめ】

・耐震等級1は震度7は想定していない。


震度7の地震を受け、耐震等級1の家の4割以上で被害が出た。


・被害があった場合、次の地震に耐えられるかは分からない。

…………….

では、
耐震等級はどれほどなら良いのでしょうか。

「くまもと型住宅生産者連合会 耐震等級3のススメ」より

先ほどのグラフと上の表を比べてみます。

現在の耐震基準(耐震等級1・2・3全て含む)で建てられた家は

無被害は約55%

被害ありは約45%

でしたが、

そのうち「耐震等級3」の家だけ見ると、

無被害は約87%

被害ありは約13%
(軽微・小破。※大破・倒壊は無し)

でした。

地盤の特性、地震力の大きさ、間取り、耐力壁の配置、など諸条件が個別のため、言い切ることは出来ませんが、おおむね
耐震等級3であれば、震度7に対して被害を最小限に留められると言える思います。

そして、無被害であれば耐震性は劣化しないということ。
(同程度の地震であれば次の地震にも耐えられるということ。)

また、無被害であれば修復コストがかからないということ。

(逆に、被害があれば修復コストがかかる。
僕の妻の実家は中越沖地震で全壊し、多大な修復コストがかかった。)

…………….

これらの理由からエスネルデザインでは耐震等級3をお勧めしています。
(積雪量が大きい地域などは要相談)

付け加えれば、
耐震等級1から耐震等級3に性能アップするのにそこまで大きなコストはかかりません。
(必要な耐力壁量が増えるため間取りの制約は増す)
(設計者に知識とスキルがあれば)

だからこそ「耐震等級3が標準」という考え方が広まれば良いと思っています。

それは被災を未然に防ぐ「減災」につながります。

また、耐震等級を高めることで資産価値が高まり、数十年後値下がりせずに家を売ることが出来れば資産を手元に残すことができ、建物(資源)の有効活用にもつながります。

…………….

本当はここに書いたような情報を全ての家づくりのプロが正確にお客様に説明することが理想です。

しかし、全てのプロが説明できるわけではありません。

一生で一度の初めての家づくり。

これから家を建てられる方は「なにが大切なのか」を見落とさないために「自分で勉強すること」も求められます。

「家づくり」は「家族の人生づくり」。

よく考え、調べ、良い設計者と出会えることを祈っております。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【補足情報】…………….

「近年発生した震度6以上の地震」

1995年「阪神淡路大震災」 震度7
2000年「鳥取県西部地震」 震度6強
2001年「芸予地震」    震度6弱
2003年「十勝沖地震」   震度6弱
2004年「新潟県中越地震」 震度7
2005年「福岡県西方沖地震」震度6弱
2007年「能登半島地震」  震度6強
2007年「新潟県中越沖地震」震度6強
2008年「岩手宮城内陸地震」震度6強
2011年「東日本大震災」  震度7
2011年「静岡県東部地震」 震度6強
2016年「熊本地震」    震度7
2016年「内浦湾地震」   震度6弱
2016年「鳥取県中部地震」 震度6弱
2016年「茨城県北部地震」 震度6弱
2018年「大阪府北部地震」 震度6弱
2018年「北海道胆振東部地震」震度7
2019年「熊本県熊本地方地震」震度6弱
2019年「胆振地方東部地震」震度6弱
…………………………..

出典:全国地震動予測地図2018年版 地図編

【地震・耐震性など関連記事】…………….

熊本地震から2年。『耐震性』を今一度考える。

豊かな暮らしのつくり方。10-3 ー『耐震等級とは。』ー

『中越沖地震から10年』家を建てる上で最も大切なこと。

『中越沖地震から11年。』家を建てる上で最も大切なこと。