カテゴリー
Uncategorized

「暖かい家で暮らしたい。」叶えるために必要な要素とは。

ゆうです^^

「暖かい家で暮らしたい。」

という想いがあります。

家を建てるなら、なによりまず「暖かい暮らし」が出来る家をお勧めします。

暖かい家を作るにはどうすれば良いのでしょうか?

「断熱性を高めれば良いのでは?」

それだけでは不十分なんです。

僕がなぜ「暖かい家」をお勧めするのか。

それは、
僕が寒がり冷え性だから(^^;)
(歳と共にさらに代謝が落ちていく、、)

また、
冬場に僕や家族が毎年風邪を引くのを解消したいから。

そして、
知識と技術を持った設計者・施工者が建てれば暖かい家は造れるということを経験したからです。

現在、新築住宅なのに寒い家が多く建てられています。

それは、

・プロに暖かい家を作る知識がない。
(お客様に説明できない。)

・性能ではなく、内装やキッチンなど売り込みやすいものに予算を配分している。
(性能は二の次)

など、

「目に見えるもの、写真映えするもののほうが伝えやすく売りやすい。」

という面があるため、断熱性・気密性などの性能面が疎かにされがちだからです。

これは非常に残念でもったいないこと。

内装などは慣れますが、寒いのは一生慣れません。

毎年、辛い想いをすることになってしまいます。

一生に一度の買い物である家。

叶える優先順位はとても重要です。

エスネルデザインでは「暖かい家」を提案いたします。

では、暖かい家を作るにはどうすれば良いのでしょうか?

「断熱性を高めれば良いのでは?」

それだけでは不十分です。

必要な要素は

・断熱性
 暖気が逃げづらい厚さ・性能の断熱材が十分に施工されていること。

・気密性
 隙間から暖気が逃げていかないよう家全体の隙間が少ないこと。

・空調計画
 適切な能力の暖房器具選定、暖気を個室に送り込む循環ファンなど「暖気が家中にくまなく広がる」よう計画すること。

・空調が家中にまわりやすいプランニング
 廊下の有無、戸の有無、吹き抜け、トイレの配置などの検討。

ポイントは

「家中全館暖房が出来るかどうか」
(=全館暖房するつもりで設計しているかどうか)

です。

例えば(仮に断熱性がそこそこ高かったとしても)

・トイレとリビングが廊下で仕切られている間取りは、リビングしか暖房されず、廊下やトイレは寒いままになりがち。

気密性が低ければ、暖気は天井の隙間に向かって逃げてしまう。

・断熱性が低ければ熱の逃げが多くなり暖房費が高くなり設定温度を低くしたり、つけたり消したりするなど我慢しがち。

など、「断熱性が高い」だけで「暖かい暮らしが出来る」とは言い切れないんです。

「暖かい家」とは「家中が暖房されている家」。

リビングが暖かくても、廊下やトイレや浴室が寒ければ「寒い家だ」と感じると思います。

断熱性が高くても、暖房できないないなら意味がないわけです。

ここが設計者の力量。

重要なのはそれぞれの要素をバランスよく満たすこと。

意思を持ってそれぞれを設計することで初めて「暖かい暮らしが出来る家」が完成します。

【備考】…………….

小さな家は容積が小さいため、暖房費を抑えることが出来ます。
また、断熱材の材料費や施工費も抑えることが出来ます。

また、超高断熱仕様は電気代(=暖房費)が上がった際のリスクヘッジにもなります。

…………….

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【暖かい暮らしを送られている方の感想はこちら】…………….

【お客様の家】築2年のT様邸に訪問②「住んでからの感想・反省」

【お客様の家】築半年のY様邸に訪問②「住んでからの感想・反省」

カテゴリー
Uncategorized

築35年超の家の断熱材の施工レベル。床下のメンテのしづらさ。

ゆうです^^

下記の画像を覚えている方はいらっしゃいますでしょうか。

(いたらエスネルマニアの称号を授与します笑)

今回、この画像の検証を行いました。

ブログの文を付け足すとこんな感じ。

当該記事はこちら↓
S邸リノベーション。19「サーモグラフィ調査③『築35年の我が家』。」

正解は「築35年超の我が家の2階の天井の画像」でした^^

今回、屋根裏にもぐりこみ、断熱材の施工レベルを確認してきたのでした。

(あまりきれいな画像でないので閲覧注意)

無造作に置かれているだけの断熱材(グラスウール)

35年以上前の住宅の断熱レベルはこの程度。
断熱材は薄く、隙間だらけ。
(築20年の中古住宅の天井も同様だった。)
(今でもこの程度の断熱レベルの住宅は建てられている)

サーモグラフィで青くなっていた部分も当然隙間になっていた。
→熱の逃げ、結露リスク×

間仕切り壁部分に断熱材が入っていない。
(気密化もされていない)
→煙突効果で熱逃げ放題、、(T_T)

そして、廊下部分にはなんと断熱材は施工されてすらいなかった。
(もはや笑える)
(カバンが見える穴部分は点検口)

グラスウールにカビなどはなかった。

築35年超だが、天井に雨漏り跡がないようでひと安心。

築35年以上経っても隙間のない刻み仕口に感動。

我が家の断熱は改善の余地「大あり」でした。

…………….

続いて床下へ。

床下の様子。
地面には防湿シートが施工され、床下には断熱材がきれいに設置されていた。
(中越沖地震後の改修によるもの。)

防湿シート表面で結露していたので温度を測ってみると、、

床下の地面の表面温度は22.6℃だった。
(外気が多湿のため、結露していたが大きな問題はない)

そして伝えたいのがこれ。

床下は汚く、天井高が低く、障害物も多い。
→メンテナンスはとても困難!

有効高さ40~50cm。
(体を曲げながらのほふく前進でやっと。)

これは、今の住宅でも一般的な仕様です。

エスネルデザインでは、床下の高さは1.2m~1.4mを確保する設計をしています。
(床下も室内同様に断熱している)

前職時に担当したY様邸の床下。(天井高1.4m)

理由は、

・家の耐久性を上げるため。
 
→木部の腐朽、劣化、シロアリ対策。
 木部が地面から離れていれば、雨がかりは少なくなり、シロアリ発見率も高くなる。

・床下を収納として利用するため。
 
→小さい家には床下の大容量収納は相性ぴったり。
 季節飾りや子供のもの、旅行ケース、アウトドア用品など日常的に使わないものを収納するのに床下はとても便利。

・床下エアコンの暖気を効率よく全体に行き渡らせるため。
 
→床下空間が小さいと暖気にムラができやすい×

そして、

・床下のメンテナンスが容易なため。

→床下には給排水の配管が集まる。
 地震時などに漏れがないかを住まい手が容易に確認できれば漏水被害は軽減できる。

→床下エアコンを採用する場合、床下はきれいでなければならない。
 床下は容易に掃除できることが条件となる。

です。

配管の点検、床下の掃除が容易なT様邸。(天井高1.2m)
アウトドア用品や五月人形など季節飾り等が収納されている。

小さな家でも、屋根裏空間や床下空間を積極的に利用することで使える面積は格段に増やすことが出来ます。

そうすることで、実際の面積より広く住むことが可能になります。
(全ては工夫次第♪)

-「超高断熱の小さな家」escnel design-
カテゴリー
Uncategorized

【秘訣】一番簡単な熱中症対策『断熱+冷房』

ゆうです。

今日は、熊谷市で観測史上最高気温の41.1℃まで気温が上がりました。

東京都内でも観測史上初めて40℃以上を記録しました。

全国で熱中症が多発し、多数の重態・死者が出ています。

気象庁は「命に危険があるような暑さで災害と認識している」と発表しています。

果たしてどのような対策をとれば良いのでしょうか。

新潟市の2018.7月下旬の最高気温は、過去5年平均と比べて約4度も高かった。

平均気温も同様。
今年の7月の猛暑は異常。

しかし今後は「異常気象がなにかしら毎年起きる」と思われる。

異常を「想定外」とせず、想定する範囲を広げ、より安全な住宅を設計していきたい。

…………….

一番簡単な熱中症対策はなんでしょう。

結論から言うと「断熱+冷房」です。

日陰にいても室内にいても熱中症になる可能性があります。

それは「気温(室温)が長時間高まっているとき」です。

およそのメカニズムは、

「連続高温状態→大量発汗→水分不足・塩分不足」

により熱中症が発症します。

熱中症対策によく「水分補給・塩分補給」が言われますが、
その大元の原因である連続高温状態を防ぐことが一番の熱中症対策です。

「室内を冷房する」ということですね。

今まで「エアコンを使うことがなにか悪いこと」のように扱われきた節があります。
(僕の家もそうでした。)

軟弱だとか、地球に悪いとか、お金がもったいないとか、、、

確かに冷房をかければ地球への負荷がかかります。

しかし、暖房のほうが環境負荷は大きいですし、車を利用するのも環境負荷です。

そろそろ
「夏の冷房は贅沢ではなく身を守るために必要なこと。」

という社会認識が定着しても良いころではないでしょうか。

仮にそうなったとすれば冷房を使用することへの「精神的なハードル」はなくなりますね。

あとは「金銭的なハードル」(冷房代)です。

まず、前提として、

・これから異常気象で猛暑が毎年起こる可能性があること。


・発電の電源問題により、電気料金が上がっていく可能性があること。



・地球への環境負荷を低減する必要があること。

などがあります。

ではどうすれば良いのか。

簡単です。

家を高断熱にすれば良いんです。

シンプルにそれだけです。

「猛暑対策」も「電気料金対策」も「環境負荷対策」も全て
家を高断熱にすれば解決します。
(少し雑な言い方ですが)

高断熱と言ってもピンキリありますが、
エスネルデザインが勧める断熱性能はUA値=0.3程です。
(UA=0.3~0.4。※ケースバイケース)
(この根拠はいつかまたまとめます。)

一般的に「高断熱」と言われる家のUA値は0.5~0.6程なので
それの約1.5倍以上良い性能になります。

言うなれば高断熱を超えた超高断熱住宅です。

それだけの性能があれば30坪の家を24時間1ヶ月連続で冷房しても
冷房代は8千円程/月で納まります。
(※条件によりケースバイケース)

これなら「金銭的なハードル」もある程度クリアできるのではないでしょうか。

「そんなに高い性能は不要だ。」

「コストパフォーマンスが悪い。」

という建築会社ももちろんあります。

しかし、この猛暑や発電問題、地球環境を考慮しても同じことが言えるのでしょうか。

もちろん予算もありますし、断熱性よりも広さやデザインなどを求める場合もあるでしょう。

しかし僕は、家づくりにおいて
断熱性能は、資金計画の次に大事な要点だと考えています。
(耐震性は言わずもがな)

なにを大事だと考えているかは設計士により様々です。

強いポリシーがあればそこに良し悪しはないのかもしれません。

なので、なにを重要視した家を建てるかは

建てる方にかかっているんです。

見学会のオシャレな内装に心ときめくこともあるでしょう。

奮発してギリギリの予算までお金をかける場合もあるでしょう。

性能よりも広さや叶えたかった夢を追うこともあるでしょう。

すべて自由です。

しかし、一時の感情で突き進むのではなく、

・家は30年以上住み続けるものであること。

・ローンの返済があること(金利上昇も踏まえ)。

を考慮して能動的に検討し、自分の理想とする家を建ててください。

…………….

僕の個人的な考えですが、家の本質とは

「家族の生活を守ること。」

だと考えています。

それは「経済的な面」と「健康的な面」に大別されます。

・資金計画により、経済的に問題のない範囲で家を建てること。

・高い耐震性、断熱性を確保すること。安全な材料を使用すること。

それが家の本質である「家族の生活を守ること」につながると信じています。

(少しきつめの表現失礼いたしました!)

-「超高断熱の小さな家」escnel design-
カテゴリー
Uncategorized

高気密高断熱の家に住みたい!『寒暖差が体に与えるストレス』

ゆうです。

「ブログを休載する」と書いてまだ一日も経っていませんが、
書きたいことがあるので感情のままに書きます!

それは、

高気密高断熱の家に住みたい!ということ。
(切実)

「寒暖差が体に与えるストレス」というものを今強く感じています。

現在、家族が全員風邪をひいています。
(僕ら夫婦・息子・義父・義母)

近年で一番の大ピンチです。
(人生で一番風邪が長引いている。)

僕は4月末と5月初旬に熱が出てからグズグズと咳が治りません。

家族みんな咳をしています。

息子(8か月)も高熱が2回出ました。

そして、相方が昨日から40度の熱でダウン!

子供のお守りも上手く出来ず息子も辛い。の負のスパイラル。

僕の家族以外でも今年は例年になく「咳が止まらない。」という人によく会いました。

想像とネット調べと薬剤師さんなどの話から原因はこれだと確信しています。

寒暖差!!

年間(2017)の最高気温と最低気温の平均(月)グラフ(柏崎市)。

気温差ではなく、寒暖差

気温差でみれば、年間を通しておよそ似たようなものです。

問題は、

夜暑く、朝寒いこと。
(冷房するほど暑くはない)

正しくは、

朝~昼~夕までの日射熱を蓄熱し、就寝時に部屋がある程度高い温度を保持している。

薄着・薄がけ布団で寝る。
(そうしないと汗が出る)

朝方までに家が冷える。

薄着・薄がけ布団だと体が冷える。

体が弱り風邪をひく(治らない)。

というサイクル。(しかもこの時期毎日)

グラフの赤四角の5月や9月などの季節の変わり目は、上記の通り「夜暑く、朝寒い」。

だから体が弱り風邪をひく。

実は、

冬は「夜寒い→朝寒い」

夏は「夜エアコンで涼しく→朝涼しい」

意外と寝室内の寒暖差は少ないんです。

問題は「季節の変わり目」(今時期)なんです。

切り口を変えます。

皆さんに質問します。

高気密高断熱住宅のメリットが一番あるのはいつだと思いますか?

「えー冬じゃないの?」




「冬に暖かく(+安く)過ごすための高気密高断熱住宅でしょ?」

という感じですよね。

正解だと思います。

しかし!

近年僕は、高気密高断熱住宅の真価は冬よりも「他のある時期」なのではないかと考えるようになりました。

それが

季節の変わり目!

特に、春→夏(5-6月)と夏→秋(9-10月)

僕は現在、築35年オーバーの低断熱低気密の家に住んでいます。

住みながら毎年実験してきました。

結論を言えば、

夏はエアコンガンガンかければわりと快適になる。


冬もエアコンガンガンかければまあギリギリ快適になる。

(しかし光熱費は超かかる!)

冬でも夏でも、空調をガンガンかければある程度は快適に過ごせることを身をもって学びました。

しかし!

季節の変わり目だけは、制御がとても難しい!

特に低断熱低気密の家は、

熱(蓄熱)しやすく、冷えやすい。

だから風邪をひきやすい。

今、少しイライラしています。

それは、息子と妻が苦しんでいるから。

僕は、明確な証拠やデータなく、
「高気密高断熱の家は健康に良いですよ!」とは言いたくないほうです。

(誇張し過ぎたセールストークがはびこっているため)

しかし、こうは言ってもいいと思います。

高気密高断熱住宅は、寒暖差が体に与えるストレスを軽減できる。

その恩恵として、季節の変わり目に風邪をひきづらくなる。

T様からも

「新らしい家に住んでから子供のアトピーが改善しました。」

という話を聞きました。

「高気密高断熱住宅に住んで喘息が改善した」という研究結果も出ています。

いずれも「寒暖差」が少なくなったことによる影響だと思います。

もちろん過大に期待するのは禁物ですが、高気密高断熱住宅が健康に与える効果は体感できるレベルにあると言い切って良い。

もっと言えば、

高気密高断熱住宅は家族の健康を守る。

今回は感情に任せて文章を書いています。

今回の家族の辛そうな様子を見て、心は大きく動きました。

早く家を建てよう。

それが家族の健康につながると。

もちろん焦りはしません。

実際建てるのは数年後になるでしょう。

しかし、まずは「なんのために家を建てるのか」が肝心。

少し時間を置き冷静になって考え直しながら、一歩一歩自分たちの考える「豊かな暮らし」に向けて歩を進めていきたいと思っています。

追記…………….
一日経って相方の熱が下がりました。
この記事は、風邪を家の性能のせいにしすぎました。
ちょっと反省です。

カテゴリー
Uncategorized

S邸リノベーション。19「サーモグラフィ調査③『築35年の我が家』。」

サーモグラフィ調査の続きです。

今回は築35年オーバーの我が家での現地調査の報告です^^

築年数の経った低断熱低気密の家のサーモグラフィはどうなっているのでしょうか?


※サーモ画像を見る際には注意が必要です。まずは注意点をお読みください。
 →S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」

(雪の重さで電話線が切れて工事中の我が家。築35年以上)

さて、前回はS邸のサーモグラフィ調査をしました。
まずまずの調査ができたのですが、調査条件がいまいちだった点が、

『暖房時間が短い。』こと。と、


『暖房器具が石油ストーブである。』こと。

これらによって、温度が安定するまでの途中の状態での調査となっていました。
 →S邸リノベーション。18「サーモグラフィ調査②『現地調査』。」をご参照。

その反省を活かし後日、築35年オーバーの我が家で、

『エアコン暖房』で、『暖房時間もじっくりとって』暖房した部屋のサーモグライフィ調査をしてみました^^!


【条件】
・エアコン暖房設定24℃で約10時間連続暖房。→サーモ調査

・中気密中断熱の客間と、低気密低断熱の寝室の2箇所で調査。
 (客間と寝室で断熱気密性が異なるのは、客間は中越沖地震後にリフォームしたため)

・調査日時は12/24の18:30頃。
 (クリスマスイブの夜になにしてるんだか(^^;))

あまり部屋が片付いていないので、実際の写真とサーモ写真の並列表示ではなく、サーモ写真中心です(^^;)

サーモ画像の温度バーの色設定はS邸のときと同様で

 青・・・不快温度(18℃以下)
 黄色・・・問題ない快適温度(23℃ほど)
 赤・・・暖かい温度(それ以上)

として表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像ごとに設定しました。
 →詳細はS邸リノベーション。18「サーモグラフィ調査②『現地調査』。」

【客間】

客間は現在、ベビールームとして使っており、24h暖房をしています。
通常はエアコン20℃設定で、室温およそ20℃で維持しています。
(今回は調査のため、エアコン24℃設定で暖房後のサーモ画像です。)

室温は22.4℃(床から高さ1m地点。)

室内の様子。
床温(スポット3)は22℃と出ているが、放射温度計で測ると20℃ほど。(誤差2℃ほど)
サーモ画像に誤差があることに注意。→注意点
足元が20℃あればとりあえず寒くはない。(体感上も不快ではない)

天井温度は、誤差2℃を考慮すると22℃ほど。

興味深いのが、通常壁より天井のほうが暖まるのだが、調査結果を見ると逆だった。
これは、天井の内部が非暖房空間(隣接する玄関など)につながっているため冷えるからだと思われる。
(客間は1階で直上の2階の寝室も24℃設定でエアコン暖房していた。)
誤差を考慮しても壁は20℃以上あり問題ないが、壁下部(スポット1)と壁上部(スポット2)で温度差が7℃もあった。
実際の体感でも足はいいが体上半身が暑く感じた。「設定温度下げたい」と思うほど。
上半身の体感温度は26℃以上だったかもしれない。→温度差による不快感。
この温度をもう少し減らせればさらに快適な温熱空間になる。
(→さらなる高気密高断熱化、または空調方式の変更※床下暖房など)
ドアの下を放射温度計で測ってみる。(ドアの裏はほぼ外気温に近くなる無暖房の玄関ホール)
(サーモ画像の誤差が4℃ほどあった。)
床温が13℃だとすると足元が冷えてとても不快。
(スリッパ履きのためそこまで感じないが)
ドアの下の隙間が温度を冷やす大きな原因となっている。
(ただし、あくまで限定的な範囲だけなので問題は大きくない。)

床とは異なり、無暖房の玄関ホールと接している壁は23℃ほどで快適温。
→無暖房の部屋と隣接していても気密性があれば冷えは伝わりづらい(表面温度は快適温度を保てる)ことがわかる。

床の様子。
なにもない部分(スポット1)とテーブルの下(スポット2)で3℃ほどの温度差がついている。これは空調があたりづらいせいもあるが、テーブルの前に掃き出し窓がある影響が大きい。

また、布団の下がとても冷えている。これは布団が断熱材の役目を果たし、暖房が床に届きづらいため。ふとんの下が湿っぽくなりやすいのはそのせい(結露)。

テーブル前の掃き出し窓の下部。
サッシ下端は12.4℃ほど。(サーモ画像の誤差はほぼ無し)
室温22℃、湿度40%が結露し始める温度は約9℃ほどのため、12℃あれば結露はしない。
ドレープカーテンの下の隙間から暖気が伝わりサッシを暖めるため結露しない温度までサッシが暖められている。
(そのかわり冷気が室内に伝わる。結露防止と断熱はこのあたりが裏腹)

【客間まとめ】

温度ムラはあれど、エアコン暖房であれば一番冷えやすい床温を快適温度まで上げることはできる。
→快適な空間はある程度つくれる。

※注意なのは「不快感」と「熱損失の大きさ(暖房費の多さ)」は別の話ということ。
この部屋は不快感はまあまあ少ないが熱損失は大きい。

【寝室】

寝室も客間同様エアコン設定温度24度で約10時間連続暖房。
客間と違うのは低気密低断熱であること。

寝室のサッシはアルミ枠のため客間サッシ(樹脂アルミ複合枠)よりも表面温度は低い。
(温度差以上に熱ロスは大きい!)
室温23℃、湿度43%だと、結露する温度は11℃ほど。(結露していた。)

床温は約20℃。(サーモ画像の誤差ほぼ無し)
低断熱低気密の部屋でもエアコン暖房であれば床を快適温まで上げることはできる。

天井温は23.6℃ほど(サーモ画像の誤差4℃ほど)
1階の客間の天井温約22℃ほどよりも高い。
これは2階の天井には断熱材が(薄いが)入っているから。
(客間の天井にはなにもなく無暖房の玄関とつながっている。)

しかし!色でごまかされそうになるがよく見てみると、スポット1とスポット2で温度差が3℃もある。

わかりやすくするため温度バーの色設定を変えてみると、、

これを見るとぎょっとする。これがサーモ画像マジック(要注意)。
温度差は上の画像と全く同じ。色設定だけ変わっている。

これを見るとわかるが、天井の青色になっている部分は断熱材が密実に入っていないところ。
天井の隅はまだわかる。(すぐ上は寄棟屋根。隅は断熱材が入れづらい。)
しかし、スポット2の測定点の部分は明らかに断熱材がずれている(施工が悪い)。

我が家は築35年ほどだが、30年以上前は断熱施工の重要性はまだまだ認識が低かった。
体感ではそこまで差はないが、熱ロスはある。
そして、天井ならまだしも、壁内の断熱材がずれている場合、断熱材が入っていないところが結露して柱が濡れてカビやシロアリを呼んでしまうリスクがある。

築年数の経った中古住宅購入の失敗はこういうところが怖い。
壁の中の結露は誰もきづかない。気づかずに購入してしまう。
そういったことがないように中古住宅は購入する前に断熱リノベーションも検討すること。

天井裏の断熱材のずれは来春以降に確認してみようと思う。

多少誤差はあるが、床から天井までいずれも20℃以上あり快適温。
(寝室を見る限り壁の断熱欠損はなさそうだった。)

カーテンを開けて窓の温度を見てみる。(ガラス面なので正確に測定できていない可能性あり。)
カーテン部と比べ、おおむね7℃ほど差があった。
言うまでもないが、窓にカーテンをかけることで、窓からの寒気(放射)を緩和することができる。

隣の部屋(無暖房)とは引き戸でつながっている。
どれだけ断熱できているかを探った。(サーモ画像の誤差は2℃ほど)

戸の裏表温を比較してみる。(写真は無暖房室側から)

暖房室戸温23℃に対し、無暖房室戸温18℃(差:約5℃)

戸を開けてみる。

暖房室床温21.9℃に対し、無暖房室床温16.8℃(差:約5℃)

壁も比べてみる。
暖房室壁温24.7℃に対し、その背面は、、

無暖房室壁温17℃ほど(差:約7℃)

誰もが経験上知っている話だが、
断熱材が入っていない壁や戸であっても気密性がそれなりにあれば(暖房空気が流れなければ)それなりに部屋同士を断熱区画することはできる。

逆に、この2つの部屋をつなぐ戸が開いていたら、温まりが悪いだろうことは容易に想像がつく。

これは、断熱性も大切だが、快適性においては「気密性」がもたらす影響のほうが大きいということ。

断熱と気密はよく同列で語られるが、まずは気密性が大切
(気密性を示す数値C=1.0以下にはしたい)

【まとめ】

・低気密低断熱の部屋でもエアコン暖房を(連続で)すれば、(ある程度ではあるが)室を快適温に維持することはできる。

※熱のロスの大小は別問題。断熱性が低ければその分光熱費はかかる。

これは意外と重要なことで、新築ではなく中古リノベーションする際の判断基準のひとつになる。

ある程度の断熱気密性があれば快適な空間は空調でなんとかできる。

あとは、光熱費の問題(何年住み続けるか、電気代が今後上がると考えるか)を考えて、断熱リノベーションしたほうがよいか、しないほうが金銭的なメリットが大きいかを比較し、判断する。

ある程度室を区切って24h連続運転で使用すれば、低断熱低気密の家であっても、快適過ごすことはできる。

あったかいリビングから寒い浴室に移動した際に起きるヒートショックによる心筋梗塞などを起こさないよう空調の使い方は考えていきたい。

…………………………..

【その他(おまけ)】

浴室(入浴直後)
床温は16.4℃(サーモ画像の誤差2℃弱)
はだしで触るとヒヤッとして不快な温度。ユニットバスの裏は床下(外気)に断熱材なく接しているため。

ちなみに現在の事務所で採用している床下エアコンを使った住宅の浴室床温は22-24℃ほど。
あったかくてとても快適。
床も乾きやすいのでカビ防止にもなる。
浴室の快適性は、家の中でも重要度は大きい。
せっかく新築を建てるのであれば、そういったことまで考えられた断熱計画、空調計画を求めたい。

トイレ(無暖房)。
床の隅の温度は約11℃。(計測していないが室温も同様だろう。)
温水便座が放熱しているのがとてもわかりやすい。

サッシ枠は約8℃。当然結露している。(浴室からの湿気あり)

キッチン(暖房空間)。
勝手口ドアの下は10℃以下まで冷えている。結露もする。
調理中は動いていたりコンロの熱を感じたりして上体は温かいが、特に冷え性の人は足元が不快に感じる人も多いと思う。(義母もそう)
不必要にキッチンの窓を大きくすると、快適性に影響を与えることに注意。

外気温ほどまで下がる玄関ホール(無暖房)

以上が昨年末に行ったサーモグラフィ調査でした^^

少し荒めの調査ではありますが、ニュアンスが伝わればと思います。

これから建てられる新築やリノベーションの参考になれば幸いです。

カテゴリー
Uncategorized

S邸リノベーション。18「サーモグラフィ調査②『現地調査』。」

S邸のサーモグラフィ調査の続きです。

いよいよ現地調査の報告です^^

この日は午後から晴れ間が差し出し調査日和となりました♪


※サーモ画像を見る際には注意が必要です。まずは注意点をお読みください。
 →S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」

さてS邸のサーモ調査ですが、『目的』はなにかというと、


・断熱リノベーションしないで住む場合、室内がどのような温まり方になるかを示す。


・断熱材の欠損などがないかを調査する。

といったところです。

ただ最初に告白しておきますが、今回あまり有益な報告にはならないかもしれません(^^;)

前提条件と合わせてお伝えすると、

・外気温:約6℃(15時:7℃~17時:5℃)※2017.12.23新潟市

・無暖房状態から、石油ストーブで30分間暖房し、室温を16℃程まで上げた。
 (その状態のサーモ画像。)

「有益な報告にならないかも」と言った理由は、

・暖房時間が短い。
 本当は、1~2日暖房したあとに測るのが理想的。
 (そうしないと壁や床や天井の表面温度が安定しない。)

・暖房器具が石油ストーブである。
 石油ストーブは高温を吹き出すため、どうしても部屋の上部が暖まりやすく床面が温まりづらい。

S邸は現在電気契約を止めているためしかたのないことで、
僕はこの日、車にダルマストーブを積み、そのストーブで暖房したのでした(^^;)
(ダルマストーブ:乾電池で動く石油ストーブ)

二人乗りの双太郎の助手席にダルマストーブが乗っている様子はさぞおかしかったと思います笑

…………….

さてさて、以上が前提条件でした。

それでは具体的な報告です。

※簡単にですがS邸のリビングの現状はこんな感じです。
(インスペクション時に撮影)

【暖房前】

室内の表面温度はおおむね8℃ほどと表示されている。

放射温度計では4.8℃。サーモ画像に3℃ほどの誤差あり。→注意点

リビング床温は5℃ほど。(多少日射あり)

和室(畳下に断熱材なし)の床はリビング(断熱材あり)より低く、3.4℃。

外気と土間コンクリートで接している(室内と外の境に断熱材が入っていない)玄関床は3.1℃。
玄関は断熱施工がしづらく家の中で一番冷えやすいところ。
ここをどう断熱改修するかが断熱リノベーションのポイントのひとつ。

ここから30分石油ストーブで暖房した。

【暖房後】

評価の前にもうひとつ前提条件の説明を。

温度バー(サーモ画像の右端にある温度と表示色の関係を示したバー。上の画像では最高32℃~最低14℃)の温度は変えることができます。

これを固定(すべて同じ最高温度~最低温度)してそれぞれのサーモ画像を比較するのもひとつの方法ですが、今回はパッと見での分かりやすさを優先するため、

青・・・不快温度。


黄色・・・問題ない快適温度。


赤・・・暖かい温度。

として表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像ごとに設定しました。

具体的には、

表面温度18℃を水色に →水色より青いと体感で寒い(不快)

表面温度23℃を黄色に →問題なし

なるように温度バーの最高温と最低温を設定しています。

なので、詳細な温度数値を見なくてもなんとなく感覚的に

「ここが不快そうだなー。」「ここは問題なさそうだなー。」

と読めるようにしました。

ではでは話を戻して、

リビング(東面)のサーモ画像。
(エアコンはついていない。樹脂のため表面温度が他より高くなっている。)

天井(スポット4):26℃
壁上部(スポット1):23℃
壁下部(スポット2):18℃
床隅(スポット3):14.4℃

・上下温度差が10℃以上あること。
・足元が14℃ほどであること。
 より「不快」な状態であることがわかる。

この家に断熱リノベーションせず住んだ場合、日中暖房せずに、帰宅後石油ストーブをつけた30分後はこのような状態だということ。

築20年以上で石油ストーブをメインで使用している家はこういう状態の家が多いと思われる。

30分暖房後の室温は16℃ほど。まだまだ寒い。
石油ストーブ(水分を出す)のため湿度も高まりサッシに結露が始まる。

放射温度計でも測ったがサーモ画像と大きな誤差はなかった。
(こういう誤差があったり合ってたりするバラツキが格安サーモカメラのやっかいなところ、、)

一番冷たくなるサッシ(アルミ)の下枠は9.9℃。
室内16℃、72%のとき、結露が始まる温度(露天温度)は約11℃ほど。
サッシが11℃より冷たいため、枠に結露が起きる。

結露自体を極端に恐れる必要はないが、結露が極端に進むとカビの発生につながる。
そして一番怖いのは、目に見えない壁の内部が結露すること。
壁内が結露し続けると、柱の腐朽やシロアリ被害につながる。
(古い家は気密性が低いため、換気が進み、図らずも壁内が結露しづらい場合がある。一番危ういのは中途半端な知識と施工で建てられた中気密の家。)

リビングの掃き出し窓。
掃き出し窓の下部は他の部分より冷えることがわかる。
(付近の床まで冷えが伝わっている)
(画像右下の床が赤いのはストーブがあるため)

ストーブから遠いキッチン奥の床隅は結露が起きそうなほど冷えている。
(スポット3:12℃)

…………….

【2階個室】

現状はこんな感じ。

インスペクションをしてもらったアズ建築事務所の佐藤さん。

こちらも30分かけて石油ストーブで暖房した。
(運んだり寒い中待ったり、一人で大変だったなー(><)!)

壁上部(スポット3):21℃
壁下部(スポット2):18℃
床隅(スポット1):12.3℃

おおむねリビングと同様の結果。
(「不快」な状態であることがわかる。)

押入れ側(北西面)。
天井(スポット4):28℃

壁上部(スポット1):23℃
壁下部(スポット2):18℃
床隅(スポット3):16℃

色を見ての通りだが、
石油ストーブでは、天井ばかり暖まり床が暖まらないことがわかる。
足元が(頭より)暖かいことが快適に感じる条件なのに真逆の状態。
石油ストーブは火力が高く即効性があるが、快適性から言うと△。
ここに石油ストーブの暖房としての限界を感じる。
ガスストーブでもそうだが、火力が強いとどうしても上下で温度ムラがおきやすい。
快適性を考えると、やはり
『高断熱高気密+エアコン暖房(24時間)』が理想だろう。
エアコンは吹き出し温40℃前後で、空気と一緒に壁や床などを暖める。
壁や床などが暖かくなると、放射熱により人間は暖かく感じる。
※人間の体感温度は「空気の温度」と「壁などからの放射温度」をそれぞれ同量程度感じている。
 そのため、空気温がいくら高くても壁などの放射温が低ければ不快さを感じる。
(空調された車内がいまいち快適でないのは放射温の影響。暖房空気が暖かくてもボディやガラスなどが冷たいと不快に感じる。冷房も同様。)
エアコンにより、空気と共に壁などの内装材も快適温(22~24℃)で維持されていると、人間はとても快適に感じる。
…………….
今回の結果としては(測定条件がいまひとつな感じはありますが)、

断熱リノベーションしないで住む場合、室内がどのような温まり方になるかは示せたと思います。(ある程度)

また、リビングと個室を調査したところ、大きな断熱材の欠損も見当たりませんでした。

(調査範囲が狭いのでなんとも言えない。)
こういったサーモグラフィ調査が中古住宅の購入の際の情報のひとつになれば理想的なのですが(リノベーションなしでそのまま住むことを想定する場合)、
実際は、屋外と室内で温度差をつけないと調査できないので、なかなか条件は厳しいです。
調査にそれなりの費用もかかるため、現実的には中古購入前にこうした調査をすることは難しいです。(当面は)
そうなるとやはり、『断熱リノベーションをする』ことを前提とした中古住宅探しが良いのかもしれませんね。
さて、今回の調査で、

『暖房時間が短い。』ことと、

『暖房器具が石油ストーブである。』ことが、調査条件をいまいちなものにしていました。

その反省を活かし後日、築35年オーバーの我が家で、

エアコン暖房で、暖房時間もじっくりとって暖房した部屋のサーモグライフィ調査をしてみました^^!

その報告はまた次回に♪

おまけ…………….

【玄関ホール】

※注意!
「青・・・寒い。赤・・・暖かい」の温度バー設定ではありません。
温度差を色で伝えやすいよう、温度バーの温度間隔を狭くして極端に色の差を出しています。

赤=暖かい(快適)ではないことに注意。
赤(スポット3:10.7℃)、青(スポット2:8.7℃)で色から受ける印象ほどの温度差はない(差2℃)。

なにが伝えたかったかというと、
「梁が入っている部分の壁(スポット2)」と「梁がない部分の壁(スポット1)」に温度差が見られるということ。

これがいわゆる『熱橋』でサーモカメラを使うと断熱性が低いところを可視化することができる。
(※ただし、実際の温度差は0.6℃ほどで問題になるほどのものではありません。)

カテゴリー
Uncategorized

S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」

皆さんはサーモグラフィーカメラというものをご存知でしょうか^^

写真を取ると温度が色分けされ温度分布が可視化できるカメラです。

このカメラを使うと、建物の温度分布が調査できます。

精度の高いものは何十万円もするため日常的に使用することは難しいのですが、

近年、スマホに接続してしようできる割安のサーモカメラが販売されてきました。

「FLIR ONE サーモカメラ」3~4万円ほど。

先日、現在勤めている事務所のものを借りて、S邸のサーモグラフィ調査に行ってきました。

また、築35年オーバーの我が家の様子も調査しました。

次回からその報告をしていこうと思います^^

…………….

今回はそれに先立ち、サーモカメラで撮った画像を見るときの注意点をお伝えします。



①表示される温度の精度にバラツキがある。

高精度のサーモカメラだと精度が高いのでしょうが、割安のFLIR ONEは精度にばらつきあり、±3~4度ほどの誤差がでます。
なので、正確な温度把握という使い方ではなく、相対的な温度差を見るのに適していると言えます。

暖房前のS邸リビングのサーモ画像。
暖房していないので、当然壁も床も天井もほとんど同じ温度。

上の画像の左側の窓下の温度(スポット1)は8度と出ていますね。

では、同じ部分を精度の高い放射温度計で測ってみると、、、

4.8度です。およそ3度の差がありますね。

これは、センサーの精度や放射率等の細かい設定の違いから発生する誤差です。

やっかいなのはこの誤差が常に一定ではなく、


温度が合っているときもあれば、4度ズレるときもある。

ということ。

なので、あくまでサーモカメラはおおまかな温度(差)をつかむものと考えておいたほうが無難です。

(正確な温度が知りたい場合はカメラではなく放射温度計で測る)

続いての注意点は、

②温度差の印象操作が容易にできてしまう!

実は『精度』よりもこっちのほうがはるかに注意が必要です!

どういうことかと言うと、、、

このサーモ画像を見てどう思われたでしょうか。

「床が冷たそう!」「足が冷えそう!」「不快そう!」

と言ったところではないでしょうか。

では続いてこちら。

どうでしょうか。

「床まで温まっていそう。」「断熱性が高いのかなー。」「快適そう。」

といった感じでしょうか。

気づかれた方もいると思いますが、

これ、同じ温度状態の写真なんです!!

タネあかしをすると、

温度の色分けを変えているんです。

上の3枚は全て同じ画像を編集しているものです。

右下の赤四角で囲ったところが最低温度の設定です。

最低温度を何度にするかを変えることで、

同じ温度でも青く表示したり、黄色く表示したりすることが操作できるんです。

便利な機能ではあるのですが、

読み手にもそれなりの知識や経験がないと第一印象で勘違いを起こしてしまいます。

意図的に勘違いを起こさせることも容易ということです!

本当は低断熱住宅なのに、操作したサーモ画像をパッと見せられて、

「当社の住宅はこれだけ暖かいんですよ!」

と言われても気づけないですよね。

サーモ画像に、温度バー(右端の温度と表示色の関係を示したバー)があればまだ良いほうです。

温度バーがあれば、まだ読み解くことができます。

しかし、温度バーがなく文章のみで説明されたサーモ画像には注意が必要です!

これからサーモカメラが一般的になるに従い、サーモ画像を見る機会が増えていくかもしれませんが、これだけ頭の片隅に入れておいてください。



『サーモ画像を見るときは注意が必要。』

①表示された温度が正確でない場合がある。

②実際の温度と表示された色の印象に差がある場合がある。

…………….

と、予想したとおり長くなってしまいました。

サーモ画像を載せる場合、勘違いを起こさせないよう温度などの条件をわかりやすく説明する必要があり、そこが難しいところですね。

S邸のサーモ調査の報告は次回に続きます。

S邸外観写真。(温度バーなし。無暖房)
建物表面が温まっているかのようなサーモ画像になっている。
(とても冷たい空の温度と、外壁温度にある差を極端に示しているため)