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【健康】冬場、サッシのカビに注意。ポイントは高断熱と暖房。

ゆうです^^

皆様は年末に「窓の掃除」はされましたでしょうか。

その際、カビはいかがでしたでしょうか。

冬場、「低断熱サッシ+石油ストーブ」使用だとほぼ確実にサッシが結露し、ほおって置くとカビが発生します。

晴れ(窓への日射)の少ない新潟の冬は特に。

カビの胞子はアレルギーを引き起こしたり、

カビを餌にしたダニが喘息につながったり。

小さなお子様のいるご家庭は特に、カビには注意したいところです。

我が家は年末の大掃除で窓のカビを一掃しました^^

家族で寝ている部屋のサッシが特にひどかったです、、

人間・洗濯物からの湿気+樹脂アルミサッシ。

暖房は石油ストーブでなくエアコンなのですが、それでもカビが生えていました。

ガラスに生えたカビ。

サッシ枠や、レール部分にも生えていた。

引き違い窓は、レールなど凹凸が多く、カビが溜まりやすい+拭き取りづらい。

外からの土も溜まりやすく、強風時やパッキン劣化時の気密性低下も難があるため、エスネルデザインでは積極的には勧めていない。

(出入りする部分など使用上有効な場所には採用する)

【S邸Web内覧会②】「窓の選び方、壁の切り取り方」

たくさん取れました。

拭き取り+アルコール除菌し、ひと安心。

肌の弱い息子や生まれたばかりの娘がいるので、カビやダニには敏感になるところ。

こんなときも

「断熱性の高い新築に住みたいなー。」

と感じる瞬間です。

【健康】なんのための超高断熱?「体への負担(寒暖差)を減らすため。」

では、どうすればカビの発生を抑えることが出来るのでしょうか?

実は、我が家の窓にカビが生えやすかった理由は、サッシの性能や湿気発生以外にもありました。

それは、、、

窓からのコールドドラフトを防ぐための「冷気ガード」を設置していたため。

コールドドラフト・・・冷えた窓辺に発生する冷気流(下に流れるように動く)

冷気ガードとサッシの間を上から見た図。

ガードによってコールドドラフトが軽減され、冷気が体に当たることが抑えられるのはとても良いのですが、反面、結露しやすくカビが生えやすい状況になっている。

(それを理解していれば問題ない)

…………….

さて、

カビの発生を抑えるには、結露を抑えれば良いわけですね^^

結露を抑えるためには、サッシの表面温度を高めるのが有効です。

高断熱サッシを採用し、サッシの表面温度の低下を抑える。
(寒い外気温を室内面に伝えない)

暖房を適度にサッシに当て、サッシの表面温度を高める。
(温度を上げること、風を送ること、空気を循環させること)

我が家は冷気ガードにより②が行われづらかったことが結露の促進につながりました。
(暖房がサッシ下部に当たりづらい)

同様の理由から、エスネルデザインでは「断熱カーテン」はお勧めしていません。
(ハニカム構造のものなど)

断熱カーテンは「熱」は室内からサッシへ移動しづらいですが、防湿性はないので「湿気」はサッシに移動します。

その結果、冷えたサッシに湿気が当たることで結露が起き、カビの発生につながりやすくなります。

(隙間無くカーテンを閉め切るとサッシ周りが「保湿」され、カビの温床になることも)
(カーテンが濡れてしまうことも保湿につながる)

熱ロスを防ぐこと・コールドドラフト対策も良いのですが、あまりに締め切ってしまうとカビが生えやすくなってしまいます。

人がいない時間帯はカーテンの下を少し空けるなど「空気の循環」と「サッシの表面温度を上げる」工夫が必要になります。

また結露の抑制には、適切に換気を行い、湿気を制限することも重要です。

超高断熱の家は室温を高く維持できます。

室温が高いと湿度は相対的に下がります。(相対湿度(%))

湿度が低いことを心配し、加湿器などを過度に使用してしまうと、サッシの結露につながるので適切なバランス管理が必要です。

また冬場、居室給気の換気方式の場合、

「換気扇が回っていると寒いなー」



と換気扇を切ってしまうということもよく耳にします。

気持ちは分かります、

寒い外気が人に当たるのは本当に不快、

しかし、換気扇を切ってしまうと、就寝時の人からの湿気でサッシは確実に結露します(^^;)

そんな日がずっと続くと、、、カビ発生はすぐですね。

それらを回避するためにも、居室排気の換気方式をエスネルデザインでは推奨しています^^

居室排気の換気であれば、

①居室が冷えず
(居室に外気が直接給気されないので)

②湿気の排出もすぐに出来る

ので、一石二鳥♪

設計者はいろいろな効果を考慮して、設計をしているのです^^

詳しくはこちらの記事をご参照♪

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

快適に、健康に過ごせる家を。

「性能の高い家を建てれば大丈夫」

「高性能の換気扇を入れれば大丈夫」

ではなく、住まい方にも知識やコツがいります。

結露しづらいよう工夫をしていても結露し、カビが出来ることもあります。
(北側のトイレの窓など、冷えやすく掃除もされづらい場所など)

そういったことも考慮し、冬場は小まめに窓周りを掃除したいところですね。

ただ、「超高断熱+全館空調」の家は、部屋ごとに暖房する家に比べると結露が起きづらいのは事実。

家づくりは家族の人生づくり。




家を建てるのであれば、目に見える部分にこだわるだけでなく、

暖かさやカビの生えづらさなど、家族の健康まで考えて建てたいですね。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。

趣味:家族旅行・カフェ巡り・夕日ドライブ・息子と娘と遊ぶこと♪

メッセージはメールインスタからどうぞ^^

【関連記事】…………….

【健康】なんのための超高断熱?「体への負担(寒暖差)を減らすため。」
【S邸Web内覧会②】「窓の選び方、壁の切り取り方」

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

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【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」②日中の室温と日射熱の影響。

ゆうです^^

網川原のエスネルでのサーモグラフィ計測のご報告その②!

今回は日中編♪

日差しが強くなる日中。

室内の温度はどのようになっていたのでしょうか^^

網川原のエスネルの様子はこちら♪

【網川原のエスネル‐37】「残暑の日射遮蔽ゼロ体感見学会」開催!

「測定条件」「サーモ画像を見る際の注意点」などは前回の記事をご参照ください^^

【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」①温度差のない空間と空調換気設計。

…………….

ではでは、早速続きから♪

【9月7日】(平均:28.6℃、最高:32.3℃)

14:00頃…………….
(外気温:約31.4℃)

南面(リビング)

1階壁(スポット1):28.5℃
2階壁(スポット2):28.1℃
天井(スポット3):28.7℃
※床(別画像):27.7℃

1階床と2階天井の温度度差は約1℃

南面(リビング)

床下エアコン(冷房)噴き出し口わまり(スポット2)から冷気が出てきている様子が分かる。
(この時は除湿と室温を下げるために運転)
(通常は床下冷房は行わない)

床下エアコン噴き出し口は主に「暖房用」。

冬場ここから暖気が出ることで

・室内を暖める
・窓のコールドドラフトを防ぐ
・窓の結露を抑える

などの効果を得る。

西面(トイレ)直射あり

床(スポット1):27.7℃
壁(スポット2):28.1℃
天井(スポット3):30.0℃

このトイレは、開放感・採光確保のため、使用時以外は戸を開けておけるよう設計した。
(壁の連続性、天井まで高さのある引き戸、便器が見えない、など)

トイレなどの小さな室は熱がこもりやすい(冬は冷えやすい)。

戸を開けておける設計は、開放感だけでなく、温熱的にもメリットがある。

幾重もの効果を考慮して

「バランスの良い重心を定めること」

が良い設計なんだろうと考えている。

直射を受けているサッシ樹脂枠(スポット2)は約40℃と高温。

ただし、
・直射を受ける時間が限られていること
・面積が大きくないこと

などを考えるとそこまでおおごとではない。
(好みによって遮光カーテンをしても良いし、しなくても良い)

東面(リビング)直射なし

直射を受けていないサッシ樹脂枠(スポット5)は約30℃。
(壁は約28度)

一時的な温度変化よりも「全体のバランス(1日のバランス、1年のバランス)」を考えた設計を心掛けたい。

西面(洗面脱衣室)直射多少あり

床(スポット1):23.7℃
壁(スポット2):24.8℃
天井(スポット3):24.6℃
※床(スポット1)は床下エアコン(冷房)のまん前のため参考値。

戸で仕切っていないので、西面の小さな室でも熱がこもっていないことが分かる。
(追って脱衣スペースにはカーテンが設置される)

①「小さな家」→抜けの積極的利用

②「超高断熱」+「家中連続空調」

この二つは密接に関わりあい、相乗効果を発揮している。

南-西面(2階子供室)直射あり
(現在、仕切り無し(将来設置計画))

床日陰(スポット1):26.6℃
壁(スポット2):27.0℃
天井(スポット3):27.3℃

床~天井温度差=約0.7℃

北-西面の子供室もほぼ同様。

西面サッシ枠(スポット4):35.7℃
北面サッシ枠(スポット5):29.2℃

南面(外観)

南面(下屋下)

壁(スポット1):40.5℃
サッシ樹脂枠(スポット3):37.9℃

ガラスには反射した景色の温度が表示されている。
(ガラスの温度測定は難しい)

エアコン室外機

冷房時は、噴き出し口(スポット1)から高温の風が出る。

・暖房時(冬)に室外機に雪が積もりづらいよう
・排気と給気のショートサーキットが起こりづらいよう


「開きすぎず、閉じすぎない」よう室外機まわりは配慮したい。

西面(直射)

壁日陰(スポット1):34.9℃
壁日向(スポット2):41.1℃

土も緑も空調のないこんなに暑い中、ずっと外。

頭が下がります、

17:00頃…………….
(外気温:約30.2℃)

日中、人が多く、日射も気温も高かったため、エアコンは23-24℃程で運転していた。

夕方にはここまで家は冷えていた。

参考までにご紹介。

壁-床-天井:約22℃ほど。

給気扇からの外気温も落ち着いてきた。
(外気温は約30℃あったが)

壁-床-天井:約25℃ほど。

壁-床-天井:約25℃ほど。

南面外壁も約30℃ほどまで下がった。

その他(おまけ)…………….

【9月8日】(平均:30.0℃、最高:35.5℃!

13:00頃…………….

南面(リビング)

床(スポット1):24.8℃
1階壁(スポット2):25.0℃
1階-2階中間壁(スポット3):24.7℃
(外気温:約33.6℃)

前日の連続冷房運転が効いてきたお陰か、外気温は前日より高かったが室温は落ち着いた。

1階も2階も適温でとても快適だった。
(前日も快適範囲内)

サッシ樹脂枠温度を見てみる。(南面2階)

室内側樹脂枠(スポット1):30.8℃

屋外側樹脂枠(スポット1):48.2℃

屋外-室内の表面温度差は約18℃!

樹脂がいかに熱を伝えづらいかが分かる。
(樹脂サッシありがとう!)

以前調査したアルミサッシ。

内外温度差はほぼ無かった。
(アルミは熱伝導率がとても高い=断熱性が低い)

この図も少し面白い^^

FIX窓開き窓の熱損失の差。

FIX窓(スポット2)と開き窓(スポット1)の温度はほぼ同じ。

しかし、開き窓のほうが枠の幅が広いため、赤くなっている量が多い。

全体からすると大きな量ではないが、意味無く開き窓にする必要もない。

空調方式、コスト、見え方、掃除性、など総合的に考慮して必要に応じた窓を決めていきたい。

【S邸Web内覧会②】「窓の選び方、壁の切り取り方」

床下
床-壁-天井とも約24℃ほど。

(自然の地中冷熱の可視化のために、冷房前にも撮影すればよかったと少し後悔(^^;))

基礎(直射あり)

基礎日向(スポット1):43.0℃
基礎日影(スポット2):37.8℃
杉板外壁日向(スポット3):50.3℃

基礎は床下からの冷熱伝導の影響で、外壁より温度が低くなっている。
(外壁は通気層で熱伝導の分断あり)

屋根(ガルバリウム鋼板。遮熱あり):78.3℃

ガルバリウムの熱実験は過去記事でも♪

【秘訣】夏の遮熱効果調査おまけ①「RCの学校の温度・ガルバリウム屋根の温度」

…………….

以上が「真夏の超高断熱のサーモ計測」の報告です^^

およそ想定通りでしたが、それが可視化できて良かった。

また、超高断熱が真価を発揮するのは「冬場」。

機会があれば真冬にも計測してみたいものです。

(K様、その時はご相談させて頂ければ幸いです。)

マニアックな話を最後までお読み頂きありがとうございました。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、2歳の息子と遊ぶこと。

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【関連記事】…………….

【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」①温度差のない空間と空調換気設計。
【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

【秘訣】夏のロールスクリーンの遮熱効果調査②「実験開始!ロールスクリーンの表面温度。」

【秘訣】夏の日射熱調査①「窓の適切な日射遮蔽方法は?」

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【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」①温度差のない空間と空調換気設計。

ゆうです^^

網川原のエスネルでのサーモグラフィ計測のご報告!

日射遮蔽はゼロ!
(カーテン設置前のため)

晴天の真夏日!

超高断熱性能!

最高の実測条件でした^^

果たして、室温はどうだったのでしょうか!?

いやー、この日は本当に感謝でした。

2週間前くらいまでは予報だったのですが、晴れに変わり、さらに真夏日に!

神様がエスネルデザイン新築第一棟目の完成を祝福してくださっているのかと^^

ありがとうございました。

9/7はフェーン現象で新潟は真夏日に。
(平均=28.6℃、最高=32.3℃)

日照もほぼ100%と「真夏のサーモ計測」には最高の日^^
(「日照時間1=1時間あたり100%の日照があった」ということ)

参考までに、新潟市2019年7月~9月の最高気温の推移もご紹介。
近年、突出して気温の高い日が出てきた。

超高断熱の必要性は「環境(気温変動幅の増大)」により、これからさらに論じられていくことと予測している。

地球温暖化やエネルギー問題は

「地球に優しくしたほうが良いよね」

だけでなく

「お財布へのダメージ」

にもジワジワとつながっていく。

数十年と住み続ける家の性能はどれほどが良いのか。

個人個人が、自分たちの人生を真剣に考え、決めることが必要になる。

…………….

話をサーモ計測に戻します^^

完成した網川原のエスネルの様子はこちら♪

【網川原のエスネル‐37】「残暑の日射遮蔽ゼロ体感見学会」開催!

【サーモ計測の概要・条件】…………………………..

目的:真夏の超高断熱の室内温度差の調査

調査方法:室内の表面温度の計測

調査日:2019.9.7(10:30~17:40)

場所:新潟県新潟市中央区網川原

気温:平均=28.6℃、最高=32.3℃

建物性能:断熱性UA=0.24
・サッシ:樹脂トリプルガラス(APW430)
・壁:グラスウール12cm+フェノールフォーム6cm
・天井:セルロースファイバー42cm

日射遮蔽:なし(カーテン設置前につき)
※実際は遮光カーテンを設置する。

冷房器具:エアコン(2階ホール×1+床下×1)
※完成直後で材からの湿気が多いこと、見学会で人が多いこと、日射遮蔽がゼロ、等により、設定温度は低めで2台を連続運転(設定温度23~26℃適宜調整)

…………………………..

網川原のエスネルの断熱性の詳細はこちら^^

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

さて、具体的にサーモ画像を見て頂く前に「サーモ画像を見るときの注意点」を↓

S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」

注意点は、

・表示温度に誤差があること。

・温度差の印象操作が容易にできてしまうこと。

でした^^

※サーモ計測器は「FLIR ONE(Gen3)」。
精度の誤差は数℃(おそらく±1~3℃程)ある。

複数のサーモ画像を見比べるより、
「1枚の画像の中の温度差のありなし」に注目して見るとより有意義。

前提の説明をもうひとつ。

温度バー(サーモ画像の右端にある温度と表示色の関係を示したバー。上の画像では最高38℃~最低25℃)の温度設定は変えることが出来る。

これを固定(すべて同じ最高温度~最低温度)してそれぞれのサーモ画像を比較するのもひとつの方法だが、今回はパッと見の分かりやすさを優先するため、

:25℃以下

緑青色:27℃ほど

黄色:29℃ほど

赤:30℃以上

と表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像ごとに調整した。
(詳細な温度数値を見なくてもなんとなく感覚的に読めるように)

※個人的な体感として、夏場の快適室温は26.5℃以下がひとつの基準かと感じている。

26.5℃以下で湿度が60%以下であれば、最低ラインクリアかと。
(26.5℃・60%の不快指数=74.9=体感指標「暑くない」)
(それ以上の快適性は個人の好み)

なので「~緑青色であればOK」と考えながらサーモ画像を整理した。

…………….

ではでは計測報告を^^

【9月7日】(平均:28.6℃、最高:32.3℃)

10:30頃…………….
(外気温:約31.1℃)

南面(リビング)

1階壁(スポット1):27.6℃
2階壁(スポット2):27.4℃
天井(スポット3):27.8℃
※床(別画像):27.1℃

見るべきポイントは温度差。
(=サーモの色ムラの少なさ)

1階床と2階天井の温度度差は約0.7℃!

文章では伝えきれませんが、
天井と床の温度差が少ない冷房空間はとても快適。

足元が冷えず、頭も暑くなりすぎない。

これが超高断熱がもたらす効果^^
(しかも冷房費を抑えながら家中24時間空調!)

超高断熱は、快適性経済性のためです。

+「健康」へも影響あり。エネルギー価格の上昇のリスクヘッジにもなる。

※低断熱の家でも、設定温度を下げてエアコン複数台で運転すれば室温は下げられる。

しかしそのとき、高断熱でないと「天井と床に温度差」が出る。
(冷房費もかかる)

具体的に言えば、足まわりがとても寒かったり。

そして、その差は冷房時よりも暖房時に顕著に現れる。
(快適性も暖房費も)
(夏:内外温度差=10℃以下←→冬:内外温度差=20℃以上)

ということで

室内の温度差がいかに少ないか

が快適に暮らす大きなポイントです^^

(もっと大きなポイントは「空調計画(経路の設計)」。長くなるのでまた)

サーモ計測の報告に戻ります。

南面

1階壁(スポット1):27.3℃
2階壁(スポット2):27.5℃
天井(スポット3):28.0℃
※床(別画像):27.1℃

床~天井温度差=約0.9℃

南面サッシ

1階壁(スポット1):26.8℃
2階壁(スポット2):26.7℃
サッシ樹脂枠(スポット3):29.8℃

・下屋による日射遮蔽効果
・午前であること
などからサッシ枠の温度はそこまで高くなっていない。

北面(洗面脱衣室)

床(スポット1):27.1℃
壁(スポット2):27.1℃
天井(スポット3):27.8℃

床~天井温度差=約0.7℃

南-西面(2階子供室)

床(スポット1):24.3℃
壁(スポット2):24.2℃
天井(スポット3):24.2℃

床~天井温度差=約0.1℃

・2階ホールのエアコンからの冷風
・窓面積(=日射)が少ないこと
などからリビングより温度は低めになっている。

北-西面の子供室もほぼ同様。
(南面と北面でサッシ枠に温度差あり(約4℃))

リビング床

床日陰(スポット1):27.0℃
床日向(スポット2):30.6℃

・床が蓄冷されていたこと
・直射時間が少ないこと
などから日陰と日向の温度差はそこまで大きくない。

ここは、
エスネルデザイン的空調計画の肝の部分。

ポイントは

①メンテ手間、コストパフォーマンスに難があるため「熱交換型換気扇」はお勧めしていない。
(ダクトレスは見た目△/ダクトありはメンテ△)

②熱交換なし換気扇の場合、居室に暑い(寒い)外気が直接入ってくるのは不快のため、対策が必要。

③換気経路を逆転させ「ホールから給気→居室から排気」とすることで②の課題をクリア。

④給気口はエアコンの近くに設置し、外気を最短距離で冷暖房+除湿して、各室へ配る。

まとめると、

「新鮮空気の経路」と「空調空気の経路」を同じ経路で計画することにより、快適温で新鮮な空気を居室に配る

ことが出来るということ^^

しかも、

・低コスト(イニシャルもランニングも)

・見た目○(ダクトレス熱交換あり換気扇に比べて)

・省スペース(大きな専用設備不要)

・将来のメンテも楽

→最高♪

機器の効率だけでなく、コストメンテナンス手間を踏まえ、総合的パフォーマンスを考慮して設備選定をするのがエスネルデザイン流。

また、

マニアックな設備をなるべく使わないのもエスネルデザイン流

・専門知識不要
・生産終了になるリスク回避
・故障時の出費リスク回避
・メンテナンスが楽で、専門家でなくとも出来ること
・買い替えが容易であること

などメリットはたくさん♪

この点は、結構大きなポイントです。
(そこまで突っ込んで考えている設計者は多くない)

改めて先ほどの画像を^^

①新鮮空気(暑い外気温の空気)を室内に入れる(換気のため)

②真下のエアコンで即冷房+除湿

外気を即効でエアコンに触れさせることは、夏場特に除湿に効果的。

湿気が家の中に広がる前に、即効で除湿。
(そうしないと、なかなか湿度は下げづらい)

室内の湿度が低ければ、仮に温度が高めでも快適に過ごしやすくなる。

暖房時バージョン(冬)のサーモ画像↑

冷たい外気を即効で暖房!

上記の空調方式と共に下記の記事で詳しく説明しています^^

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

居室に設置された「排気」扇。


排気(室内→外)のため、給気(外→室内)と異なり、部屋が外気温で暑く(寒く)ならない。

サーモ画像の温度差のなさを見れば一目瞭然♪

従来の「居室に給気」ではなく、「居室から排気」にすると、シンプルな仕組みで快適性を得ることが出来る。

(高気密で換気効率が良いことが条件)

…………….

予想通り長くなってきました(^^;)

次回に続きます♪

今回はサーモ計測【午前編】、次回は【日中編】です!

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


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【関連記事】…………….

【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」②日中の室温と日射熱の影響。

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

【秘訣】夏のロールスクリーンの遮熱効果調査②「実験開始!ロールスクリーンの表面温度。」

【秘訣】夏の日射熱調査①「窓の適切な日射遮蔽方法は?」

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【健康】なんのための超高断熱?「体への負担(寒暖差)を減らすため。」

ゆうです^^

「なんのための超高断熱」シリーズ第三弾は

「健康」について。

風邪やアトピーなど身体のトラブルの大きな原因のひとつに

就寝時の寒暖差が上げられます。

僕が日々感じていること、風邪の惹きやすさなどについてまとめてみました。


「なんのための超高断熱」シリーズ第一弾、第二弾はこちら^^

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

【経済性】なんのための超高断熱?「冷暖房費を抑えるため。」

…………….

現在、僕は少し風邪を惹いています。

少し前まで息子も風邪を惹いていました。

原因は分かっています。

「寒暖差」。

犯人はお前だー!!

(保育園からもらってきたのもあるけど)

というのも、近年この春~梅雨時期に風邪を惹くことがとても多いです。

昨年は家族全員が風邪を惹いていました。

そのときのブログがこちら↓

高気密高断熱の家に住みたい!『寒暖差が体に与えるストレス』

上のブログにも書いていますが、

温度差で言えば年間たいして差はありません。

春~梅雨時期の問題は、

夜暑くて、朝寒いこと。

夜に暑いと布団の掛かりが甘くなりがち。
(汗もかく)

そして、朝に冷える。→体に負担→→風邪

特に子供は熱しやすく冷えやすいため、その影響は顕著です。
(風邪を惹かなくとも寒暖差による身体へのストレスは大きいと思われる)

公益財団法人 日本スポーツ協会「子どもの体温調節」より。

大人にとっても、この時期

「疲れが取れない。」


「寝つきが悪い。」


「朝方よく目が覚める。眠りが浅い。」

などは寒暖差による影響かもしれません。

(三十歳を過ぎてから特に上記項目を感じるようになってきた)

…………….

さて、では超高断熱がそれを解決するかというと、正確には少し異なります。

正確に言うと、超高断熱性ではなく、

「24時間全館空調」

が寒暖差を和らげます。
(この時期は夜間のみでもOK、寝室のみでもOK)

その際に、

・温度ムラを抑えること。

・冷暖房費を抑えること。

「超高断熱」が効果を発揮します。

天井と床の温度ムラの少ない室内。
(S邸断熱リノベーション後)

シンプルな全館空調システム。

…………….

実は「超高断熱→健康」と書くことには少し抵抗もあります。

・正確には低断熱であってもガンガン空調すれば寒暖差は抑えられるため
(冷暖房費はかさむけど)

・寒暖差の抑制が即健康につながると言い切ることは難しい?ため。
(調査して論文を書いたわけではないから)
(個人差もあるから)

・「健康になる」と言うと少しウソくさい?ため。
(僕自身「健康」をうたっている商品には懐疑的なところもある)

ただ、

寒暖差を抑えた暮らしが健康に与える影響もとても実感しています。

・僕自身寒暖差のあるこの時期に風邪をよく惹くこと。


・高断熱住宅(24時間空調)に住む建て主様の声を聞くと健康面での効果を実感するとよく聞くこと。

などから、ある程度実感できるレベルの手応えも感じています。

なので、

「寒暖差を抑えた暮らしは、身体へのストレスを減らすことが出来る。」

ことは言い切って良いと思っています。

その結果、
風邪を惹きづらくなったり、アトピーが改善したりすることもあると思います。
(カビやホコリの減少など空気質の改善効果の影響もある)
(個人差あり)

そして、

「冷暖房費を抑えることに高断熱化は有効。」

これも言えることです。

【補足】…………….

超高断熱住宅でなくとも、寝室にエアコンを設置し、就寝中朝まで連続で空調ONにすることで寒暖差の影響を抑えることも出来る。
(設定温度を低くしすぎないこと)
(直風を避けること)

築35年超の我が家では現在そのようにして対応しています。
(それでも風邪ひくけど、)

しかし、理想を言えば、
冷暖房費、温度ムラ、そしてエネルギー消費を抑えられる超高断熱仕様がベストなことに変わりはありません。

…………….

住宅の高断熱化は、イニシャルコストやランニングコストだけでなく、

「快適性」や「健康」、そして「エネルギー消費低減」など効果は多岐に渡ります。

また、今後起こりえる電気料単価値上げの影響を低減するための予防にもなります。

また、高断熱化は家が建ってから性能アップすることが非常に困難です。
(コストパフォーマンスが悪い)

行うとしても数十年後の外壁改修時に行うかどうかでしょう。

そのため、高断熱住宅に暮らせるかどうかは

「新築時に十分な検討が出来たかどうか。」

にかかっています。

エスネルデザインでは出来る限り検討のための情報を発信していきたいと考えています。

家を建ててから数十年、高断熱の暮らしが送れるか。

家族の人生を左右する大きな決断になると思います。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。

メッセージはメールインスタからどうぞ^^

【関連記事】…………….

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

【経済性】なんのための超高断熱?「冷暖房費を抑えるため。」


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【経済性】なんのための超高断熱?「冷暖房費を抑えるため。」

ゆうです^^

エスネルデザインでは「超高断熱」仕様をお勧めしています。

大きな理由は「快適性」と「経済性」を高めるため。

今回は、経済性について。

超高断熱は普通の家と比べて
どれほど光熱費が安くなるのでしょうか。

まとめました^^

以前のおさらいはこちらから^^↓

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

【秘訣】家中温度差のない家を「超高断熱と全館空調。」-case.S邸リノベーション-

そして前回、冷暖房費シミュレーションについてまとめました。

設計事務所の仕事『冷暖房費・光熱費シミュレーション作成。』

お渡しするシミュレーション例はこちら^^

およその光熱費のイメージは伝わるかと思います。

しかし、

「普通の家と比べて超高断熱の家はどのくらい冷暖房費が安くなるの?」

「断熱グレードアップコストに対してどれほどメリットがあるの?」

ということも当然気になると思います。

それらをまとめました^^

(※計算条件は上記シミュレーション例と同様)

24時間全館空調する場合で、

超高断熱仕様(UA=0.24)

一般住宅仕様(UA=0.45)

の冷暖房費を比べました。

年間冷暖房費差は約5万円。

35年間累計は約174万円。

超高断熱グレードアップコストが約120万円程の場合、

約24年で元が取れる計算になります。
(小さな家の場合)

個人的な感覚ですが、30年程以内で元が取れるのであれば「アリ」かと。
(30~35年程で移り住む可能性も考慮)

超高断熱仕様は、経済的メリットのほかに、

・快適性

・健康面

・冬場、家を広く使えること
(家中暖かいため)

・結露、カビリスク低減

など他のメリットも多々♪

その上、月々の冷暖房費も安くなるのであれば、「超高断熱仕様」は非常にメリットのある提案だと考えています。

…………….

「○年で元が取れる。」

という伝え方をしましたが、住まわれている方のお話を聞くと、

「元が取れるか取れないかは関係ない。」


「この快適性はなににも換えられない。」


「絶対にやって良かったです。」

という声を聞きます^^

快適性(特に冬場の寒さ)は、感情(ストレス)に訴えかけてきます。

感情の問題は、損得勘定では計れないものがあります。

経済性+快適性のメリットを踏まえて考えると、
エスネルデザイン的には

「超高断熱にしない理由がない。」

と考えています。

予算が厳しい場合にも数十年暮らすことを考えれば、面積を数坪減らしてでも「超高断熱」にされると、住んでからの満足度は非常に高まると思います。

※満足のいく小さな家を建てるには設計力が必要になります。

【ブログ紹介】「高騰する住宅、小さくなる家。”設計者の腕”が大きく左右する」FPの昆さん

【おまけ】…………….

家の大きさと冷暖房費の差もシミュレーションしてみました。

断熱性は同じ(UA=0.24)で面積が異なる場合。
28坪と40坪の冷暖房費差を比較すると、35年で約92万円程の差になる。

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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
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【関連記事】…………….

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。

【秘訣】家中温度差のない家を「超高断熱と全館空調。」-case.S邸リノベーション-
【健康】なんのための超高断熱?「体への負担(寒暖差)を減らすため。」
設計事務所の仕事『冷暖房費・光熱費シミュレーション作成。』

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【秘訣】断熱材の種類。フェノールフォームを選ぶ理由。

ゆうです^^

先回のダブル断熱の記事の際に「グラスウール」「フェノールフォーム」など様々な断熱材が出てきました。

それらの違いはなんなのでしょうか。

まとめていきます。

現在、様々な種類の断熱材がありますが、エスネルデザインで採用している断熱材は主に、

・グラスウール


・フェノールフォーム


・セルロースファイバー

の3種類です。

それぞれ説明していきます^^

1.グラスウール

ガラスの繊維で空気層を作っている断熱材で最も一般的に使われています。

一番のメリットは安いこと。
(材料・輸送・施工とも安い)

無機質のため、燃えにくく発煙や有毒なガスも発生しないというメリットもあります。

注意点としては、湿気を通すため、室内側に「防湿層」の設置が必要になります。
(防湿層がないと、室内の湿気が壁内に入り、結露→カビ・腐朽を引き起こしてしまう)

2.フェノールフォーム

フェノール樹脂を発泡させ気泡(ガス層)を作っている断熱材。

一番のメリットは断熱性能が高いこと。
(=熱伝導率が低い)

ネオマフォームHPより。
フェノールフォームはトップクラスの熱伝導率の低さ。
同じ断熱性能を出す場合、他の断熱材に比べ必要な厚さが薄くて済む。

フェノールフォーム熱伝導率=0.02
グラスウール熱伝導率=0.035
→フェノールフォームはグラスウールより1.75倍断熱性能が高い。

その他メリットは前回の記事をご参照。
(熱橋対策・防水性)

【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。

3.セルロースファイバー

再利用した古紙で空気層を作っている断熱材。

一番のメリットは隙間に充填しやすいこと。

現場吹き付け施工のため、隙間に充填しやすい。
そのため、天井裏によく用います。
(天井裏は梁や下地材が多く施工スペースも厳しい)

難燃剤であるホウ酸が入っているため、防火性や防虫性も高い。

…………….

さて、今回特に取り上げるのは「フェノールフォーム」です^^

理由は、発泡系板状断熱材はフェノールフォームの他にも様々あるのに、なぜ「フェノールフォーム」を選んでいるかを伝えるため。

発泡系板状断熱材は他にも、「ポリスチレンフォーム」や「ウレタンフォーム」があります。

なぜ「フェノールフォーム」なのでしょうか。

【フェノールフォームの理由その1】


断熱性能が高いため。
(=熱伝導率が低いため)

これは前出の通り。

フェノールフォームは他の断熱材と比べ気泡が非常に小さく断熱性が高い。

しかし、断熱性(熱伝導率)は低くても良いんです。

その分厚みを増して使えば、同じ断熱性能を確保することが出来るから。

ではなぜ「フェノールフォーム」なのでしょうか?

フェノールフォームの理由その2】


断熱性能の経年劣化が少ないため。

発泡系断熱材は、気泡のガスが断熱性能を左右するため、ガスが抜けるに連れて断熱性が落ちることが想定されます。

建築環境省エネルギー機構が定めた25年後の性能経年劣化率は、

・フェノールフォーム        →92%(8%減)
・吹付ウレタンフォーム       →75%(25%減)
・硬質ウレタンフォーム       →81%(19%減)
・押出法ポリスチレンフォーム    →88%(12%減)
・ビーズ法ポリスチレンフォーム   →98%(2%減)

フェノールフォームの性能経年劣化割合は比較的少ないことが分かります。

(吹付けウレタンフォームの25%減は強烈ですね、、)

ネオマフォームHPより。

…………….

実際の製品を見てみます。

フェノールフォームには「ネオマフォーム(旭化成)」という商品があります。

・カタログ表示性能値(熱伝導率)=0.02。
・25年後熱伝導率(推定結果)=0.02047

1年から25年の変化率を計算すると約93%(=7%減)
(93%=0.01908/0.02047)

パーセントで見ると大きく感じるかもしれないが、熱伝導率の数値で見ると性能劣化は非常に小さいことが分かる。

これが仮に35年後に0.022まで落ちたとしても、グラスウールの0.035に比べればまだまだ高性能。

発泡系断熱材を選ぶ際は「断熱材の経年劣化」の程度を把握し納得する必要があります。

…………….

そして、フェノールフォームを推奨する最大の理由がこちら。

フェノールフォームの理由その3】


燃えにくいため。

ネオマフォームHPより。

原料であるフェノール樹脂は難燃性に優れています。
また、熱硬化性があり炎が当たると表面が炭化し炎が燃え広がるのを防ぎます。
(不燃材料認定品もある)

これは他の発泡系断熱材にはない点です。
(その他の発泡系断熱材は燃えやすい)

特に木の外壁の場合、隙間から火の粉が入ることも想定し、付加断熱材の燃えにくさを慎重に検討する必要があります。

フェノールフォームをバーナーで炙り難燃性を確かめた。
初期は炎が出たが、やがて炭化し材に火が着火することはなかった。
(バーナーを止めるとすぐに止んだ)

炭化したフェノールフォーム。

【実験の動画】…………….

まず表面の不織布が燃えたがその後、本体のフェノールフォームは炭化するだけで着火することはなかった。
(音が大きいので注意)

対して「硬質ウレタンフォーム」は非常によく燃えました。

(ムービーも撮ったがWEBアップは自主規制)

ウレタンフォームは、外壁に「窯業系サイディング」や「モルタル」「金属系サイディング」等耐火性が高く隙間も少ない外壁を使うことが想定されている。
(それら外壁との組み合わせで防火認定取得あり)
(木の外壁にウレタン断熱材は適さないと考えられる)

隣家からのもらい火などを想定し、燃えやすいかどうかも断熱材を選定する際の大きなポイントになります。

…………….

フェノールフォーム断熱材のデメリットは「コストが高い」ことです。

高性能の高級品ということ。

しかし「断熱性能」「難燃性」「性能経年劣化率」などを踏まえると、発泡系断熱材の中ではフェノールフォームが一番勧められると考えています。

断熱材ひとつとっても検討は非常に奥が深いです。

「断熱性が高いからこれがお勧め」

ではなく、その他の検討ポイントを正確に把握し、場合によっては自ら実験し確かめ、確信を持って建て主様にお勧めしたいと考えています^^

【余談】…………….

付加断熱にグラスウールを使用する方法もあります。

メリットは、

・材料コストが安いこと。


・無機物であること(経年劣化リスクが少ないこと)。


・耐火性が高いこと。


・壁内の湿気を排出しやすいこと。

デメリットは、

・施工コストがかかること。
(設置に下地材が必要)
(水を吸うため雨天施工が困難)

・設置のための下地材が熱橋になること。


・対流による断熱性低下対策が必要なこと。
(両側・中間を面材・シート等で抑え風を入れないようにする)


・3次防水層として機能することは期待できないこと。

など。目的によって選択肢は異なります。

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村松 悠一 一級建築士
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【関連記事】…………….

【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。
【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24
S邸リノベーション。21「工事スタート!超高断熱のS邸の性能。」

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【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。

ゆうです^^

エスネルデザインでは『ダブル断熱』仕様を標準としています。

「超高断熱」にはほぼ必須となるダブル断熱。

そのメリットについてまとめました。

「超高断熱」「UA値」のおさらいはこちらを^^↓

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

UA=0.24の網川原のエスネルの仕様は下記の通りでした。

〇壁:『ダブル断熱』仕様。

〇天井断熱:厚さ420mm

〇サッシ:トリプルガラス樹脂サッシ

…………….

ではその『ダブル断熱』とはなんなのか。

「ダブル断熱」とは、
「壁内充填断熱」+「外張り付加断熱」
を組み合わせた断熱仕様のこと^^

エスネルデザインでは
「壁内充填断熱材」は「グラスウール」を、
「外張り付加断熱材」は「フェノールフォーム板」を標準採用しています。

壁内充填断熱材:グラスウール(厚さ12cm)

外張り付加断熱材:フェノールフォーム断熱板(厚さ6cm)

※現在の多くの住宅は、外張り付加断熱が無く、壁内充填断熱材のみ。
(シングル断熱仕様)

…………….

ではそのダブル断熱のメリットをまとめます^^

【ダブル断熱のメリット 】…………….

【メリットその1】


断熱性の向上
→快適性・経済性の向上。

【経済性】…………….

〇付加断熱あり:UA=0.24、q=61.7
(ex.網川原のエスネル)

〇付加断熱なし:UA=0.33、q=85.1
(網川原のエスネルから付加断熱を除いたもの)

冷暖房費はqに概ね比例するので
付加断熱なしの場合、冷暖房費はおよそ1.4倍かかることになります。
(85.1/61.7≒1.38)

※経済性についてはまた別にまとめます。

【快適性】…………….

壁の断熱性の向上は、壁の表面温度の維持につながり、体感レベルでの快適性を高めます。
(冬場、壁からの放射冷却を防ぐ)
(体感温度=(室温+表面温度)/2)

【秘訣】家中温度差のない家を「超高断熱と全館空調。」-case.S邸リノベーション-

…………….

【メリットその2】


熱橋をカバーできる。

「熱橋」とは、全体から見て一部的に断熱性が低い部分のこと。

具体的には「柱」「梁」の部分。

断熱材と比べて熱を伝えやすいことから「熱の橋」と呼ばれている。
(木は金属に比べると熱を伝えにくいが、断熱材に比べると熱を伝えやすい)

S邸の壁のサーモ画像より。
オレンジの部分が柱や梁。
の部分が断熱材。

その温度差は約1℃程。(S邸は付加断熱あり)
→付加断熱がない家の場合、温度差はもっと大きくなる。

【秘訣】家中温度差のない家を「超高断熱と全館空調。」-case.S邸リノベーション-

そして、
熱橋(柱・梁・下地材)の面積は意外と多い。

UA値を算出する計算シートの一部。
マニュアルによると壁の熱橋比率は17%。

「壁の2割弱は熱が逃げやすい部分」ということ。

この熱橋をカバーするのに、付加断熱が効果を発揮します^^

フェノールフォーム(付加断熱)を設置することで、熱橋となる柱からの熱損失を低減する。

また、熱橋は柱・梁だけではありません。

一番厳しい熱橋は「金物」です!

最近主流になってきている金物工法
(画像はタツミさんHPより)


「精度の高さ」「構造材の欠き込みの少なさ」「施工性の高さ」などからエスネルデザインでも標準採用している。

ただし、金物工法には金物部分が熱橋になりやすいという注意点がある。
(金物は柱外側から柱内側まで貫通している)

ちなみに、
グラスウールの熱の伝えやすさを「1」とすると、
木材は3.4
鉄はなんと2400程!
(熱伝導率比:2385=鉄83.5/グラスウール0.035)

鉄はグラスウールの2400倍も熱を伝えやすいということ。

金物部分の面積は多くはありませんが、熱の伝えやすさが非常に大きいので断熱対策は重要になります。

「吹き付け断熱スプレー」で現場で断熱処理することは可能ですが、

・金物の箇所が非常に多いこと。


・断熱スプレーをしても深さが浅いこと。

から完璧な断熱対策は不可能に近いものがあります。

「シングル断熱+金物工法」の場合、金物の熱橋対策は不十分なことがほとんどだと思われます。

それも、付加断熱すれば解決

柱についた金物を付加断熱材が覆い隠すため、金物は外気と接触しない^^

細かいようですが、
金物の熱橋は結露につながり、結露はカビ・腐朽につながるため、非常に慎重な検討が必要になるところです。

…………….

【メリットその3】

万が一の際、防水性を期待できる。

※付加断熱材に「発泡系板状断熱材」を使用した場合に限る。

エスネルデザインでは付加断熱材に「フェノールフォーム板」を採用しています。
(発泡スチロールのようなもの)

フェノールフォーム板の吸水性は低く1.7g/100c㎡ほど。

そのため、万が一の際の「防水層」として機能することを期待しています。

家の外側全面に張られたフェノールフォーム板。

通常は三次防水層まで想定しない。
(二次防水の防水紙まで)

しかし、万が一防水紙が機能しなかった際、フェノールフォーム板(付加断熱)があれば、雨水が構造材(柱・梁)に到達するリスクを限りなく低くできる。

S邸リノベーション。25「床断熱・新規金物・防水シートと防蟻剤」

【秘訣】壁内にカビ発生。「中古住宅購入時の注意点」

…………….

長くなってしまいました(^^;)

しかし、「ダブル断熱」(付加断熱)を標準採用している理由は、単に断熱性の向上だけでないということです。

結露リスクの低減万が一の防水性など、断熱性以外の効果も意図した上で標準採用としています。

断熱仕様に限らず、設計者は「性能」「耐久性」「コスト」「施工性」等もろもろの要素を熟考した上で最適な仕様を決定し提案していきます。

※断熱材の違いについても説明したかったのですがそれはまた後日に(^^;)

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【関連記事】…………….

【秘訣】家中温度差のない家を「超高断熱と全館空調。」-case.S邸リノベーション-

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

豊かな暮らしのつくり方。10-2 ー『断熱性「UA値」とは。』ー
S邸リノベーション。21「工事スタート!超高断熱のS邸の性能。」
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【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】

ゆうです^^

エスネルデザインでは「超高断熱」仕様をお勧めしています。

大きな理由は「快適性」「経済性」を高めるため。

今回は、快適性について。

高断熱の家の快適性はどれほどなのでしょうか。

ポイントは「天井-床の温度差」「全館空調」です。

昨年完成したS邸リノベーションのサーモグラフィの様子をご報告します。

まずはS邸のご紹介を^^

S邸の見どころについて。簡易的なサーモ調査も行った↓
S邸リノベーション。35「完成前見学会開催!S邸の見どころ♪」

完成後の内覧写真たち↓
【S邸Web内覧会⑥】「プロ撮影による完成写真たち。」

…………….

ではでは、サーモグラフィの話に戻ります^^

もう一度言いますが、

ポイントは天井と床の温度差。

低断熱の家でも、エアコンで設定温度を上げれば室温は上げられます。

しかしそのとき、高断熱でないと「天井と床に大きな温度差」が出てしまいます。

具体的に言えば、

頭部が暑く、足まわりが冷たい。

不快な状態ですね。

ということで

天井と床にいかに温度差が少ないか。

冬場を快適に暮らす大きなポイントです^^

(それを実現する為の高断熱)

…………….

さて、具体的にサーモ画像を見て頂く前に「サーモ画像を見るときの注意点」を↓

S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」

注意点は、
温度差の印象操作が容易にできてしまうこと。でした。

ではでは、具体的にS邸のサーモ画像を見ていきます^^

【条件】…………………………..
調査日:2018.12.14 12時前後
(平均気温:4.3℃、最高:7.2℃、最低:2.5℃、日照時間:2.4h)
場所:新潟市
建物性能:UA=0.35、C=0.7
暖房器具:エアコン(1階1台、2階1台)
運転状況:設定温度26℃で24時間以上連続運転後(躯体は十分暖まっている)。
(暖房時間が短いため実際の使用時より温度設定は高めで運転した)
…………………………..

暖房前(2018.12.9)。天井も壁床も冷え切っている。(約5.5℃)

話の前にもうひとつ前提条件の説明を。

温度バー(サーモ画像の右端にある温度と表示色の関係を示したバー。上の画像では最高20℃~最低4℃)の温度設定は変えることができます。

これを固定(すべて同じ最高温度~最低温度)してそれぞれのサーモ画像を比較するのもひとつの方法ですが、今回はパッと見の分かりやすさを優先するため、

青・・・不快温度。(18℃以下)

黄-橙・・・快適温度。(22-24℃)

赤・・・暖かい温度。(25℃以上)

として表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像ごとに調整しました。

(詳細な温度数値を見なくてもなんとなく感覚的に
「ここが不快そうだなー。」「ここは問題なさそうだなー。」
と読めるようにした。)

ではでは!

1階リビング(吹抜け下部)。

壁上(スポット1):24.5℃
壁下(スポット2):23.4℃
床(スポット3):23.4℃

壁と床の温度差は1℃程。
(ほぼない)

吹抜け上部。

天井(スポット1):25.3℃
2階壁(スポット2):25.3℃
1階壁(スポット3):24.8℃

(先ほどの画像から)床温:23.4℃。

吹抜け天井と床の温度度差は2℃程。
(とても小さい)(天井~床=約7m)

これが高断熱がもたらす効果です^^

文章では伝えきれませんが、
天井と床の温度差が1~2℃の暖房空間は本当に快適です。

足元が冷えず、頭部も暖まりすぎない^^

新潟で暖かい家に住みたい場合、高断熱仕様は必須です。

S邸の断熱仕様はこちら↓
S邸リノベーション。28「防水処理・床気密・外張り断熱!」

ちなみに、断熱リノベーションの旧S邸のサーモグラフィはこちら。

天井(スポット4):26.0℃
壁(スポット2):18.0℃
床(スポット3):14.4℃

天井と床の温度差=約11℃。

足元がとても寒く不快でした(^^;)

詳細はこちらを↓
S邸リノベーション。18「サーモグラフィ調査②『現地調査』。」

…………….

ちなみに、「吹抜け上部」で一部青くなっていた部分がありました^^

青○の部分(スポット4):18.3℃

これはなぜかと言うと、、

青くなっている部分は24時間換気の「給気扇」
外気(新鮮空気)が入ってくるため、周辺の温度が下がっています。

ポイントは、給気扇をエアコンの吸い込み口の上部に設置しているところ。

これにより、外気(冷気)はすぐに暖められ、人が不快に感じないようにしています。
(夏場も同様。暑く湿気を含んだ外気をすぐにエアコンで除湿・冷却する)

快適性は「断熱性」だけでなく「空調計画」も大きなポイントになります。

…………….

続いて個室のサーモ画像を。

2階子供室。(内壁側)

天井(スポット1):21.5℃
壁(スポット2):21.0℃
床(スポット3):20.3℃

天井と床の温度差は1℃程。

そして、注目は黄色○(スポット4)の部分:24.7℃

これは、ホールに設置したエアコンから暖気を個室に送る「循環ファン」です^^
(暖気がホールから個室へ入ってくるため温度が高くなっている)

ホールに設置された「循環ファン」黄○


2階空調計画図。

各個室にエアコンはなく、ホールのエアコン1台から各個室に暖気を送るシステム。

高気密高断熱仕様であればこれが可能^^
(各個室にエアコンを置く必要がないからイニシャルコストも抑えられる。)

また、1階と同様に給気扇からの外気は最短ルートでエアコンへ。

ポイントは
「外気を個室に直接入れず、空調してから入れること。」

今までは個室に給気扇を設け、風呂やトイレで排気するという空調計画が多かった。
(現在でも多い)

しかし、それだと、個室に冷たい外気が入ってきて不快!

そこで考え方を180度変えました。

「給気はエアコンのそばから、排気は個室から」

そうすれば、

・個室に冷たい外気が入ってこなくて済む。


・人間から出る匂いやCO2もすぐに排気できる。


・ホールからのエアコンの暖気を個室に引っ張ることができる。

(風呂、トイレは個別で排気)

「新鮮空気の経路」と「空調空気の経路」を同じ経路で計画する。

これがエスネルデザインの空調計画です。

この「空調計画」+「超高断熱」全館空調を可能にします。

全館空調をする
→家中の温度差が少なくなる
→最大の快適性!

ということ^^

断熱性よりも実は全館暖房のほうが快適性に関わる大きなポイント。

そのあたりはまた別の機会で^^

…………….

2階子供室。(外壁側)

天井と床の温度差は1℃程。

黄色○の部分は給気扇ではなく「排気扇」

だから青色にならない。(→個室に外気(冷気)が直接入ってこない)

2階ホールの給気扇。

周囲が約23℃なのに対して、給気扇付近の温度(スポット1)は16.5℃。
これが個室にあれば、室温は下がり、冷気が体に当たれば不快に感じてしまう。
(→最短ルートでエアコンに入れる)

2階ホール。


天井と床の温度差は1℃程。
(左奥が赤いのは「吹抜け+エアコン」があるため)

…………….

キッチン。

天井(スポット1):22.2℃
壁(スポット2):22.1℃
床(スポット3):18.7℃

天井と床の温度差は3.5℃程とリビングと比べて少し大きい。

これは、キッチン本体やコンロ前の壁が障壁となりエアコンの暖気が上手くまわっていないため。
(それでも床温が18.7℃あれば大きな問題はない)

こういった場所の温度差をさらに小さく、さらに快適にするためのものが「床下エアコン」です。

このあたりも詳しくはまた別の機会に^^

…………….

まとめると、

・高断熱の家は、天井と床の温度差が小さくなり快適。


・全館空調は家中の温度差を均一にでき快適。

空調は奥が深いのでまたゆっくりとまとめていこうと思っています^^

【おまけ】…………….

サッシ周り(樹脂ペアガラス)。

壁24.3℃に対し、樹脂枠は19.5℃(→十分)
(樹脂枠の露出を最小限にして美観の向上と熱損失の抑制を図っている)

樹脂枠(室内):15.7℃ / 樹脂枠(外):2.4℃。
→十分な断熱性。
(外気温4.7℃程)

外部から。
ガラス部:2.5℃ / 樹脂枠:2.1℃ / 外壁:1.3℃

日陰:17.1℃ / 日向:20.2℃
(暖房開始3時間後)

冬場の日射熱は室内を暖めるのにとても効果的。
(新潟の日照時間はとても短く積極的な日射熱利用は難しいが)

コンセントまわり(内壁)

温度差がないことから、床下からの漏気がない→気密性が高いことが分かる。
(S邸は床断熱仕様)

エアコンの吹き出し口:52.1℃ 

室外機の排気ファン前:-1.9℃

吹抜けのサーモ画像。
柱・梁と断熱材部分の温度差は1℃程。(いわゆる「熱橋」
そのあたりの話はまた次回に。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【追記】…………….

熱橋対策について記事を書きました^^

【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。

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趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。

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【関連記事】…………….

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【秘訣】UA値は燃費の指標ではない!住宅の燃費とは?「q」とは?

ゆうです^^

先日、「超高断熱」「UA値」についてまとめました。

超高断熱だと快適で光熱費を抑えられるということ。

ただし、補足があります。

UA値は燃費の指標ではないんです!

おさらいはこちらから^^

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

UA値は「断熱性能」を示す指標です。

UA値=家の外へ逃げる熱の量/家の表面積

UA値が小さいほど断熱性が高いわけで、

「UA値が低い」=「光熱費が抑えられる」

と考えてしまいそうですが、正確には少し異なります。

UA値は「家の表面積」で割っている点が要注意です。

(正確には「外皮面積」)

…………….

UA値は、
家の「窓・天井・壁・床から逃げる熱の総量」を算出し、
家の「総外皮面積」で割って出されます。

つまり、
UA値は家の大きさの要素が消されているということ。

そこが「UA値が実際の燃費(光熱費)と直結しない」ポイントです。

どういうことか「車」の燃費を例に説明します^^


「アルト」「ノア」の燃費比較を。

アルト(スズキ)の燃費は37.0km/L

ノア(トヨタ)の燃費は23.8km/L

車の場合「km/L」はまさに「燃費」ですね^^

「投入ガソリン量に対して、どれだけ進むか。」

とても分かりやすいです。

燃費だけで比較すれば、ノアよりアルトのほうが燃費が良いことは一目瞭然です。

さて、
UA値は、言うなれば「室温を1℃上げるのに何ワット必要か」ということ。

車の燃費(km/L)もUA値と同様に、

「1km進むのに何リッター必要か」に換算してみると(燃費の逆数)

アルトは0.027L/km。

ノアは0.042L/km。

でした。

これは、アルトのほうが「1km走るために必要な燃料が少ない」ことを示しているわけです。
(UA値と同様に数値が小さいほうが燃費が良い

さて、ここで「表面積」を盛り込みます^^

アルトの表面積は約20㎡でした。

ノアの表面積は約33㎡でした。

では、燃費(逆数)を表面積で割ってみましょう^^

【アルト】
0.027L/km÷20㎡=0.0014L/km・㎡

【ノア】
0.042L/km÷33㎡=0.0013L/km・㎡

ちょっと数値が小さくてイメージしづらいですが、
この数値がなにを言っているかというと

表面積1㎡当たりで比較すると
ノアのほうがアルトよりも燃費が良い。

ということ。

「km/L」で比較したときと逆の結果ですね。

(アルト:37.0km/L、ノア:23.8km/L)

…………….

、、、

前置きが長くなりました(^^;)

なにが言いたかったかというと、

UA値は表面積で割っているため、実際の燃費とかけ離れる場合がある。

ということ。

具体的に言えば、

「UA値が悪い小さな家」と「UA値が良い大きな家」を比較した場合、
「UA値が悪い小さな家」のほうが光熱費は安くなる場合があるということ。

「UA値が良い=燃費が良い」わけではない場合があるということ。

家の大きさを加味しないと実際の燃費のイメージはつかめないということ。

…………….

では、
「家の大きさを加味した、燃費をよりイメージできる指標」
はないのか?

あります!

「q」(外皮熱損失量)です^^
(スモールキュー)

これは「その家一棟からどれだけの熱が逃げるのか」を表したもの。
(単位温度当たり、単位時間当たり)

家の大きさが加味された指標になります。

UA値を計算している場合、「q」は計算者に聞けばすぐに分かります。

なぜなら、

UA値=「q」/外皮面積

だから。
(qをまず算出し、その後、UA値を割り出す)

「q」=UA値×外皮面積

ということ^^

家の燃費を比較する場合、「q」で比較するとより正確なイメージに近づけます。

断熱性が高く、小さな家ほど、燃費が良い(光熱費が安い)ということ。

網川原のエスネルは、

UA=0.24

q=61.7

です。

q=61.7は日本でもトップクラスの燃費の良さです。

(延床面積40坪、UA=0.45の家の場合、q=154程)
(数値が少ないほうが燃費が良い)

そして、光熱費(冷暖房費)は概ね「q」の値に比例します。

ラフな数値になりますが、

「q」に×1500すると、およその年間冷暖房費に近い数値になります。

・網川原のエスネルの場合、61.7×1500=約9.2万円/年

(長くなるので諸条件等の説明は詳細はまた別の機会に)

…………….

まとめます。

・UA値は断熱性の指標だが、家の大きさが加味されていないため、実際の燃費と連動しない場合がある。


・実際の燃費をイメージしたい場合は「q」で比較すること。

…………….

長くなってしまいました(^^;)

実際に気になるのは「1㎡あたりの断熱性能(UA)」よりも「実際にかかる光熱費」だったりしますよね。

家を建ててから

「高断熱にしたのに光熱費が高い!」

とならないよう違いを理解して家づくりを進めていきたいものです。

小難しくマニアックな話を最後まで読んで頂きありがとうございました!

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

【戯言】…………….
「だったら、UAじゃなくて「q」を指標にすれば良かったのでは?」
(そのほうが車の燃費の概念と近い)
と思われるかもしれません。
(実は僕も少し思っています。)
より省エネルギーに配慮した家を勧めたいのであればそのほうが合っていると思います。
しかし「q」を指標にしては、
「大きな家のqは落ちてしまうため、大きな家が売りづらくなってしまう。」
それは、大きな家を売りたいメーカーの望むところではないのです。
「指標」は業界の意向を加味して決められます。
なので
「その指標はなにを表しているのか。」

「自分はなにがほしいのか。」
(「1㎡あたりの断熱性能」を上げたいのか、「実際にかかる光熱費」を下げたいのか)
を正しく理解して家づくりを進める必要があります。
(余談)…………….
当初はUA値計算書に「q」は記載されていましたが、最新書式では非記載になってしまいました。(自動計算の欄外に埋もれた)
切ないものです。
その分、設計者が正しいことをしっかりと発信していく必要があると感じています。

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。

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【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

ゆうです。

「超高断熱」という言葉を使っています。

特に社会的に定義された言葉ではありません。

「超高断熱」とはどれほどのレベルなのか。

網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24です。

「高気密高断熱住宅」という言葉ももうだいぶ聞き慣れるようになりました。

「高断熱」とはどれほどの性能なのでしょうか。

現在、断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」という指標で評価されています。

UA値とは簡単に言うと、

UA値=家の外へ逃げる熱の量/家の表面積

(※粗い表現です)

つまり、UA値が小さいほど断熱性が高いということ。

おさらいはこちらを^^

豊かな暮らしのつくり方。10-2 ー『断熱性「UA値」とは。』ー

そして、断熱性能の評価の基準は「断熱性能等級」というものがあります。

最高ランクである「等級4」の条件は「UA値=0.87以下」です。
(新潟市の場合。※地域により異なる)

最高ランクであるUA=0.87以下であれば「高断熱」と言えるのかもしれません。
(営業トーク的には、)

さて、網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24です!

最高ランクである0.87の1/3以下!!

言い換えれば、最高ランクよりも3倍以上高性能!!

「最高ランクより3倍以上高性能」≒「UA=0.28以下」

エスネルデザインでは、これを満たすものを「超高断熱」と言いたいと考えています。

「HEAT20 G2」という断熱性の国内最高基準(北海道基準)がUA=0.28。

(「大手メーカー・UA値」で検索してみたらおよそUA=0.4~0.6程でした)

…………….

さて、国内最高基準以上の断熱性を持つ網川原のエスネルの断熱仕様を一部ご紹介^^

〇壁は『ダブル断熱』仕様。
 柱間:厚さ120mmのグラスウール+外張り:厚さ60mmのフェノールフォーム。

〇天井の断熱材は厚さ420mm
 (セルロースファイバー吹き込み)

〇サッシはトリプルガラス樹脂サッシ

他にも、床下エアコン循環ファンなど、全館空調を可能にする設計が盛り込まれています。

…………….

では、「超高断熱」の具体的なメリットとは?

長くなってきたのでまた次回に^^
ポイントは「快適性」「経済性」です。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

…………………………………………

村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表


新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。

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